2026年5月不動産市況レポート
新築は最高値ラッシュ、中古マンションに潮目の兆し
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上がり続ける新築、揺れ始めた中古。今月の数字が教えてくれること。
「家を買うなら今なのか、それとも待つべきなのか」。ニュースで不動産価格の話題を目にするたびに、そんな問いが頭をよぎる人は多いはずだ。新築を検討している人も、実家じまいや住み替えで中古物件の売却を考えている人も、注文住宅で理想の住まいを一からつくろうとしている人も、拠りどころにしたいのは「今、実際に何が起きているか」という事実である。本記事では、株式会社東京カンテイ、公益財団法人東日本不動産流通機構(東日本レインズ)、アットホームラボ株式会社という3つの調査機関が2026年6月に相次いで公表した、2026年5月分の首都圏不動産市況データを整理する。新築一戸建て、中古一戸建て、新築小規模一戸建て、中古マンションのそれぞれで何が起きていたのか、公表された数字をもとに見ていきたい。
- 2026年5月の首都圏新築一戸建て平均価格は5,043万円(東京カンテイ、前月比+2.3%)で、2014年4月の集計開始以来の最高値を更新した。アットホームラボの募集価格調査でも5,078万円(前年同月比+6.0%、21カ月連続上昇)と、上昇基調が裏付けられている。
- 中古一戸建ても東京都が前月比+19.5%の7,586万円(東京カンテイ)と大きく上昇。東日本レインズの成約データでも首都圏平均4,215万円(前年同月比+8.7%)と5カ月連続で上昇した。
- 一方、中古マンションの成約㎡単価は80.78万円/㎡(東日本レインズ)で前年同月比-3.9%となり、2020年4月以来73カ月ぶりに前年同月比でマイナスに転じた。ただし募集価格(アットホームラボ)は22カ月連続で上昇しており、売り希望価格と成約実績の間にずれが生まれつつある。
- 価格の動きはエリアによって大きく異なる。首都圏を一括りにせず、自分が関心を持つ都県・エリアの数字を確認することが欠かせない。
目次
CHAPITRE I
新築一戸建て:最高値ラッシュは続く、東京23区は前年比+33.4%
まず新築一戸建てから見ていこう。東京カンテイが2026年6月9日に発表したプレスリリースによると、2026年5月の首都圏(東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県)における新築一戸建て住宅(木造・所有権・土地面積100~300㎡)の平均価格は、前月比+2.3%の5,043万円だった。これは2014年4月の集計開始以降で最高価格となる。都県別では東京都が前月比+7.0%の6,355万円と3カ月ぶりに上昇し、前年同月比では2ケタの伸びに達した。神奈川県も前月比+3.8%の5,516万円と、こちらも最高価格を更新している。一方、千葉県は前月比-3.5%の4,110万円、埼玉県は前月比-1.3%の4,058万円といずれも下落したが、東京カンテイによれば、いずれも直近3カ月の平均価格は上回っているという。
新築一戸建て平均価格 首都圏・都県別(2026年5月・万円)
出典:株式会社東京カンテイ「新築一戸建て住宅平均価格」プレスリリース(2026年6月9日発表)を基に独自作成。対象は木造・所有権物件・土地面積100~300㎡。
主要都市別では、東京23区の平均価格が前月比-4.2%の11,486万円だった。ただし前年同月比は+33.4%という大きな伸びになっている。これは2025年5月の東京23区の平均価格が8,000万円台まで下落していたことの反動によるもので、東京カンテイもこの点を指摘している。都下(東京都下)は前月比+7.4%の5,459万円で最高価格を更新した。横浜市は前月比+2.4%の6,181万円と4カ月連続の上昇、川崎市は前月比+2.5%の5,585万円と、いずれも堅調に推移している。
この新築一戸建ての上昇基調は、別の調査でも裏付けられる。アットホームラボ株式会社が2026年6月24日に公表した「首都圏における新築戸建の価格動向(2026年5月)」によれば、消費者向けに登録・公開された新築戸建の募集価格(売り希望価格)の首都圏平均は5,078万円で、前月比+1.0%と3カ月連続の上昇、前年同月比では+6.0%と21カ月連続で上昇している。東京23区は前月比+4.0%、前年同月比+18.6%といずれも過去最大の上昇幅を記録した。東京都(23区/都下)、神奈川県(横浜市・川崎市/他)、埼玉県(さいたま市/他)、千葉県西部の7エリアが2017年1月以降の最高額を更新しており、うち都下の最高額更新は15カ月連続に及ぶ。実際の取引に近い東京カンテイのデータと、募集段階のアットホームラボのデータの両方が同じ方向を示していることから、新築一戸建ての価格上昇は一時的なものではなく、複数の指標にまたがる傾向だと言える。
CHAPITRE II
中古一戸建て:東京都が19.5%上昇、成約価格も5カ月連続上昇
中古一戸建てにも、新築と同様の上昇圧力が見られる。東京カンテイの調査では、2026年5月の首都圏中古一戸建て住宅(木造・所有権・土地面積100~300㎡)の平均価格は前月比+2.8%の4,254万円と、前月に続いて上昇した。都県別では東京都が前月比+19.5%の7,586万円と5カ月ぶりに上昇し、2014年4月の集計開始以降で最高価格となった。千葉県も前月比+2.8%の3,016万円と続伸している。一方、神奈川県は前月比-1.6%の4,243万円と3カ月連続で下落し、平均築年数も2年近く進んだという。埼玉県も前月比-6.3%の2,766万円と下落し、前年同月も下回っている。主要都市別では、東京23区の平均価格が前月比+22.3%の13,752万円と5カ月ぶりの上昇で、東京カンテイは「都心に加え城南・城西エリアなど複数の区で高額事例」が見られたと分析している。
実際の成約価格を集計する東日本レインズのデータでも、同様の傾向が確認できる。月例速報Market Watchサマリーレポート2026年5月度によると、首都圏の中古戸建住宅の成約件数は1,835件で前年同月比+2.9%と2カ月連続で増加した。成約価格は4,215万円で前年同月比+8.7%、前月比+0.9%と5カ月連続で上昇している。在庫件数は23,087件で前年同月比-1.7%と4カ月連続で減少しており、売り物件が徐々に少なくなる中で価格が上がりやすい状況がうかがえる。エリア別の成約価格(前年同月比)を見ると、神奈川県が+16.4%の4,433万円、東京都区部が+14.5%の7,900万円、千葉県が+8.1%の2,704万円、埼玉県が+7.8%の2,770万円と、首都圏全域で上昇していることが分かる。
中古戸建住宅 成約価格の前年同月比(2026年5月・%)
出典:公益財団法人東日本不動産流通機構「月例速報Market Watch サマリーレポート 2026年5月度」を基に独自作成。中古戸建住宅の成約価格・前年同月比。
興味深いのは、東京カンテイの募集価格ベースでは埼玉県・神奈川県が前月比で下落していた一方、東日本レインズの成約価格ベースでは両県ともに前年同月比でプラスになっている点だ。これは、月ごとの成約物件の質(立地や築年数、面積)によって平均価格が変動しやすい中古住宅市場の特性を示している。単月の数字の増減だけで一喜一憂せず、複数カ月・複数の指標を合わせて見ることが欠かせない。

CHAPITRE III
新築小規模一戸建て:東京都は初の8,000万円台に
都心部で近年増えている「小規模一戸建て」(土地面積50~100㎡未満)にも触れておきたい。東京カンテイの調査によると、2026年5月の首都圏新築小規模一戸建て住宅の平均価格は前月比+5.9%の6,271万円と続伸した。都県別では東京都が前月比+7.9%の8,314万円と上昇し、2014年4月の集計開始以降で初めて8,000万円台に乗せた。埼玉県は前月比+8.6%の4,908万円と、首都圏の中で最も大きく上昇している。神奈川県も前月比+4.0%の5,157万円と3カ月ぶりに上昇した。千葉県は前月比-0.9%の4,611万円と下落したものの、直近3カ月の平均価格は上回っている。
新築小規模一戸建て平均価格 首都圏・都県別(2026年5月・万円)
出典:株式会社東京カンテイ「新築小規模一戸建て住宅平均価格」プレスリリース(2026年6月9日発表)を基に独自作成。対象は木造・所有権物件・土地面積50~100㎡未満。
主要都市別では、東京23区が前月比+8.7%の9,754万円と上昇して最高価格を更新した。東京カンテイは「都心エリアの平均価格上昇と戸数増加がけん引したとみられる」と分析している。都下も前月比+7.6%の5,378万円と上昇し、3カ月ぶりに5,000万円台に乗せた。埼玉県ではさいたま市に加え、朝霞市や志木市などでも大きく上昇したという。土地面積を抑えたコンパクトな新築住宅であっても、都心に近いエリアでは1億円に迫る水準まで価格が上がってきていることが分かる。
CHAPITRE IV
中古マンション:成約単価は73カ月ぶり下落、募集価格とのねじれ
新築・中古一戸建てが軒並み上昇基調にある一方で、中古マンションには異なる動きが見え始めている。東日本レインズの月例速報によると、2026年5月の首都圏中古マンションの成約件数は3,709件で前年同月比-3.4%と2カ月連続で減少した。成約㎡単価は80.78万円/㎡で、前年同月比-3.9%となり、2020年4月以来73カ月ぶりに前年同月比でマイナスに転じた。前月比も-6.0%と大きく下落し、東日本レインズによれば、この水準は1990年11月(80.14万円/㎡)とほぼ同じだという。成約価格も5,067万円で、前年同月比-4.6%となり2024年10月以来19カ月ぶりに前年同月比でマイナスへ転じた。前月比も-4.8%下落している。一方で在庫件数は45,804件で前年同月比+3.4%と3カ月連続で増加しており、売り物件が増える中で成約単価が下がるという構図が見て取れる。
首都圏中古マンション 成約㎡単価の推移(万円/㎡)
出典:公益財団法人東日本不動産流通機構「月例速報Market Watch サマリーレポート 2026年5月度」を基に独自作成。首都圏(1都3県)の中古マンション成約㎡単価。
エリア別に見ると、事情はもう少し複雑だ。成約件数は東京都区部が1,452件で前年同月比-17.9%と5カ月連続で減少した一方、千葉県は445件で+19.9%、神奈川県他(横浜市・川崎市を除く地域)は281件で+14.2%と増加している。成約㎡単価についても、東京都区部は131.24万円/㎡で前年同月比+2.0%と、2020年5月から73カ月連続で上昇を続けている。つまり、都心の㎡単価そのものは上がり続けているにもかかわらず首都圏全体の平均㎡単価が下落しているのは、成約件数の中心が都心から郊外へ移っていることが平均を押し下げている可能性がある。
もう一つ押さえておきたいのが、募集価格との「ねじれ」だ。アットホームラボが2026年6月24日に公表した「首都圏における中古マンションの価格動向(2026年5月)」によれば、首都圏の中古マンション1戸あたり平均募集価格は5,764万円で、前月比・前年同月比ともに22カ月連続で上昇している。13カ月連続で8エリア全てが前年同月を上回っており、東京都(23区/都下)、神奈川県(横浜市・川崎市/他)、埼玉県(さいたま市/他)、千葉県西部は2017年1月以降の最高額を更新した。ただし、東京23区の前月比上昇率は1%を割り込んでおり、上昇ペースそのものは鈍化している。売り出し中の物件の希望価格(募集価格)は依然として上昇を続けている一方、実際に成約する価格の単価(成約㎡単価)は下落に転じた——この2つの指標の乖離は、売却を検討している人にとって特に見過ごせないポイントだ。
今の首都圏の住宅市場は、いくつもの支流が合流する大きな河口に似ている。新築一戸建てという上流の水位は最高値を更新し続けている一方、中古マンションの成約単価という支流では、目に見えて水位が下がり始めた。それでいて、中古マンションの「売り出し価格」という別の水路はまだ上昇を続けている。同じ「不動産市況」という川面を見ていても、どの支流のほとりに立っているかによって景色はまるで違う。自分が今どの支流を見ているのかを知ることが、住まいの計画を立てる最初の一歩になる。
CHAPITRE V
5月の数字から見えてくる、住まいを考える人への3つの視点
ここまで見てきた数字を、実際に住まいを検討している人の立場に置き換えて整理してみたい。
いずれの立場であっても共通して言えるのは、首都圏を一つの塊として捉えず、自分が関心を持つ都県・エリアの最新データを確認することの大切さだ。本記事で紹介した東京カンテイ、東日本レインズ、アットホームラボの各レポートは、いずれも月次で公表されている。気になるエリアがあれば、記事末尾の出典から一次情報にあたってみてほしい。
CHAPITRE VI
まとめ
2026年5月の首都圏不動産市況を振り返ると、新築一戸建て・中古一戸建て・新築小規模一戸建てはいずれも上昇基調が続き、複数のエリアで過去最高値を更新した。一方で中古マンションは、成約㎡単価が73カ月ぶりに前年同月比でマイナスへ転じるという転換点を迎えつつも、募集価格は22カ月連続で上昇を続けるという、一見矛盾した状況にある。この「ねじれ」こそが、2026年5月の市況を理解するうえで見逃せない手がかりだ。価格が動く局面では、一つの数字だけを見て判断せず、複数の調査機関のデータを照らし合わせながら、自分の状況に合った意思決定をしていきたい。迷ったときは一人で抱え込まず、専門家に相談することも大切な選択肢の一つである。
CHAPITRE VII
よくある質問
Q.2026年5月の首都圏の新築一戸建て平均価格はいくらですか?
東京カンテイの集計では、2026年5月の首都圏新築一戸建て平均価格は前月比+2.3%の5,043万円で、2014年4月の集計開始以来の最高値を更新しました。アットホームラボの募集価格調査でも5,078万円(前月比+1.0%、前年同月比+6.0%、21カ月連続上昇)と、いずれのデータでも上昇が確認されています。
Q.中古マンションの価格は下がり始めているのですか?
東日本レインズの成約データによると、2026年5月の首都圏中古マンション成約㎡単価は80.78万円/㎡で、前年同月比-3.9%となり2020年4月以来73カ月ぶりに前年同月比でマイナスに転じました。前月比も-6.0%です。ただし、売り希望価格を示すアットホームラボの募集価格は22カ月連続で上昇しており、募集価格と成約実績の間に差が生まれつつある点には注意が必要です。
Q.東京23区の新築一戸建て価格が前年同月比で大きく上昇しているのはなぜですか?
東京カンテイの分析では、2025年5月の東京23区新築一戸建て平均価格が8,000万円台まで下落していたため、その反動で2026年5月の前年同月比が+33.4%という高い伸び率になったと説明されています。前月比では-4.2%の11,486万円で、単月ごとの振れ幅が大きい点に留意が必要です。
Q.首都圏の中でエリアによる価格差はありますか?
あります。中古一戸建ての東京カンテイ調査では、2026年5月の東京都が前月比+19.5%と大きく上昇した一方、埼玉県は前月比-6.3%と下落しました。中古マンションの成約件数でも、東京都区部が前年同月比-17.9%と減少する一方、千葉県は+19.9%と増加するなど、エリアごとに動きが異なっています。
Q.このレポートのデータはどこから来ていますか?
株式会社東京カンテイの新築一戸建て・中古一戸建て・新築小規模一戸建てに関するプレスリリース(2026年6月9日発表)、公益財団法人東日本不動産流通機構(東日本レインズ)の月例速報Market Watchサマリーレポート2026年5月度(2026年6月10日公表)、アットホームラボ株式会社の新築戸建・中古マンション募集価格動向レポート(2026年6月24日発表)を基にしています。詳細な出典は記事末尾をご確認ください。
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公益財団法人東日本不動産流通機構(東日本レインズ)「月例速報Market Watch サマリーレポート 2026年5月度」(2026年6月10日公表) https://www.reins.or.jp/library/#
アットホームラボ株式会社「首都圏における新築戸建の価格動向(2026年5月)」(2026年6月24日発表) https://www.athomelab.co.jp/report/detail.php?id=587 (プレスリリースPDF:こちら)
アットホームラボ株式会社「首都圏における中古マンションの価格動向(2026年5月)」(2026年6月24日発表) https://www.athomelab.co.jp/report/detail.php?id=588 (プレスリリースPDF:こちら)
本記事に掲載した統計データは、上記各社・各機関が2026年6月に公表した2026年5月分のデータに基づきます。最新の数値は各社・各機関の公式サイトで必ずご確認ください。(公開日:2026年6月30日)