【2026年4月施行】マンションの総会決議が変わった|区分所有法改正でできるようになった5つのこと

【2026年4月施行】マンションの総会決議が変わった|区分所有法改正でできるようになった5つのこと

【2026年4月施行】マンションの総会決議が変わった|区分所有法改正でできるようになった5つのこと

【2026年4月施行】マンションの総会決議が変わった|区分所有法改正でできるようになった5つのこと

最終更新日:2026年8月17日/本記事は法務省・国土交通省が公表する一次情報をもとに作成しています。

「大規模修繕の話し合いが、もう3年も止まったままなんです」——先日、東京23区内の築42年のマンションにお住まいの方から、そんなご相談をいただきました。

外壁のタイルが浮いているのは全員わかっている。修繕積立金もある程度は貯まっている。それでも決まらない。理由を聞いて、なるほどと思いました。総会に出席するのは、全体の4割ほど。残りの6割のうち、半分は賃貸に出していて連絡がつきにくく、数戸は相続の途中で誰が所有者なのかもはっきりしない。そして改正前の法律では、この「来ない人」が事実上の反対票としてカウントされていたのです。

賛成している人のほうが多いのに、前に進まない。マンション管理の現場では、こうした「多数派なのに動けない」状態が全国で起きていました。

その構造を変えるための法改正が、2026年4月1日に施行されました。区分所有法の改正です。ニュースでは「老朽化マンション対策」と紹介されがちですが、実際にはもっと手前の——毎年の総会や、日々の修繕にまで効いてくる改正です。この記事では、マンションを所有している方、これから中古マンションを買おうとしている方の目線で、変わったポイントを整理します。

この記事でわかること
  • 修繕や規約変更の決議は「出席者の多数決」に変わりました。欠席者が反対票として数えられなくなり、法務省の例では賛成2/5で否決だったケースが改正後は賛成2/3で可決されます。
  • 建替え以外に「一棟リノベーション」「建物・敷地の一括売却」「取壊し」が原則4/5の多数決で選べるようになりました。耐震性の不足など5つの客観的事由のいずれかがあれば3/4に緩和されます。
  • 築40年以上のマンションは2024年末で約148万戸(国土交通省推計)。ストック総数713.1万戸の約2割にあたり、10年後には約2.0倍の293.2万戸に増える見込みです。売却・購入の判断材料として「管理の質」を見る目が、これまで以上に重要になります。
 総会で議案について話し合う管理組合の様子

そもそも何が変わった?2026年施行「マンション関係法」改正の全体像

今回の改正の正式名称は、「老朽化マンション等の管理及び再生の円滑化等を図るための建物の区分所有等に関する法律等の一部を改正する法律」(令和7年法律第47号)です。長いので、以下は「改正マンション関係法」と呼びます。

2025年5月23日に成立し、同月30日に公布。このうち区分所有法と被災区分所有法の改正部分が、2026年(令和8年)4月1日から施行されました(法務省民事局)。マンション管理適正化法・マンション再生円滑化法の一部は2025年11月28日から先行施行されており、段階的に効力が発生している点が特徴です。

改正の背景として法務省・国土交通省が挙げているのが、「2つの老い」という言葉です。建物が古くなる老いと、住んでいる人が高齢になる老い。この2つが同時に進むと、修繕も再生も決まらなくなります。

数字で見る「2つの老い」

148万戸築40年以上の分譲マンション
(2024年末・国土交通省推計)
713.1万戸分譲マンションストック総数
(2024年末・国土交通省推計)
約103万戸うち旧耐震基準
(1981年5月31日以前の建築確認)
323件マンション建替えの累計実績
(2025年3月31日時点)

注目していただきたいのは、いちばん右の数字です。築40年超が148万戸あるのに対して、建替えが実現したのは制度開始からの累計でわずか323件(約26,000戸)。マンション建替円滑化法にもとづく敷地売却等も累計17件(約1,300戸)にとどまります。母数と比べると、再生が進んでいないことがはっきりわかります。

築40年以上の分譲マンションストック数の推移
2024年末を起点に、10年後・20年後の推計を含む(単位:万戸)
48.5
 
148.0
 
293.2
 
482.9
 
10年前
2014年末
(1974年以前築)
現在
2024年末
(1984年以前築)
10年後
2034年末
(1994年以前築)
20年後
2044年末
(2004年以前築)
過去実績 現在 10年後推計 20年後推計

出典:国土交通省「築40年以上の分譲マンション数の推移(2024(令和6)年末現在)」(2025年8月5日更新)。建築着工統計等を基に推計した分譲マンションストック戸数および国土交通省が把握している除却戸数を基に推計。10年後は現在の約2.0倍、20年後は約3.3倍となる見込み。

2044年には、築40年以上のマンションが482.9万戸。いまのストック総数の約7割に相当する規模です。バブル期に大量供給された物件が一斉に築40年を迎えるためで、東京・一都三県の首都圏はその中心地でもあります。この波に間に合わせるために、法律のほうを先に変えた——というのが今回の改正の位置づけです。

変更点1:修繕の決議が「出席者の多数決」になった

実務にいちばん影響が大きいのが、この変更です。

改正前の区分所有法では、集会(総会)の決議の母数は「全区分所有者」でした。100戸のマンションなら、常に100が分母です。総会に40人しか来なくても、分母は100のまま。つまり欠席した60人は、自動的に「反対」と同じ効果を持っていたのです。

改正後は、区分所有権の処分を伴わない事項(修繕など)の決議は、集会に出席した区分所有者の多数決で成立します。委任状の提出者も出席に含まれます。

法務省が示している具体例
出席者のうち賛成が2、反対が1、そのほかに無関心な欠席者・所在不明者がいるケース。
改正前:全区分所有者を母数とするため、賛成は全体の2/5にとどまり否決
改正後:出席者を母数とするため、賛成は2/3となり可決
出典:法務省民事局「改正の概要(1)(全体・概要版)」

普通決議と特別決議の違いを整理する

決議の種類 主な対象 改正後の母数 改正後の多数決割合
普通決議 大規模修繕、管理者の選任、共用部分の管理など 出席した区分所有者
および議決権
各過半数
(規約で別段の定め可)
特別決議
(3/4)
共用部分の変更、規約の設定・変更・廃止、管理組合法人の設立・廃止など 出席した区分所有者
および議決権

※定足数(各過半数)あり
各3/4以上
※共用部分の変更は、瑕疵による権利侵害のおそれがある場合やバリアフリー化に必要な場合は2/3に緩和
特別決議
(4/5)
建替え、建物更新(一棟リノベーション)、建物敷地売却、建物取壊し敷地売却、取壊し 所在等不明者を除く
全区分所有者および議決権
※出席者基準ではない
各4/5以上
※5つの客観的事由のいずれかがある場合は3/4に緩和
ここがポイント:「出席者の多数決」は特別決議にも及びます
改正前と混同されやすいのですが、出席者を母数とするのは普通決議だけではありません。共用部分の変更や規約の変更といった3/4の特別決議も、改正後は出席した区分所有者およびその議決権が母数になりました。ただし特別決議には定足数(区分所有者・議決権の各過半数の出席)が設けられており、少人数の出席で重要事項が決まることのないよう歯止めがかかっています。

一方、建替えなど区分所有権の処分を伴う決議は、出席者ではなく全区分所有者が母数のままです(所在等不明者は裁判所の認定により除外可)。「何でも出席者だけで決められるようになった」わけではない点にご注意ください。
あわせて変わった:招集通知のルール
すべての決議について、招集通知に「会議の目的たる事項」と「議案の要領」を記載することが必要になりました(従来、普通決議では議案の要領の記載は不要でした)。
・招集通知の発出から集会の会日までの期間は、規約で1週間より短く定めることができなくなりました。「緊急時は5日前まで短縮できる」といった規約の条項は、改正法に抵触するため使えません。

変更点2:所在不明の所有者を決議の母数から外せるようになった

冒頭でご紹介した築42年のマンションで、いちばんの障害になっていたのが「誰が所有者かわからない住戸」でした。相続登記がされないまま何代か経過し、通知を送っても宛先不明で戻ってくる。こういう住戸が数戸あるだけで、4/5の要件は現実的に届かなくなります。

改正法では、裁判所が認定した所在不明の区分所有者を、すべての決議の母数から除外できる制度が創設されました。ここでの「すべての決議」には、普通決議だけでなく建替え等の特別決議も含まれます。

これは非常に大きな変更です。所在不明者が仮に10戸あるマンションで、残る90戸のうち75戸が賛成しているとします。改正前は100を分母とするため75%で4/5に届きません。改正後は所在不明の10戸を除外できるので、分母は90となり賛成率は約83%——4/5を超えます。

注意:自動的に除外されるわけではありません
所在不明者の除外は、裁判所の認定を経る必要があります。管理組合の判断だけで「連絡がつかないから除外」とすることはできません。実務上は、住民票や登記情報の調査を尽くしたうえで、マンション管理士や弁護士など専門家の関与のもとで手続きを進めることになります。時間もかかるため、建替え等を視野に入れている管理組合は早めの着手が肝心です。
 郵便受けに溜まった通知と、管理組合の名簿を確認する場面

変更点3:建替え以外の「再生」も多数決で選べるようになった

「うちのマンション、建替えは無理だと思うんです」——高経年マンションの管理組合でよく聞く言葉です。国土交通省の調査によれば、建替え後の区分所有者の平均負担額は年々増加傾向にあり、一方で建替え前後の利用容積率の比率は低下傾向にあります。つまり「余った床を売って費用を賄う」という従来の方程式が成り立ちにくくなっている、ということです。容積率に余裕のない都心の物件ほど、この壁は高くなります。

そこで改正法は、建替え「以外」の出口を法律上の選択肢として整備しました。

新しく多数決決議で選べるようになった再生手法

再生手法 内容 向いているケース
建替え決議
(従来から可能)
既存建物を取り壊し、新たなマンションを建設 容積率に余裕があり、保留床の売却で事業費を賄える立地
建物更新決議
(一棟リノベーション)
既存躯体を維持したまま補強し、すべての専有部分を含む建物全体を更新 躯体の健全性が確保されており、建替えより費用を抑えたい場合
建物敷地売却決議 マンションと敷地を一括して第三者に売却し、代金を分配 居住継続より現金化を望む所有者が多数を占める場合
建物取壊し敷地売却決議 建物を取り壊したうえで、更地にした敷地を売却 建物付きでは買い手がつきにくく、更地評価のほうが有利な場合
取壊し決議 建物のみを除却し、敷地は区分所有者が共有のまま保有 建物が危険な状態で、敷地の活用方針を後から決めたい場合

あわせて、マンション建替円滑化法は「マンションの再生等の円滑化に関する法律」(通称:マンション再生法)に改称されました。名前が「建替え」から「再生」に変わったこと自体が、政策の方向転換を表しています。

決議事項別に必要な賛成割合(改正後・単棟マンションの場合)
数値が小さいほど合意形成のハードルが低い。母数は決議の種類によって異なる
共用部分の管理
(普通決議)
 
過半数
共用部分の変更
(瑕疵・バリアフリー事由あり)
 
2/3
被災した建物の再生
(被災区分所有法)
 
2/3
共用部分の変更・規約変更
(原則)
 
3/4
建替え等の再生
(客観的事由あり)
 
3/4
建替え・建物更新・
建物敷地売却・取壊し(原則)
 
4/5
緩和後の要件 原則の特別決議 客観的事由による緩和 4/5(原則)

出典:法務省民事局「区分所有法・被災区分所有法の改正について(令和8年4月)」掲載の「決議の多数決要件の緩和に関する対照表」をもとに作成。3/4への緩和に必要な5つの客観的事由=①地震に対する安全性を欠いている ②火災に対する安全性を欠いている ③外壁剝離等により周辺に危害を生ずるおそれがある ④給排水管設備の損傷・腐食により著しく衛生上有害となるおそれがある ⑤バリアフリー基準に適合していない。いずれかに該当すれば足り、行政の認定を受けることは要件ではありません。団地型マンションは棟ごと・全体それぞれに要件が定められており、上記とは異なります。

さらに、耐震性不足等で建替え等を行う場合には、容積率に加えて高さ制限についても特定行政庁の許可による特例が設けられました。隣接地や底地の所有権を、建替え後のマンションの区分所有権に変換することも可能になっています。都心部で「建て替えたいが法規制で同じ規模が確保できない」という物件にとっては、現実的な突破口になり得る改正です。

変更点4:管理不全の住戸に「管理人」をつけられるようになった

マンションの一室が空き家のまま放置され、水漏れや害虫の発生源になっている。あるいはゴミが堆積して隣室に影響が出ている。こうした「管理不全」の住戸に、これまで管理組合が打てる手はほとんどありませんでした。専有部分は所有者のものだからです。

改正法では、管理不全の専有部分・共用部分等について、裁判所が選任する管理人に管理させる財産管理制度が創設されました。土地・建物について2023年に施行された所有者不明土地管理制度のマンション版、とイメージするとわかりやすいかもしれません。

行政の関与も強化されました

あわせて、外壁の剥落など危険な状態にあるマンションに対して、地方公共団体が報告徴収・助言指導・勧告・あっせんを行える仕組みも措置されました(こちらは2025年11月28日に先行して施行済みです)。国土交通省は「外壁剥落等の危険なマンションを10年後に概ね解消できる水準」を目標に掲げており、東京23区をはじめ各自治体でマンション管理適正化推進計画の策定が進んでいます。

もうひとつ、購入検討者にとって見逃せないのが管理業者の利益相反への対応です。管理業者が管理組合の管理者(代表者)を兼ねたうえで工事の受発注者にもなる、いわゆる「第三者管理方式」では、価格の妥当性が見えにくいという指摘がありました。改正後は、こうした自己取引等について区分所有者への事前説明が義務化されています。

売る人・買う人が、いまからできる5つの準備

ここまでは制度の話でした。では、実際にマンションを持っている方、これから買う方は何をすればよいのでしょうか。東京・一都三県で日々ご相談をいただくなかで、私たちがお伝えしている5つのポイントを挙げます。

1. 管理規約が改正法に対応しているか確認する

国土交通省の「マンション標準管理規約」は2025年(令和7年)10月に改正されています。決議要件の考え方が変わった以上、旧いままの規約では総会運営に支障が出ます。とくに、招集通知を「緊急時は5日前まで短縮できる」と定めている規約は改正法に抵触するため、その条項に従った招集はできません。改正区分所有法に抵触する規約の規定は、2026年4月1日以降、効力を失います。まずは自分のマンションの規約が改定済みかどうか、管理組合に確認してみてください。

2. 長期修繕計画の「期間」と「積立金の水準」を見る

売却時に買主から必ず聞かれるのが、修繕積立金の残高です。国土交通省のマンション管理計画認定基準では、長期修繕計画の計画期間が30年以上で、残存期間内に大規模修繕工事が2回以上含まれていること、そして計画期間全体から算定される修繕積立金の平均額が著しく低額でないことが求められています。この水準を満たしているかどうかは、物件の資産価値に直結します。

3. 「管理計画認定」を取得しているか調べる

マンション管理計画認定制度は、マンション管理適正化推進計画を策定した市・特別区(町村部は都道府県)が管理状態を審査して認定する仕組みです。国土交通省は改正法のKPIとして、認定取得割合を令和6年時点の約3%から20%へ引き上げる目標を掲げています。

認定を受けると、次のような具体的なメリットがあります。

優遇の種類 内容
フラット35の金利引下げ 住宅金融支援機構の【フラット35】で金利引下げを受けられる。返済期間が最長50年の【フラット50】も利用可能
共用部分リフォーム融資 マンション共用部分リフォーム融資の金利引下げ
マンションすまい・る債 住宅金融支援機構が発行する債券の利率上乗せ
マンション長寿命化促進税制 長寿命化に資する大規模修繕工事を実施した場合に固定資産税額が減額される
情報サイトでの公開 マンション管理センターの認定マンション一覧のほか、不動産情報サイトでも公開される

なお、2027年(令和9年)4月1日からは制度が拡充され、新築の分譲時に分譲事業者が管理計画を作成して管理組合に引き継ぐ仕組みが導入されます。認定基準も同時に見直される予定です。

買う側の視点:比較する物件数は平均5件程度
国土交通省の資料によれば、マンション購入時に比較検討される物件数は平均5件程度とされています。同じエリア・同じ価格帯で5件並んだとき、「管理計画認定あり」の一言が決め手になる場面は確実に増えていきます。売却を考えている管理組合にとって、認定取得は費用対効果の高い投資といえます。

4. 総会の出席率を上げる仕組みを整える

決議の母数が出席者になったということは、裏を返せば「出席した人の意見がより強く通る」ということでもあります。特別決議には定足数(各過半数の出席)が設けられたとはいえ、一部の意見だけで物事が進むリスクは残ります。改正法では電子データで作成された規約を送受信により閲覧できる制度が創設されました。オンラインでの総会参加も規約や運用で対応できますので、こうした手段で参加のハードルを下げておきたいところです。

5. 相続が絡む住戸を早めに整理する

所在不明者の除外制度ができたとはいえ、裁判所の手続きには時間も費用もかかります。2024年4月から相続登記も義務化されており、放置するメリットはもうありません。ご自身の住戸に相続や共有の問題がある場合は、売却・建替えの検討が始まる前に整理しておくことをおすすめします。

 東京・首都圏の高経年マンションが並ぶ街並みを俯瞰した風景

よくある質問(FAQ)

Q1. 改正区分所有法はいつから施行されましたか?
区分所有法と被災区分所有法の改正部分は、2026年(令和8年)4月1日から施行されています。根拠法は2025年5月23日に成立、同月30日に公布された「老朽化マンション等の管理及び再生の円滑化等を図るための建物の区分所有等に関する法律等の一部を改正する法律」(令和7年法律第47号)です。マンション管理適正化法・マンション再生円滑化法の一部は2025年11月28日から先行して施行されており、2027年4月1日施行の規定も一部あります。
Q2. 総会に行かない人が多いと修繕が決まらなかったのはなぜですか?
改正前の区分所有法は、決議の母数を「全区分所有者」としていたため、欠席・無回答がそのまま反対票と同じ効果を持っていたからです。改正後は、区分所有権の処分を伴わない事項(修繕など)の決議は集会に出席した区分所有者の多数決で成立します。法務省の資料では、賛成2/5で否決されていたケースが、改正後は賛成2/3で可決される例が示されています。
Q3. 所在がわからない所有者がいる場合はどうなりますか?
裁判所が認定した所在不明の区分所有者を、すべての決議の母数から除外できる制度が新設されました。ただし自動的に除外されるわけではなく、裁判所の手続きが必要です。あわせて、管理不全の専有部分・共用部分について裁判所が選任する管理人に管理させる財産管理制度も創設されています。
Q4. 建替え以外にどんな再生方法が選べるようになりましたか?
建物・敷地の一括売却(建物敷地売却決議)、建物を取り壊したうえでの敷地売却、建物の取壊し、一棟リノベーション(建物更新決議)が、建替えと同じく多数決決議(原則4/5)で選べるようになりました。①耐震性の不足 ②火災に対する安全性の不足 ③外壁等の剝落により周辺に危害を生ずるおそれ ④給排水管等の腐食等により著しく衛生上有害となるおそれ ⑤バリアフリー基準への不適合——このいずれかの客観的事由がある場合は3/4に緩和されます。行政の認定を受けることは要件ではありません。被災区分所有法が適用される政令指定災害の場合は2/3です。あわせてマンション建替円滑化法は「マンションの再生等の円滑化に関する法律(マンション再生法)」に改称され、対象が建替え以外の再生手法にも広がりました。
Q5. 中古マンションを買うとき、管理の良し悪しはどこで見分けられますか?
「マンション管理計画認定制度」の認定の有無が客観的な目安になります。地方公共団体が長期修繕計画や修繕積立金の水準などを審査して認定する仕組みで、国土交通省は認定取得割合を令和6年の約3%から20%へ引き上げるKPIを掲げています。認定を受けた中古マンションはフラット35の金利引下げやフラット50の対象にもなります。あわせて、長期修繕計画の期間(認定基準では30年以上かつ残存期間内に大規模修繕工事が2回以上)、修繕積立金の残高、総会の出席率、大規模修繕の実施履歴も確認しましょう。
Q6. 築40年を超えたマンションは売れなくなりますか?
築年数だけで判断されるわけではありません。2024年末時点で築40年以上のマンションは約148万戸あり、ストック総数713.1万戸の約2割を占めます。東京23区や一都三県の主要駅圏には立地の良い高経年マンションも多く、実際の評価は管理状態・修繕履歴・耐震性に大きく左右されます。改正法によって建替え以外の再生手法が多数決で選べるようになったことは、むしろ「出口が見えやすくなった」という側面もあります。

まとめ:法律は変わりました。動くのは、これからです

今回の改正を一言でまとめるなら、「多数派が動けるようにした改正」です。

修繕も規約変更も出席者の多数決になり、所在等不明者は裁判所の認定を経て母数から外せるようになりました。建替えという一本道しかなかった再生の出口には、一棟リノベーション・建物敷地売却・取壊しという分かれ道ができました。管理不全の住戸には管理人を、危険なマンションには行政の勧告を。どれも「決められない」を「決められる」に変えるための仕組みです。

ただし、法律が変わっただけでは何も起きません。管理規約の見直し、長期修繕計画の点検、管理計画認定の申請——実際に動くのは、そこに住んでいる方々です。築40年超が148万戸から482.9万戸へと向かう20年のあいだに、管理を整えたマンションと、そうでないマンションの差は、価格という形ではっきり表れていくはずです。

「うちのマンションは、どちらだろう」。そう思われたなら、それが動き出すタイミングです。管理組合の資料を一度ひらいてみてください。そして、売却や住み替えを少しでも考えているなら、いまの管理状態がいくらの評価につながるのか、早めに確認しておくことをおすすめします。

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※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の法的判断・税務判断を行うものではありません。実際の手続きにあたっては、管理組合の顧問弁護士・マンション管理士・司法書士等の専門家、および所在地の自治体窓口にご確認ください。