GX志向型住宅とは、ZEH基準の水準を大きく上回る省エネ性能を有する脱炭素志向型の住宅をいいます。国土交通省・環境省の合同事業である「みらいエコ住宅2026事業」が定める補助対象住宅の区分のひとつで、同事業のなかで最も高い補助額が設定されています。認定制度ではなく、補助事業の要件として定義されている区分です。
戸建住宅の場合、次の4つをすべて満たす必要があります。このうち③だけが立地によって変わり、①②④はどの立地でも共通です。
| 要件 | 一般(右の2つ以外) | 寒冷地または低日射地域 | 多雪地域または都市部狭小地等 |
|---|---|---|---|
| ①断熱等性能等級 | 等級6以上 | 等級6以上 | 等級6以上 |
| ②再生可能エネルギーを除く一次エネルギー消費量削減率 | 35%以上 | 35%以上 | 35%以上 |
| ③再生可能エネルギーを含む一次エネルギー消費量削減率 | 100%以上 | 75%以上 | 要件なし |
| ④高度エネルギーマネジメントの導入 | 必要 | 必要 | 必要 |
※①は外皮平均熱貫流率および冷房期の平均日射取得率に関する基準に限ります。②は一次エネルギー消費量等級8を満たす必要があります。出典:みらいエコ住宅2026事業「新築住宅の省エネ性能」(2026年6月1日更新・2026年9月25日確認)
①の断熱等性能等級6は、住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)にもとづく日本住宅性能表示基準の等級です。同事業の長期優良住宅・ZEH水準住宅が等級5以上であるのに対し、GX志向型住宅は1段階上を求めています。②は設備の効率で達成する部分で、太陽光発電などの再生可能エネルギーを差し引いた状態で35%以上の削減が条件です。
③は再生可能エネルギーを含めた数字です。100%以上ということは、住宅で使う一次エネルギーの量と、太陽光発電などで創るエネルギーの量が釣り合う状態、つまりZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)と同じ考え方になります。
③再生可能エネルギーを含む一次エネルギー消費量削減率の要件は、立地に応じて100%以上・75%以上・要件なしの3段階に分かれます。太陽光発電の発電量が地域の気候と敷地の条件に左右されるため、同じ基準を全国一律に当てはめない設計になっています。4つの区分の定義は次のとおりです。
| 区分 | 定義 |
|---|---|
| 寒冷地 | 建築物省エネ法にもとづく地域の区分で、1地域または2地域に該当する地域 |
| 低日射地域 | 年間の日射地域区分でA1またはA2に該当する地域 |
| 多雪地域 | 建築基準法施行令86条の規定により特定行政庁が定める垂直積雪量が100cm以上の地域 |
| 都市部狭小地等 | 第一種・第二種低層住居専用地域、第一種・第二種中高層住居専用地域、田園住居地域、条例で北側斜線制限が定められている地域のいずれかに該当し、かつ敷地面積が85㎡未満の敷地(住宅が平屋の場合を除く) |
出典:みらいエコ住宅2026事業「新築住宅の省エネ性能」(2026年9月25日確認)
首都圏の家づくりで意味をもつのは4つめの「都市部狭小地等」です。敷地面積85㎡(約25.7坪)未満で、低層住居専用地域などの用途地域にあり、平屋でない住宅であれば、③の要件がなくなります。北側斜線制限と敷地の狭さで屋根の面積が確保できない住宅でも、①断熱等性能等級6以上・②削減率35%以上・④高度エネルギーマネジメントの3つを満たせばGX志向型住宅として申請できることになります。
出典:みらいエコ住宅2026事業「新築住宅の省エネ性能」(2026年6月1日更新・2026年9月25日確認)
※戸建住宅の多雪地域・都市部狭小地等と、共同住宅で住宅用途部分が6階以上を占めるものは、この要件がありません。共同住宅の階数は、住宅用途部分が過半を占める階の数で判定します。出典:同上
みらいエコ住宅2026事業の新築の補助額は、建築物省エネ法にもとづく「地域の区分」で1〜4地域と5〜8地域の2段階に分かれます。床面積が50㎡以上240㎡以下の住宅が対象で、床面積は建築基準法の床面積(壁芯算定)で確認します。
| 補助対象住宅 | 1〜4地域 | 5〜8地域 | 対象となる世帯 |
|---|---|---|---|
| GX志向型住宅 | 125万円/戸 | 110万円/戸 | すべての世帯 |
| 長期優良住宅 | 80万円/戸 | 75万円/戸 | 子育て世帯または若者夫婦世帯 |
| ZEH水準住宅 | 40万円/戸 | 35万円/戸 | 子育て世帯または若者夫婦世帯 |
※長期優良住宅・ZEH水準住宅は、建替前住宅等の除却を行う場合に20万円/戸が加算されます(複数の古家を除却しても加算は20万円が上限)。GX志向型住宅に除却の加算はありません。GX志向型住宅は、GXへの協力表明を行った事業者が建築する住宅に限られます。出典:みらいエコ住宅2026事業「事業概要」「対象要件の詳細【注文住宅の新築】」(2026年9月25日確認)
出典:みらいエコ住宅2026事業「事業概要」(2026年9月25日確認)
※古家の除却による加算額(長期優良住宅・ZEH水準住宅の20万円/戸)は含めていません。強調しているのは首都圏の市街地に適用される5〜8地域のGX志向型住宅です。出典:同上
地域の区分は市町村ごとに定められています。東京・一都三県の市街地はおおむね6地域で、一部が5地域です。いずれも5〜8地域に入るため、GX志向型住宅の補助額は110万円/戸になります。
| 地域の区分 | 該当する市町村の例 |
|---|---|
| 4地域 | 東京都檜原村・奥多摩町、埼玉県秩父市(旧大滝村に限る) |
| 5地域 | 東京都青梅市・羽村市・あきる野市・瑞穂町・日の出町、埼玉県飯能市・日高市、千葉県印西市・富里市、神奈川県山北町・愛川町・清川村 |
| 6地域 | 東京23区・八王子市・立川市・武蔵野市・三鷹市・町田市など、さいたま市・川越市・川口市・所沢市など、千葉市・市川市・船橋市・松戸市・柏市など、横浜市・川崎市・相模原市・平塚市・鎌倉市など |
※建築物のエネルギー消費性能の向上等に関する法律(平成27年=2015年法律第53号)にもとづく「地域の区分」の別表第10から抜き出したものです。合併前の旧市町村単位で区分が分かれる市町村があるため、実際の区分は建築地の住所で確認してください。出典:国土交通省「建築物エネルギー消費性能基準等を定める省令における算出方法等に係る事項(平成28年国土交通省告示第265号)」別表第10(2026年9月25日確認)
みらいエコ住宅2026事業の交付申請は予算の上限に達した時点で受付が終わります。GX志向型住宅とその他の住宅で予算が分かれており、それぞれ2期に分けて受け付ける仕組みです。第1期は2026年5月12日で終わり、現在は第2期です。
| 区分 | 第1期(2026年3月31日〜5月12日) | 第2期(2026年5月13日〜12月31日) |
|---|---|---|
| GX志向型住宅(環境省) | 200億円(全体の約26%)を上限。受付終了 | 第1期と合わせて750億円(全体の100%)を上限 |
| 長期優良住宅・ZEH水準住宅(国土交通省) | 400億円(全体の約27%)を上限。受付終了 | 第1期と合わせて1,450億円(全体の100%)を上限 |
※注文住宅の新築(ZEH水準住宅に限る)における第2期の交付申請の受付期間は、2026年5月13日〜2026年9月30日までです。出典:みらいエコ住宅2026事業 公式サイト(2026年9月25日確認)
公式サイトは予算に対する補助金申請額の割合を毎日更新しています。2026年9月25日午前0時の時点では、GX志向型住宅が最も進んでいます。
出典:みらいエコ住宅2026事業 公式サイト(2026年9月25日午前0時時点・同日確認)
※割合は、提出された交付申請(条件付き交付申請を含む)および交付申請の予約の総額に対するものです。審査中を含み、却下または取り下げされたものを含みません。上限に達し次第、交付申請(予約を含む)の受付が終了します。出典:同上
前身の「子育てグリーン住宅支援事業」(2025年度)では、GX志向型住宅の予算500億円が2025年7月から12月の第3期のうちに100%に達し、受付が終了しました。長期優良住宅・ZEH水準住宅分は67%、リフォームは44%で終わっています。予算の枠が区分ごとに分かれているため、区分によって締切の時期が大きく違う点は今回も同じです。
| 手続き | 期限 | ZEH水準住宅の場合の期限 |
|---|---|---|
| 交付申請の予約 | 遅くとも2026年11月16日まで | 遅くとも2026年8月17日まで |
| 交付申請 | 遅くとも2026年12月31日まで | 遅くとも2026年9月30日まで |
| 一定以上の出来高の工事完了の報告 | 交付申請の提出から2027年1月31日まで | 同左 |
| 基礎工事への着手 | 2025年11月28日以降に着手したものが対象 | 同左 |
| 工事請負契約 | 契約期間は問わない。ただし建築着工までに契約が締結されていること | 同左 |
※いずれも予算上限に達した場合はその時点で受付が終了します。基礎工事とは根切り工事または基礎杭打ち工事をいいます。交付申請は基礎工事の完了以降に行えます。出典:みらいエコ住宅2026事業「対象要件の詳細【注文住宅の新築】」(2026年9月25日確認)
みらいエコ住宅2026事業には立地等の除外要件があり、災害の危険性が高い区域に立地する新築住宅は補助の対象になりません。次の8つのいずれかに当たると対象外です。着工時点で①②④〜⑦に該当する場合であっても、対策工事の完了等により区域の指定の解除が予定されていることを地方公共団体が公表しているときに限り、対象になります。
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| ① | 土砂災害特別警戒区域に立地する住宅 |
| ② | 急傾斜地崩壊危険区域に立地する住宅 |
| ③ | 地すべり防止区域に立地する住宅 |
| ④ | 市街化調整区域であって、土砂災害警戒区域に立地する住宅 |
| ⑤ | 市街化調整区域であって、浸水想定区域に立地する住宅 |
| ⑥ | 市街化調整区域以外の区域かつ災害危険区域であって、土砂災害警戒区域に立地する住宅 |
| ⑦ | 市街化調整区域以外の区域かつ災害危険区域であって、浸水想定区域に立地する住宅 |
| ⑧ | 都市再生特別措置法88条5項の規定により、当該住宅に係る届出をした者が同条3項の勧告に従わなかった旨が公表された住宅 |
※⑤⑦の浸水想定区域は、水防法にもとづく洪水浸水想定区域または高潮浸水想定区域のうち浸水想定高さ3m以上の区域をいい、都道府県管理河川に係るものだけが対象です(国管理河川に係るものは対象外)。交付申請にあたっては、建築士が該当の有無を各自治体等に確認し、その結果を申告する必要があります。出典:みらいエコ住宅2026事業「新築住宅の立地等の除外要件」(2026年9月25日確認)
判定は敷地と住宅の位置関係で分かれます。公式サイトは判定基準の例として、敷地と住宅の一部が区域内にある場合、敷地の一部だけが区域内で住宅は区域外にある場合などを図で示しています。土地の購入前に建築士へ確認しておくと、補助を前提にした資金計画が崩れずに済みます。
同じ事業のなかで3つの区分が並んでいるため、求められる省エネ性能と対象になる世帯を並べて確認しておきます。GX志向型住宅だけが世帯の条件なく申請できる点も違いのひとつです。長期優良住宅とZEH水準住宅は、賃貸住宅の新築を除き、子育て世帯または若者夫婦世帯に限られます。
| 区分 | 断熱等性能等級 | 一次エネルギー消費量 | そのほかの要件 |
|---|---|---|---|
| GX志向型住宅 | 等級6以上 | 再生可能エネルギーを除く削減率35%以上(一次エネルギー消費量等級8) | 再生可能エネルギーを含む削減率100%以上(立地により75%以上または要件なし)、高度エネルギーマネジメントの導入 |
| 長期優良住宅 | 等級5以上 | 一次エネルギー消費量等級6以上 | 所管行政庁(都道府県、市区町村等)の認定 |
| ZEH水準住宅 | 等級5以上 | 再生可能エネルギーを除く削減率20%以上(一次エネルギー消費量等級6) | — |
※断熱等性能等級は、いずれも外皮平均熱貫流率および冷房期の平均日射取得率に関する基準に限ります。出典:みらいエコ住宅2026事業「新築住宅の省エネ性能」(2026年6月1日更新・2026年9月25日確認)
ZEH水準住宅から長期優良住宅へは、断熱等性能等級が同じままで、一次エネルギー消費量等級と認定の有無が変わります。GX志向型住宅は断熱等性能等級が1段階上がり、削減率が20%から35%へ上がり、さらに再生可能エネルギーと高度エネルギーマネジメントが加わります。補助額の差(5〜8地域で35万円と110万円)は、この要件の差に対応しています。
GX志向型住宅は、性能の要件が高い代わりに、世帯の条件がなく補助額が最も大きい区分です。首都圏で検討するときの要点は次のとおりです。
QGX志向型住宅には、長期優良住宅のような認定制度があるのですか?
Aありません。GX志向型住宅は「みらいエコ住宅2026事業」という補助事業のなかで定義された補助対象住宅の区分で、所管行政庁の認定を受ける制度ではありません。省エネ性能を満たしていることは、BELS評価書や設計住宅性能評価書・建設住宅性能評価書などの証明書で確認します。所管行政庁の認定が必要なのは長期優良住宅です。
Q太陽光発電を載せられない狭い敷地でも、GX志向型住宅になりますか?
A条件を満たせばなります。敷地面積が85㎡未満で、第一種・第二種低層住居専用地域、第一種・第二種中高層住居専用地域、田園住居地域、条例で北側斜線制限が定められている地域のいずれかに該当する敷地(住宅が平屋の場合を除く)は、再生可能エネルギーを含む一次エネルギー消費量削減率の要件がありません。残る3つの要件、断熱等性能等級6以上・再生可能エネルギーを除く削減率35%以上・高度エネルギーマネジメントの導入は満たす必要があります。
Q補助額の110万円と125万円は、どちらが適用されるか自分で確かめられますか?
A建築地の市町村が地域の区分の何番に当たるかで決まります。区分は建築物省エネ法にもとづき国土交通省が別表で定めており、東京23区・さいたま市・千葉市・横浜市などは6地域なので110万円/戸です。東京都檜原村・奥多摩町と埼玉県秩父市(旧大滝村)は4地域で125万円/戸になります。合併前の旧市町村単位で区分が分かれる市町村があるため、境目に近い場所では住所で確認してください。
Qすでに着工している住宅でも申請できますか?
A2025年11月28日以降に基礎工事(根切り工事または基礎杭打ち工事)に着手した住宅が対象です。交付申請は基礎工事の完了以降に行えます。ただし2027年1月31日の時点で、基礎工事着手以降の工事の出来高が補助額以上になっていることが必要です。竣工していなくても構いませんが、この出来高の報告が確認できないと交付申請は却下され、交付決定済みの場合は取り消されます。
Q自分で補助金を申請するのですか?
Aいいえ。建築主に代わって「みらいエコ住宅事業者」として登録された住宅事業者が交付申請を行い、交付された補助金を建築主に還元します。GX志向型住宅の場合は、さらに「GXへの協力表明」を行った事業者が建築する住宅に限られます。戸建住宅については各登録事業者が申請できる戸数の上限が原則300戸/月と決められているため、契約前に登録の有無と申請の見通しを確認しておくと安全です。
Q昨年度の子育てグリーン住宅支援事業とは何が違いますか?
A事業の名称と補助額、予算の規模が変わりました。2025年度の子育てグリーン住宅支援事業ではGX志向型住宅の補助額が一律160万円/戸で、予算は500億円でした。2026年度のみらいエコ住宅2026事業では地域区分に応じて125万円/戸・110万円/戸となり、予算は750億円に増えています。長期優良住宅・ZEH水準住宅分は1,600億円から1,450億円になりました。前年度のGX志向型住宅分は予算上限に達して受付が終了しています。
東京・一都三県で注文住宅や土地探しをお考えの方へ。補助の対象になる性能と立地の条件は、土地を決める段階から関わってきます。
自由住宅では、敷地の面積・用途地域・斜線制限・災害の区域指定を図面と資料で確認しながら、その土地でどの性能まで現実的に届くかをご説明しています。補助金の交付申請そのものは登録事業者が行う手続きですので、ご検討中の会社が登録事業者かどうかの確認方法もあわせてお伝えします。
土地探しと家づくりのご相談はこちら本記事は2026年9月25日時点で公表されている情報にもとづいています。予算に対する補助金申請額の割合は毎日更新されるため、申請を検討する際は必ず公式サイトで最新の状況をご確認ください。個別の住宅が補助の要件を満たすかどうかの判断は、設計内容と建築地の条件によります。