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耐震リフォームと住宅診断の全手順ガイド――補助金・減税・東京23区の助成制度まで

作成者: 自由住宅㈱|6/4/26, 5:19 AM

耐震リフォームと住宅診断の全手順ガイド
―補助金・減税・東京23区の助成制度まで

2026年8月3日更新
この記事でわかること
  • 旧耐震基準の住宅とは、1981年(昭和56年)5月31日以前に建築確認を受けた住宅のこと。まず登記簿の建築時期を確認するのが第一歩です。
  • 2025年12月に改定された首都直下地震(都心南部直下地震)の被害想定は、建物の全壊・焼失 約40.2万棟/死者 約1.8万人。2013年想定(約61万棟/最大約2.3万人)より減少しましたが、減災目標の「半減」には届いていません。
  • 令和5年時点の住宅の耐震化率は全国で約90%。ただし戸建て住宅は約85%で、耐震性が不十分な戸建てが全国に約450万戸残っています。
  • 木造2階建ての耐震改修工事費は中央値186万円。延べ床100㎡なら約180万円が目安です(日本建築防災協会データ)。
  • 耐震改修の所得税控除は2028年12月31日まで3年延長されました(最大25万円)。固定資産税の1/2減額も2031年3月31日まで5年延長されています。
  • 東京23区は23区すべてで、旧耐震木造住宅の耐震診断と耐震改修の助成制度があります(除却助成19区、耐震シェルター助成17区)。

「建てて30年になるけど、まあ今まで何ともなかったし……」。そう思って、耐震のことを後回しにしていませんか。

2025年12月19日、内閣府は首都直下地震の被害想定を約10年ぶりに改定しました。ニュースでは「約40万棟が全壊・焼失」という数字が大きく報じられましたが、実はこの数字、前回(2013年)の想定より約21万棟減っています。耐震化と火災対策が着実に効いているのです。

ただし、朗報だけではありません。国が掲げた「10年で死者数・全壊焼失棟数を半減させる」という減災目標は、達成できていません。理由のひとつが、住宅の耐震化率が目標(95%)に届いていないことです。つまり、まだ「自分の家」でやれることが残っている、ということです。

この記事では、東京・一都三県で家を持つ方に向けて、2026年8月時点で使える制度を整理しました。難しい制度名も、できるだけ噛み砕いてお伝えします。

1. あなたの家は「旧耐震」?築年数と耐震基準の見分け方

旧耐震基準の住宅とは、1981年(昭和56年)5月31日以前に建築確認を受けた住宅のことです。建築基準法は大きな地震のたびに改正されてきましたが、最大の転換点が1981年6月1日の改正でした。

旧耐震・新耐震・2000年基準の違い

区分 建築確認の時期 基準の考え方 リスクの目安
旧耐震基準 1981年(昭和56年)5月31日以前 震度5強程度の地震で大きな損傷を受けない 震度6強〜7では倒壊のおそれ
新耐震基準 1981年(昭和56年)6月1日以降 震度6強〜7程度でも倒壊しない 比較的安全だが個別診断が望ましい
2000年基準 2000年(平成12年)6月1日以降 地盤調査、接合部の金物、耐力壁の配置バランスを規定 さらに安全性が高い

出典:国土交通省「住宅・建築物の耐震化について」

確認方法:登記簿(登記事項証明書)の「表題部」に記載された新築年月日、または建築確認通知書の日付で判断します。基準となるのは「完成日」ではなく「建築確認を受けた日」です。1981年6月〜1982年ごろに完成した住宅は、旧耐震基準で確認申請が出ている可能性があるため、書類の確認が特に重要です。

マンションの場合:「昭和56年6月1日以降に建築確認を受けたか」で判断します。築40年以上のマンションにお住まいの方は、管理組合に耐震診断の実施状況を確認してみましょう。東京23区では全23区にマンション耐震化助成の制度があります。

2. 首都直下地震の新被害想定を正しく読む――数字は減ったが目標は未達

2025年12月19日に公表された新しい被害想定(都心南部直下地震・Mw7.3)では、建物の全壊および焼失が約40.2万棟、死者数は約1.8万人と想定されています。これは2013年の想定(約61万棟/約1.6万〜2.3万人)から、いずれも減少した数字です。

図1:都心南部直下地震の被害想定 — 2013年想定と2025年想定の比較
単位:建物被害は万棟、死者数は万人
約61万棟
 
約40.2万棟
 
最大約2.3万人
 
約1.8万人
 
建物被害(全壊・焼失)
死者数
2013年想定 2025年想定
注:2013年想定と2025年想定は、想定するハザード・被害想定手法・人口や建物の曝露量が異なるため、単純比較はできない点に留意が必要です。2013年想定の死者数は約1.6万〜2.3万人の幅で示されており、グラフは上限値を表示しています。
出典:内閣府 中央防災会議 首都直下地震対策検討ワーキンググループ「首都直下地震の被害想定と対策について(報告書)」(2025年12月19日公表)

なぜ被害想定が減ったのか

減少の内訳を見ると、対策の効果がはっきりわかります。

被害の要因 2013年想定 2025年想定 主な減少理由
揺れによる建物全壊 約17.5万棟 約11.2万棟 建物の耐震化の進展
地震火災による焼失 約41.2万棟 約26.8万棟 感震ブレーカーの普及、喫煙率低下等による出火率減少
建物倒壊等による死者 約6,400人 約5,300人 建物の耐震化の進展
地震火災による死者 約8,900〜1.6万人 約1.2万人 火災対策の推進

出典:内閣府「都心南部直下地震の被害想定【定量的な被害量】」(2025年12月)

図2:2025年想定における死者数の要因別内訳(都心南部直下地震・合計 約1.8万人)
単位:人
地震火災
 
約1.2万人
建物倒壊等
 
約5,300人
ブロック塀・
屋外落下物等
 
約400人
急傾斜地崩壊
 
約70人
注:バーの長さは最大値(地震火災 約1.2万人)を100%とした相対値です。建物倒壊等には屋内収容物の移動・転倒、屋内落下物による死者 約700人を含みます。
出典:内閣府「都心南部直下地震の被害想定【定量的な被害量】」(2025年12月)
減災目標は達成できていません
国は「首都直下地震緊急対策推進基本計画」で、10年間で死者数を概ね半減させる目標を掲げていました。しかし実際の減少は約35%にとどまりました(この35%という数字は、目標設定時と同じ算定手法に揃えて内閣府が再推計した死者数 約1.5万人にもとづくもので、上のグラフの想定値とは算定条件が異なります)。内閣府は要因として、テレワーク普及による在宅率の増加に加え、住宅の耐震化率の目標(95%)と家具固定率の目標(65%)が達成できていないことを挙げています。

つまり、被害を減らす余地は「まだ耐震化されていない住宅」に残っている、ということです。

過去の大地震でも、同じことが繰り返されてきました。1995年の阪神・淡路大震災では倒壊した建物の多くが旧耐震基準のものでしたし、2024年の能登半島地震でも旧耐震基準の木造家屋に被害が集中しました。地震はいつ来るかわかりません。だからこそ、「来る前に動く」ことに意味があります。

3. 住宅の耐震化率は約90%。それでも戸建てに450万戸の課題

住宅の耐震化率とは、住宅ストック全体のうち耐震性を有する住宅の割合のことで、令和5年(2023年)時点で全国約90%です。国土交通省が総務省「住宅・土地統計調査」をもとに推計した最新値です。

図3:耐震性が不十分な住宅の推移(全国・万戸)
単位:万戸
約1,150
 
約1,050
 
約900
 
約700
 
約570
 
平成15年
75%
平成20年
79%
平成25年
82%
平成30年
87%
令和5年
90%
1,000万戸超 700〜900万戸 600万戸未満 下段の%は耐震化率
注:棒の高さは耐震性が不十分な住宅の戸数(平成15年 約1,150万戸を最大値=200pxとした比例表示)。平成30年時点で推計方法の改善が行われています。目標は令和17年(2035年)までに耐震性が不十分な住宅をおおむね解消すること。
出典:国土交通省「住宅の耐震化率(全国)」(総務省「住宅・土地統計調査」をもとに国土交通省推計)

戸建てと共同住宅では、状況がまったく違う

全体では約90%でも、住宅の種類別に見ると差は歴然です。

図4:住宅の種類別 耐震化率(令和5年・全国)
単位:%
住宅全体
 
約90%
戸建て住宅
 
約85%
共同住宅
 
約96%
バーの長さは耐震化率(100%=バー全幅)。出典:国土交通省「住宅の耐震化率(全国)」(令和5年推計値)
区分 総戸数 耐震性あり 耐震性が不十分 耐震化率
住宅全体 約5,570万戸 約5,000万戸 約570万戸 約90%
戸建て住宅 約2,930万戸 約2,480万戸 約450万戸 約85%
共同住宅 約2,640万戸 約2,530万戸 約110万戸 約96%

出典:国土交通省「住宅の耐震化率(全国)」令和5年推計値。四捨五入のため内訳の合計は総数と一致しない場合があります。

耐震性が不十分な住宅 約570万戸のうち、約450万戸(約8割)が戸建て住宅です。首都圏で「木造の一戸建てにお住まいの方」こそ、この記事の内容が直接関係します。

なお、令和5年住宅・土地統計調査によれば、2019年以降に耐震改修工事を行った持ち家は全国で63万7千戸、持ち家全体の1.9%にとどまります。東京都は1.5%で全国平均を下回っており、首都圏はむしろ改修が進みにくい地域です。

4. 耐震診断の受け方と「上部構造評点」の読み方

耐震診断とは、建築士などの専門家が壁の量・配置・接合部・基礎・劣化の状況を調べ、その建物が地震に耐えられるかを数値で評価する調査のことです。木造住宅の場合、結果は「上部構造評点」という指標で示されます。

上部構造評点の判定基準(木造・一般診断法)

上部構造評点 判定 必要な対応
1.5以上 倒壊しない 対応不要
1.0以上1.5未満 一応倒壊しない 原則として対応不要(改修の到達目標)
0.7以上1.0未満 倒壊する可能性がある 耐震補強が必要
0.7未満 倒壊する可能性が高い 耐震補強が強く必要

出典:一般財団法人日本建築防災協会「耐震改修工事費の目安」。木造以外(RC造・S造など)はIs値で判定し、0.6以上が「危険性が低い」となります。

多くの自治体の助成制度では、「上部構造評点1.0未満」が耐震改修助成の対象要件になっています。改修後の到達目標も「1.0以上」に設定されるのが一般的です。まず診断を受けて評点を知ることが、すべての制度活用の入口になります。

耐震診断の種類と費用の目安

診断の種類 主な対象 費用の目安 所要時間
一般診断法(木造戸建て) 旧耐震基準の木造住宅 自費なら10〜40万円程度/自治体助成で無料〜数千円のケースが多い 半日〜1日
ホームインスペクション(簡易) 中古住宅の購入検討時 4〜6万円程度 1〜3時間
既存住宅状況調査(宅建業法対応) 中古住宅の売買時 6万円〜 2〜3時間

注:費用は事業者・物件規模により幅があります。自治体助成の内容は市区町村ごとに異なるため、必ず窓口でご確認ください。

耐震診断を受ける4ステップ

手順1 お住まいの市区町村の窓口に問い合わせる
「木造住宅耐震診断助成」「耐震診断士派遣」などの制度名で検索するか、住宅・建築担当課に電話で確認します。東京都内であれば「東京都耐震ポータルサイト」から区市町村別の制度を検索できます。

手順2 申請書類を提出する
一般的に必要な書類は、固定資産税納税通知書、登記事項証明書(登記簿謄本)、建築確認通知書または検査済証などです。

手順3 派遣された建築士が訪問診断
壁の量と配置、接合部の状況、基礎の状態、劣化の程度などを現地でチェックします。

手順4 診断結果報告書を受け取る
上部構造評点が示されます。1.0未満なら耐震補強を検討する段階です。

全国の制度を横断的に探したい場合は、国土交通省の特設サイト「住まいの耐震化 補助金・支援制度検索」で郵便番号から検索できます。

 

5. 耐震リフォームの費用相場――中央値186万円の実データ

木造2階建て住宅の耐震改修工事費は、中央値186万円です。これは日本建築防災協会が、平成9年(1997年)以降に自治体の補助制度を利用した24,865事例のデータをもとに公表している実績値です。最も多い価格帯は100万〜150万円未満で、半数以上の工事が約190万円以下で行われています。

図5:延べ面積別 耐震改修工事費の目安(木造2階建て・耐震診断前の概算)
単位:万円
150万円
 
180万円
 
200万円
 
230万円
 
250万円
 
270万円
 
75㎡
100㎡
125㎡
150㎡
175㎡
200㎡
200万円未満 200〜240万円 240万円以上
注:棒の高さは270万円を最大値(180px)とした比例表示。金額は日本建築防災協会が公表している目安額をそのまま用いています(同協会は算定式「耐震改修工事費(万円)=12.1 × 延べ面積(㎡)の0.58乗」を示していますが、公表表の数値とは丸めによる小差があります)。実際の工事費は建物の状態や工事条件によりかなりのばらつきがあります。
出典:一般財団法人日本建築防災協会(国土交通大臣指定耐震改修支援センター)「耐震改修工事費の目安」

木造住宅の耐震改修費の中央値

建物の種類 最も多い価格帯 中央値
木造住宅(平屋建て) 100万〜150万円未満 140万円
木造住宅(2階建て) 100万〜150万円未満 186万円

出典:日本建築防災協会「耐震改修工事費の目安」(平成9年以降の補助制度利用 24,865事例のデータに基づく)

耐震診断を受けた後は、より正確な見積りが可能に

診断で上部構造評点がわかれば、「現在の評点」と「目標の評点1.0」の差から、より具体的な費用の目安を出せます。たとえば延べ面積120㎡・現在の評点0.3の木造2階建てなら、目安は約190万円です。

評点差(改修後1.0との差) 100㎡ 150㎡ 200㎡
0.3(評点0.7 → 1.0) 110万円 140万円 160万円
0.5(評点0.5 → 1.0) 140万円 180万円 200万円
0.7(評点0.3 → 1.0) 170万円 210万円 240万円

木造2階建ての場合。算定式「耐震改修工事費(万円)=17.4 ×(評点差 × 延べ面積㎡)の0.53乗」による。出典:日本建築防災協会「耐震改修工事費の目安」

主な工事内容と費用のイメージ

工事内容 費用の目安 効果
耐力壁の追加・補強(1か所) 9〜15万円 水平力への抵抗力を直接高める。最も費用対効果が高い
柱・梁の接合金物補強(1か所) 5〜20万円 柱の引き抜けを防ぐ。2000年基準で義務化された部分
基礎の補強 20〜30万円 無筋コンクリート基礎の増し打ち等
屋根の軽量化(葺き替え) 80〜150万円 建物上部を軽くして地震力そのものを減らす

注:金額は一般的な目安であり、建物の状態・地域・施工会社により変動します。実際の費用は耐震診断と補強設計を経た見積りでご確認ください。

予算が足りない場合の選択肢:耐震シェルター・耐震ベッド
建物全体の改修が難しい場合、寝室など一部屋だけを守る「耐震シェルター」や「耐震ベッド」という選択肢もあります。東京23区のうち17区がこの設置費用の助成制度を設けています(後述)。高齢のご家族が住む家では、現実的な第一手になります。
 

6. 2026年に使える減税制度【令和8年度税制改正で延長】

耐震改修の減税制度は、令和8年度税制改正によって所得税・固定資産税ともに適用期限が延長されました。旧情報では「令和7年12月31日まで」とされていましたが、現在は下表のとおりです。

制度 内容 適用期限(令和8年度税制改正後)
所得税の特別控除
(耐震改修)
標準的な工事費用相当額の10%を所得税から控除。
対象工事限度額 250万円/最大控除額 25万円
2028年(令和10年)12月31日まで
(3年延長)
固定資産税の減額
(耐震改修)
工事完了の翌年度分の固定資産税額を1/2に減額(床面積120㎡相当分まで) 2031年(令和13年)3月31日まで
(5年延長)
固定資産税の減額
(長期優良住宅化)
耐震改修または省エネ改修により認定長期優良住宅に該当することとなった場合、翌年度分を1/3に減額 2031年(令和13年)3月31日まで
所得税の特別控除
(長期優良住宅化)
耐震+省エネ+耐久性なら対象工事限度額500万円(太陽光設置時600万円)/最大控除50万円(60万円)
耐震または省エネ+耐久性なら限度額250万円(350万円)/最大控除25万円(35万円)
2028年(令和10年)12月31日まで

出典:国土交通省「令和8年度税制改正概要」(令和7年12月)「既存住宅のリフォームに係る特例措置の延長」

特に重要な避難路の沿道にある住宅は優遇が厚くなります。自治体が「特に重要な避難路」として指定した道路の沿道にある住宅では、耐震改修をした場合の固定資産税減額が2年間1/2に、認定長期優良住宅に該当することとなった場合は翌年度1/3・翌々年度1/2になります。東京23区は緊急輸送道路や特定緊急輸送道路の沿道が多く、該当する可能性があります。お住まいの区の窓口で確認してみてください。

国と自治体の補助金

耐震診断・耐震改修には、国と地方公共団体が協調して費用の一部を補助する制度(住宅・建築物安全ストック形成事業)があります。実際に申請する窓口は市区町村で、補助率・上限額は自治体ごとに異なります。次章で東京23区の状況を見ていきます。

融資制度:住宅金融支援機構

住宅金融支援機構には、耐震改修工事に対するリフォーム融資があります。また満60歳以上の方が耐震改修工事を含むリフォームを行う場合、毎月の支払を利息のみとする「高齢者向け返済特例」や、機構の利子補給により無利子または低利子で利用できる【リ・バース60】という選択肢もあります。年齢要件があるため、詳細は機構の公式サイトでご確認ください。

順番を間違えないでください。補助金も減税も、「工事の前に申請する」ことが原則です。工事を始めてから申請しても対象外になるケースが大半です。また、多くの自治体の助成は年度ごとの予算枠があり、予算に達し次第受付終了となります。まず窓口に問い合わせる――ここから始めてください。

7. 東京23区の耐震化助成制度――23区すべてに制度あり

東京23区では、23区すべてで旧耐震基準の木造住宅を対象とした耐震診断助成と耐震改修助成が実施されています。東京都耐震ポータルサイトに掲載されている区市町村の助成制度一覧(令和7年度)を集計すると、次のようになります。

図6:東京23区における木造住宅(旧耐震基準)の助成メニュー実施区数
単位:区
耐震診断
 
23区
耐震改修工事
 
23区
除却(解体)
 
19区
耐震シェルター
 
17区
補強設計
 
17区
建替え
 
9区
注:バーの長さは23区を100%とした割合(19区=82.6%、17区=73.9%、9区=39.1%)。旧耐震基準(昭和56年5月以前)の木造住宅を対象とする助成メニューの有無を集計したもので、助成率・上限額は区により異なります。加えて、新耐震基準(2000年5月まで)の木造住宅を対象とする助成も21区が実施、マンション耐震化助成は23区すべてに制度があります。
出典:東京都耐震ポータルサイト「耐震化助成制度|令和7年度 区市町村の耐震化促進事業に係る助成制度一覧」を集計(2026年8月3日時点)

助成額の水準は区によって差があります

助成率や上限額は区ごとに設定されており、世帯要件や地域要件で上乗せされることもあります。公表されている例を挙げると――

自治体(例) 耐震改修工事助成の内容
北区 工事費の2/3、1棟100万円が限度。整備地域内は120万円、高齢者世帯等は150万円が限度
江東区 高齢者世帯の助成限度額を200万円に、障害者等世帯は助成割合10/10・限度額300万円に拡充
府中市(多摩地区) 耐震改修費用の1/2、限度額170万円

出典:各自治体公表資料。制度内容・限度額は年度ごとに見直されます。必ずお住まいの区市町村の最新情報をご確認ください。

一都三県のうち東京都は、東京都耐震ポータルサイトで区市町村の制度を横断検索できる仕組みが整っています。「木造住宅密集地域(木密地域)」や「整備地域」に指定されているエリアでは助成が手厚くなる傾向があるため、ご自宅の所在地が該当するかどうかも合わせて確認する価値があります。神奈川県・埼玉県・千葉県にお住まいの場合は、国土交通省の特設サイトから郵便番号検索でお探しください。

8. 中古住宅を買う前に。ホームインスペクション(住宅診断)とは

ホームインスペクション(住宅診断)とは、建築士などの専門家が住宅の劣化状況や不具合を客観的に調査し、報告する制度のことです。雨漏り、シロアリ被害、基礎のひび割れ、構造上の問題などを、購入前にプロの目で確認できます。

2016年(平成28年)の宅地建物取引業法改正により、2018年(平成30年)4月1日から、不動産業者には媒介契約時に「建物状況調査(インスペクション)のあっせんができる旨」を書面で示す義務が課されています。つまり、買主が申し出れば専門家を紹介してもらえる仕組みが、すでに制度として組み込まれています。

項目 内容
費用相場 4〜6万円程度(物件規模・調査内容による)
所要時間 1〜3時間程度
調査内容 基礎・外壁・屋根・内部(床・壁・天井)・設備など。目視を中心とした非破壊調査
実施できる人 既存住宅状況調査技術者(建築士が国の登録講習を修了した者)

出典:国土交通省「建物状況調査(インスペクション)活用の手引き」

なぜ購入前に受けるべきなのか

外観がきれいにリフォームされている中古住宅ほど、注意が必要です。表面の仕上げは新しくても、壁の内部や床下の状態は見えません。購入後に雨漏りや腐朽が見つかり、数百万円の修繕費が発生する――という事態は実際に起こり得ます。

インスペクションの費用(4〜6万円)は、こうしたリスクに対する「事前の情報料」と考えると、決して高い出費ではありません。結果次第で価格交渉の材料にもなりますし、購入を見送るという判断もできます。

旧耐震の中古住宅を検討している方は、耐震診断との組み合わせが有効です。インスペクションは主に劣化・不具合の調査、耐震診断は構造の耐力評価と、目的が違います。両方を受けることで「今の状態」と「地震への強さ」の両面を把握できます。

また、令和8年度税制改正では住宅ローン減税が5年間延長(2026年〜2030年入居)され、質の高い既存住宅について借入限度額と控除期間が拡充されました。中古住宅の購入と耐震改修・性能向上リフォームを組み合わせる場合は、適用要件と限度額を国土交通省の公式資料で必ずご確認ください。制度は入居年や住宅の性能区分によって細かく分かれています。
「うちの家の耐震性が心配」
「中古住宅の購入前にインスペクションを受けたい」
東京・一都三県で家づくりとリフォームを手がける自由住宅が、
耐震診断から補助金の活用までご相談を承ります。

よくある質問

Q旧耐震基準とは何ですか?

A旧耐震基準とは、1981年(昭和56年)5月31日以前に建築確認を受けた建物に適用されていた基準です。「震度5強程度の地震で大きな損傷を受けない」ことを目標としており、震度6強〜7の地震では倒壊のおそれがあります。1981年6月1日以降の建築確認が新耐震基準、2000年6月1日以降がさらに強化された「2000年基準」です。判断の基準は建物の完成日ではなく建築確認を受けた日なので、登記事項証明書や建築確認通知書で確認してください。

Q耐震診断は無料で受けられますか?

A多くの自治体で無料または数千円程度の自己負担で受けられます。東京23区では23区すべてが旧耐震基準の木造住宅を対象とした耐震診断助成を実施しています(令和7年度・東京都耐震ポータルサイト集計)。自費で受ける場合の相場は10〜40万円程度なので、助成制度の活用による差は大きいです。ただし対象となる築年数・構造・所有形態の要件は区市町村ごとに異なるため、まずお住まいの自治体の住宅担当課にお問い合わせください。

Q耐震リフォームの費用はいくらかかりますか?

A木造2階建て住宅で中央値186万円、木造平屋で中央値140万円です(日本建築防災協会が24,865事例をもとに公表)。最も多い価格帯はいずれも100万〜150万円未満で、木造2階建ての半数以上が約190万円以下で完了しています。延べ面積別の目安は、100㎡で約180万円、150㎡で約230万円、200㎡で約270万円です。ここから補助金・所得税控除・固定資産税減額を差し引けるため、実質負担はさらに下がります。

Q耐震改修の減税制度はいつまで使えますか?

A令和8年度税制改正により延長されました。所得税の特別控除は2028年(令和10年)12月31日まで(対象工事限度額250万円、最大控除額25万円)、固定資産税の1/2減額は2031年(令和13年)3月31日までです。以前の情報では「令和7年12月31日まで」とされていましたが、これは改正前の期限です。なお、いずれも工事前の申請・手続きが原則で、着工後では対象外となる場合があります。

Q上部構造評点はいくつあれば安心ですか?

A1.0以上が「一応倒壊しない」の目安で、多くの自治体の助成制度でも改修後の到達目標が1.0以上に設定されています。1.5以上なら「倒壊しない」、0.7以上1.0未満は「倒壊する可能性がある」、0.7未満は「倒壊する可能性が高い」という判定です。助成の対象要件は「診断結果が1.0未満であること」としている自治体が多いため、まず診断を受けて評点を知ることが制度活用の入口になります。

Q首都直下地震の被害想定は前回より悪化したのですか?

Aいいえ、数値としては減少しています。2025年12月に公表された都心南部直下地震の想定は、建物の全壊・焼失が約40.2万棟(2013年想定は約61万棟)、死者数が約1.8万人(同 約1.6万〜2.3万人)です。建物の耐震化と火災対策の進展が主な理由とされています。ただし国が掲げた「10年で半減」という減災目標に対しては約35%減にとどまり、内閣府は住宅の耐震化率が目標(95%)に届いていないことを要因として挙げています。楽観できる状況ではありません。

Q全体の改修は難しいのですが、他に方法はありますか?

A寝室など一部屋だけを守る「耐震シェルター」や「耐震ベッド」という選択肢があります。東京23区のうち17区がこの設置費用の助成制度を設けています。建物全体の改修よりも費用と工期を抑えられるため、高齢のご家族が住む住宅や、近く建替えを予定している住宅では現実的な選択肢になります。また、旧耐震の建物を解体する際の除却助成も19区で実施されています。

9. まとめ――「備えてから、安心して暮らす」ための3ステップ

耐震リフォームもホームインスペクションも、「何かあってから」では遅い。でも、正しい順番で動けば、それほど難しい話ではありません。

手順1 「旧耐震かどうか」を確認する
登記事項証明書の新築年月日、または建築確認通知書の日付を確認します。1981年(昭和56年)5月31日以前の建築確認なら旧耐震基準です。費用ゼロ・所要時間は数分。ここから始めましょう。
手順2 自治体の耐震診断助成を申し込む
東京23区なら23区すべてに制度があります。東京都耐震ポータルサイト、または国土交通省の特設サイトから制度を確認し、住宅担当課へ。無料〜数千円で上部構造評点がわかります。
手順3 評点1.0未満なら、制度を組み合わせて改修する
自治体の補助金+所得税控除(最大25万円・2028年末まで)+固定資産税1/2減額(2031年3月末まで)。この3つを組み合わせれば、実質負担は工事費の見積額よりかなり圧縮できます。すべて工事前の申請が原則です。

令和5年時点で、耐震性が不十分な住宅は全国に約570万戸。うち約450万戸が戸建てです。国の目標は令和17年(2035年)までにこれをおおむね解消すること。逆にいえば、今後10年は制度が手厚い期間だということでもあります。

地震は「いつか来るもの」ではなく、「いつ来ても不思議ではないもの」。首都直下地震の被害想定が10年ぶりに見直された今こそ、お手元の「備え」を一度点検してみてください。家族の命と大切な家を守る第一歩は、「まず調べる」ことです。

「何から始めていいかわからない」という方こそ、
まずはご相談ください。
耐震診断・耐震リフォーム・住宅診断(インスペクション)のご相談、
東京23区・多摩地区・一都三県で承ります。
出典・参考資料

※本記事の情報は2026年8月3日時点のものです。補助金・税制・助成制度は変更される場合があります。実際の適用可否および金額は、各公式サイトおよびお住まいの自治体窓口で必ずご確認ください。