【2026年8月最新】中古マンションの修繕積立金は築20年で1.6倍に|首都圏の管理費・修繕積立金相場と、買う前に確かめる5つの数字
【2026年8月最新】中古マンションの修繕積立金は築20年で1.6倍に|首都圏の管理費・修繕積立金相場と、買う前に確かめる5つの数字
「毎月のローン返済は11万円台。これなら今の家賃とほとんど変わりません」
先日、東京都杉並区の築22年の中古マンションを検討されていたご夫婦から、そんなお話をうかがいました。資金計画も無理がなく、立地も申し分ない。ところが物件資料をお預かりして、管理費と修繕積立金の欄を見た瞬間、少し引っかかりました。管理費13,000円に対して、修繕積立金が7,500円。合計で月20,500円です。
数字だけ見れば「安くて助かる」と思うところですよね。実際、奥様も「思ったより安いですね」とおっしゃっていました。でも築22年でこの金額は、首都圏の平均から見るとかなり低い。長期修繕計画を取り寄せて確認したところ、次回の大規模修繕を前に、修繕積立金を段階的に月18,000円まで引き上げる案が計画に書かれていました。つまり、数年後には毎月1万円以上、住居費が増える可能性があったのです。
住宅ローンの金利には皆さん敏感です。0.1%の違いを何度も比較検討されます。でも、管理費と修繕積立金は「毎月支払う固定費」であるにもかかわらず、物件資料の隅に小さく書かれた数字として、あまり深く検討されないまま契約に進んでしまうことが少なくありません。この記事では、2026年8月時点で公表されている最新の一次データをもとに、首都圏の管理費・修繕積立金のリアルな水準と、購入前に確かめておきたい数字を整理します。
- 首都圏の相場:2025年度の首都圏中古マンションの月額管理費は1戸当たり平均13,895円、修繕積立金は13,910円、合計27,805円。修繕積立金は前年度比5.6%の上昇で、値上がりは修繕積立金側に集中しています。
- 築年数による変化:修繕積立金は築10年以内の10,474円から築21〜30年の16,588円へと約1.6倍に。新築時の金額はスタート地点にすぎません。
- 買う前に見る5つの数字:㎡単価、長期修繕計画の計画期間、積立方式、積立金残高、滞納状況。国土交通省のガイドラインの目安(335円/㎡・月など)と照らせば、その物件の管理が健全かどうかを自分で判断できます。
1. 首都圏の管理費・修繕積立金は月27,805円。上がっているのは修繕積立金だけ
まず全体像から押さえましょう。東日本不動産流通機構(レインズ)が2026年5月28日に公表した「首都圏中古マンションの管理費・修繕積立金(2025年度)」によると、2025年度に成約した首都圏の中古マンションの月額管理費は1戸当たり平均13,895円、修繕積立金は13,910円、合計27,805円でした。
前年度比 +0.3%
前年度比 +5.6%
前年度比 +2.9%
前年度比 +3.1%
出典:公益財団法人 東日本不動産流通機構「REINS TOPIC 首都圏中古マンションの管理費・修繕積立金(2025年度)」(2026年5月28日公表)をもとに自由住宅作成。
ここで注目していただきたいのが、管理費と修繕積立金の伸び方の違いです。管理費は前年度比わずか0.3%の上昇にとどまったのに対し、修繕積立金は5.6%も上がっています。1㎡当たりで見ても、管理費は0.6%、修繕積立金は5.8%。上昇のほとんどが修繕積立金側で起きていることがわかります。
年度
年度
年度
年度
年度
年度
単位:円/月・1戸当たり平均。前年度比は2021年度 +0.3%、2022年度 +2.7%、2023年度 +4.1%、2024年度 +4.7%、2025年度 +5.6%と、上昇ペースが年々加速しています。出典:東日本不動産流通機構「REINS TOPIC 首都圏中古マンションの管理費・修繕積立金(2025年度)」図表2をもとに自由住宅作成。
注:2025年1月からレインズへの築年月・管理費・修繕積立金の登録が必須化されたことに伴い、建築年・総戸数・管理費・修繕積立金がすべて登録された物件のみを抽出した集計です。
理由はシンプルで、工事そのものの値段が上がっているからです。国土交通省の建設工事費デフレーター(2015年度=100)は上昇を続けており、資材価格と労務費の両方が押し上げ要因になっています。外壁塗装も屋上防水も、10年前と同じ工事内容では同じ金額で発注できません。長期修繕計画を見直すたびに必要額が膨らみ、その分を毎月の積立金に転嫁せざるを得ない——これが全国のマンションで同時に起きています。
2. 築10年以内と築21〜30年で1.6倍。「今の金額」は続かない
冒頭のご夫婦のケースにつながる話です。中古マンションを検討するとき、多くの方は「今、いくら払うのか」を見ます。ところが修繕積立金は、築年数に応じて上がっていく性質のお金です。
バーの長さは築21〜30年(16,588円)を100%とした比率。築30年超で金額が下がるのは、専有面積の小さい物件が多いことや、値上げの合意形成が進まず据え置かれているケースが含まれるためと考えられます(1㎡当たりで見ると築30年超は218円で、築21〜30年の239円より低い水準です)。出典:東日本不動産流通機構「REINS TOPIC 首都圏中古マンションの管理費・修繕積立金(2025年度)」図表1をもとに自由住宅作成。
築10年以内の10,474円に対し、築21〜30年は16,588円。約1.6倍です。これは同じマンションが値上げされた記録ではなく、成約した物件を築年帯ごとに平均した数字ですが、それでも「築浅ほど安く、築20年を超えると高くなる」という傾向をはっきり示しています。
この背景にあるのが積立方式です。国土交通省の「令和5年度マンション総合調査」によると、現在の修繕積立金の積立方式は段階増額積立方式が47.1%、均等積立方式が40.5%。しかも、完成年次の新しいマンションほど段階増額積立方式の割合が高くなっています。つまり、新築時に「月8,000円です」と提示された金額は、最初から将来の値上げを織り込んだスタート価格だったわけです。
| 項目 | 均等積立方式 | 段階増額積立方式 |
|---|---|---|
| 採用割合 | 40.5% | 47.1% |
| 特長 | 計画期間中は定額。将来の増額を組み込んでおらず、安定的に積み立てられる | 当初の負担額が小さく、資金需要に応じて徴収する |
| 留意点 | 多額の資金を管理する状況が生じる。計画見直しにより増額が必要になる場合もある | 増額しようとする際に区分所有者間の合意形成ができず、積立金が不足する場合がある |
| 国土交通省の評価 | 将来にわたって安定的な積立てを確保する観点から「望ましい方式」 | 早期に引上げを完了させることが望ましい |
出典:国土交通省「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」(令和6年6月改定)、同「令和5年度マンション総合調査結果概要」。
国土交通省は2024年6月のガイドライン改定で、段階増額積立方式を採る場合の適切な引上げの考え方を示しました。均等積立方式とした場合の月額を基準額とし、計画の初期額は基準額の0.6倍以上、最終額は1.1倍以内に収めるという内容です。裏を返せば、当初の積立額が基準額の0.6倍を大きく下回るマンションは、将来かなり急な値上げを迫られる可能性があるということ。長期修繕計画を確認する際の、実務的なものさしになります。

3. 東京23区は月28,957円。一都三県の地域差を数字で見る
次に、東京・一都三県のエリア別に見ていきましょう。同じ首都圏でも、管理費と修繕積立金の水準には差があります。
単位:円/月・1戸当たり平均。バーの長さは東京都区部の合計28,957円を100%とした比率。出典:東日本不動産流通機構「REINS TOPIC 首都圏中古マンションの管理費・修繕積立金(2025年度)」図表1をもとに自由住宅作成。
グラフを見ていただくと、面白いことに気づきます。東京都区部が高いのは、管理費が15,291円と突出しているからです。修繕積立金だけを取り出すと13,665円で、実は首都圏の中で最も低い部類に入ります。逆に千葉県は管理費12,142円と低めですが、修繕積立金は14,058円と都区部を上回ります。
この違いは、物件価格との関係を見るとさらにはっきりします。レインズは「年間の管理費・修繕積立金が成約㎡単価の何%にあたるか」という比率も公表していますが、東京都区部は合計0.44%なのに対し、千葉県は1.03%、神奈川県の横浜・川崎以外の地域は1.13%です。物件価格が高いエリアほど、維持費の負担感は相対的に軽くなるという構図です。
| 地域 | 管理費 | 修繕積立金 | 合計 | 対成約単価比率(年間) |
|---|---|---|---|---|
| 東京都区部 | 15,291円 | 13,665円 | 28,957円 | 0.44% |
| 東京都多摩 | 12,923円 | 14,371円 | 27,294円 | 0.84% |
| 横浜市・川崎市 | 13,118円 | 14,547円 | 27,665円 | 0.74% |
| 神奈川県(その他) | 13,657円 | 13,547円 | 27,204円 | 1.13% |
| 千葉県 | 12,142円 | 14,058円 | 26,200円 | 1.03% |
| 埼玉県 | 12,018円 | 13,692円 | 25,710円 | 0.97% |
単位:円/月・1戸当たり平均。対成約単価比率は年間の管理費+修繕積立金が成約㎡単価に占める割合。出典:東日本不動産流通機構「REINS TOPIC 首都圏中古マンションの管理費・修繕積立金(2025年度)」。
もうひとつ、規模別のデータも実務では役に立ちます。1㎡当たりの合計額は、50戸未満が484円と最も高く、100〜149戸が394円と最も低い水準です。小規模マンションは工事の量に対して固定費の割合が高くなるため、1戸当たりの負担が重くなりやすい。「戸数が少なくて静かそう」という魅力の裏側には、こうしたコスト構造があることも知っておくと判断がぶれません。
4. 国土交通省の目安と比べる。㎡単価という共通のものさし
ここまで平均値を見てきましたが、平均はあくまで平均です。検討中の物件が適正かどうかを判断するには、国土交通省が公表している「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」(令和6年6月改定)の目安額と比べるのが確実です。
このガイドラインは、実際に作成された長期修繕計画366事例を分析し、専有面積1㎡当たりの月額単価として目安を示しています。ポイントは、マンションの地上階数と建築延床面積で目安が変わることです。
| 地上階数/建築延床面積 | 平均値 | 事例の3分の2が包含される幅 |
|---|---|---|
| 20階未満・5,000㎡未満 | 335円/㎡・月 | 235円〜430円 |
| 20階未満・5,000㎡以上〜10,000㎡未満 | 252円/㎡・月 | 170円〜320円 |
| 20階未満・10,000㎡以上〜20,000㎡未満 | 271円/㎡・月 | 200円〜330円 |
| 20階未満・20,000㎡以上 | 255円/㎡・月 | 190円〜325円 |
| 20階以上(タワーマンション) | 338円/㎡・月 | 240円〜410円 |
機械式駐車場がある場合は別途加算が必要(例:3段ピット2段昇降式で5,840円/台・月を総専有床面積で割った額)。出典:国土交通省「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」(平成23年4月策定、令和6年6月改定)。
専有面積70㎡、地上10階建て、建築延床面積8,000㎡のマンションを検討中で、修繕積立金が月8,400円だったとします。㎡単価は 8,400円 ÷ 70㎡ = 120円/㎡・月。該当区分は「20階未満・5,000㎡以上〜10,000㎡未満」なので、平均値252円、幅は170〜320円です。120円は下限の170円を大きく下回っています。
一方、同じ物件で修繕積立金が月15,400円なら 15,400 ÷ 70 = 220円/㎡・月。目安の幅にきちんと収まっており、健全な水準と判断できます。
ただし注意点があります。国土交通省自身が「目安の範囲に収まっていないからといって、直ちに不適切であると判断される訳ではありません」と明記しています。タイル張りで塗り替えが不要、給排水管がステンレス管で更新時期が遅い、共用施設が最小限——こうした条件なら、目安より低くても十分に足りることがあります。㎡単価はあくまで「気になる物件を見つけるための入口」であり、最終的な判断は長期修繕計画の中身で行うと考えてください。
国土交通省の令和5年度マンション総合調査によると、計画上の修繕積立金の積立額に対して現在の積立額が不足しているマンションは36.6%(前回調査比+1.8ポイント)。しかも不足割合が20%を超えるマンションが11.7%あります。管理組合が「管理に関して取り組むべき課題」の1位も「修繕積立金の積立金額の見直し」で36.2%、将来への不安の3位も「修繕積立金の不足」で39.6%。約3棟に1棟が、計画に対してお金が足りていないのが今の実態です。
5. 買う前に確かめる5つの数字と、管理組合が使える減税制度
では、実際に中古マンションを検討するとき、何を見ればよいのか。私たちが物件をご案内するときに必ず確認する5つの数字を挙げます。いずれも売主側の不動産会社に依頼すれば取り寄せられる資料から読み取れます。
その1:修繕積立金の㎡単価
前章の計算方法で㎡単価を出し、国土交通省の目安と比べます。目安の下限を大きく下回っている場合は、その理由を必ず確認してください。「まだ1回目の大規模修繕前だから」なのか、「値上げの合意が取れずに据え置かれている」のかで、意味はまったく違います。
その2:長期修繕計画の計画期間と最終見直し時期
国土交通省の調査では、長期修繕計画を作成している管理組合は88.4%、計画期間30年以上が72.7%、5年ごとに定期的に見直しているのが63.2%です。逆に言えば、計画がない、あるいは10年近く見直されていないマンションも存在します。計画期間25年未満、または直近5年以内に見直しがない場合は要注意です。建設コストが上がり続けている以上、古い計画の金額はほぼ確実に不足しています。
その3:積立方式(均等か、段階増額か)
長期修繕計画書の収入欄を見れば、毎年同じ額なのか、5年ごとに階段状に増えていくのかがわかります。段階増額積立方式なら、自分が住む予定の期間に、いくらまで上がる計画になっているかを必ず読み取ってください。冒頭のご夫婦のケースは、まさにこれを事前に確認できたことで、資金計画を組み直すことができました。
その4:修繕積立金の現在残高と、次回大規模修繕の予定額
重要事項調査報告書には積立金の残高が記載されています。次回の大規模修繕の予定時期と概算額に対して、残高と今後の積立見込みで足りるか。足りなければ、一時金の徴収か、借入れか、値上げのいずれかが待っています。
その5:管理費等の滞納状況
3か月以上の滞納住戸があるマンションは全国で30.1%。滞納が多いマンションは、単純に資金が不足するだけでなく、値上げの合意形成も難しくなりがちです。重要事項調査報告書の滞納額欄は、管理組合の体力を測る指標として見てください。
「マンション長寿命化促進税制」は、管理計画認定を受けるなど一定の要件を満たすマンションで、2027年(令和9年)3月31日までに一定の大規模修繕工事が行われた場合、建物部分に係る翌年度分の固定資産税を6分の1から2分の1以下の範囲(参酌基準は3分の1)で減額する制度です。減額対象は1戸当たり100㎡相当分まで。適用には、修繕積立金の額を国土交通省が示す水準まで引き上げたことなどが条件になります。
つまり「積立金をきちんと引き上げた管理組合ほど得をする」設計になっているわけです。検討中のマンションが管理計画認定を取得しているかどうかは、管理の質を測る有力な手がかりにもなります。

よくある質問(FAQ)
まとめ|「毎月2万円台の固定費」を、金利と同じ熱量で見てください
もう一度、要点を整理します。
- 2025年度の首都圏中古マンションの管理費は月13,895円、修繕積立金は13,910円、合計27,805円。修繕積立金だけが前年度比5.6%上昇し、その伸び率は年々加速しています。
- 修繕積立金は築10年以内の10,474円から築21〜30年の16,588円へ約1.6倍。段階増額積立方式が47.1%を占め、購入時の金額はスタート地点にすぎません。
- 東京都区部は月28,957円で首都圏最高。ただし高いのは管理費で、修繕積立金は都区部が最も低い部類です。
- 国土交通省のガイドラインの目安(335円/㎡・月など)と比べれば、その物件の水準を自分で判断できます。積立不足のマンションは36.6%。
- 確認すべきは、㎡単価・長期修繕計画の計画期間と見直し時期・積立方式・積立金残高・滞納状況の5つ。
冒頭のご夫婦は、長期修繕計画を確認したうえで、そのマンションの購入を見送りました。物件そのものは気に入っていたのですが、「10年後に月18,000円になる前提で、教育費のピークと重なる」という点が引っかかったそうです。その後、別の築15年のマンションを、修繕積立金の㎡単価が目安内に収まっていることを確認したうえで購入されました。
誤解のないようにお伝えすると、修繕積立金が高いマンションは「損」ではありません。むしろ、必要な工事を計画どおりに実施できるマンションは、20年後も30年後も資産価値を保ちます。怖いのは、安さの理由を知らないまま買ってしまうことです。
住宅ローンの金利差0.1%を何時間もかけて比較されるなら、その半分の時間でかまいません。長期修繕計画書と重要事項調査報告書に目を通してみてください。数字は、必ず何かを語っています。
東京・一都三県で中古マンションをお探しの方へ
「この物件の修繕積立金、大丈夫でしょうか」——そのひと言から始まるご相談を、私たちは何よりも歓迎しています。長期修繕計画書の読み解き、管理組合の健全性チェック、リフォーム費用まで含めた資金計画まで、自由住宅グループがワンストップでお手伝いします。
- 公益財団法人 東日本不動産流通機構「REINS TOPIC 首都圏中古マンションの管理費・修繕積立金(2025年度)」(2026年5月28日公表)https://www.reins.or.jp/pdf/trend/rt/rt_202605.pdf
- 国土交通省「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」(平成23年4月策定/令和6年6月改定)https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001747009.pdf
- 国土交通省「令和5年度マンション総合調査結果(とりまとめ)」(令和6年6月21日報道発表)https://www.mlit.go.jp/report/press/house03_hh_000210.html
- 国土交通省「令和5年度マンション総合調査結果概要」(別紙2)https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001750093.pdf
- 国土交通省「建設工事費デフレーター」https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/jouhouka/sosei_jouhouka_tk4_000112.html
- 東日本不動産流通機構「不動産市場動向(統計)」https://www.reins.or.jp/library/
※本記事は2026年8月20日時点で公表されている情報に基づいています。制度の内容や適用期限は変更される場合があります。個別の物件判断や税務のご相談は、専門家または管轄の窓口にご確認ください。
※レインズのデータをもとに自由住宅株式会社がグラフを作成しています。