変動金利型の住宅ローンとは、返済の途中で適用金利が定期的に見直される住宅ローンです。国土交通省の「民間住宅ローンの実態に関する調査」は、全期間固定金利型・固定金利期間選択型・証券化ローン(フラット35等)のいずれにもあたらないものを変動金利型と定義しています。
民間金融機関の住宅ローンでは、変動金利型が大半を占めます。同調査によると、令和6年度(2024年度)の新規貸出額のうち変動金利型は83.5%、令和6年度末の貸出残高では70.8%でした。借りる側の調査でも同じ傾向で、住宅金融支援機構が2026年1月に行った調査では、借りた住宅ローンの金利タイプは変動型が75.0%でした。
出典:住宅金融支援機構「住宅ローン利用者の実態調査(2026年1月調査)」(2026年2月公表・2026年9月26日確認)
変動金利型の適用金利は、金融機関が定める基準金利から、契約時に決めた優遇幅を差し引いて決まるのが一般的です。基準金利は短期の市場金利に連動して動くことが多く、その短期金利の目標を決めているのが日本銀行の政策金利です。このため、政策金利が上がると、時間差をおいて変動金利型の適用金利にも波及します。
短期プライムレートとは、銀行が信用力の高い企業に1年以内の期間で貸し出すときの最優遇金利です。多くの銀行が変動金利型住宅ローンの基準金利をこの短期プライムレートに連動させており、日本銀行は主要行(都市銀行5行)の最頻値・最高値・最低値を公表しています。
日本銀行は2026年6月16日に政策金利を1.0%程度へ引き上げ、同年9月18日にさらに1.25%程度へ引き上げました(賛成7反対2)。短期プライムレートの最頻値は、2009年1月から2024年8月まで1.475%のまま動きませんでしたが、2024年9月以降は利上げのたびに段階的に上がっています。
出典:日本銀行「長・短期プライムレート(主要行)の推移」(2026年9月11日現在・2026年9月16日更新・2026年9月26日確認)
※実施日は、2009年1月13日(1.475%)、2024年9月2日(1.625%)、2025年3月17日(1.875%)、2026年2月9日(2.125%)、2026年8月3日(2.375%)です。2026年9月18日の利上げを受けた変更は、2026年9月11日現在のこのデータにはまだ含まれていません。
2024年8月までの1.475%から2026年8月の2.375%まで、上昇幅は0.9ポイントです。基準金利が同じ幅で動いた場合、優遇幅は契約時のまま変わらないため、適用金利もおおむね同じ幅だけ上がります。9月18日の利上げが短期プライムレートと住宅ローンの基準金利にどう反映されるかは、各金融機関の発表を待つ必要があります。
| 時期 | 内容 | 出典 |
|---|---|---|
| 2026年2月9日 | 短期プライムレート(最頻値)2.125% | 日本銀行 |
| 2026年6月16日 | 政策金利を1.0%程度へ引き上げ | 日本銀行 |
| 2026年8月3日 | 短期プライムレート(最頻値)2.375% | 日本銀行 |
| 2026年9月 | フラット35の最頻金利3.460%(前月比0.170ポイント上昇) | 住宅金融支援機構 |
| 2026年9月18日 | 政策金利を1.25%程度へ引き上げ(9月24日から適用) | 日本銀行 |
5年ルールとは、変動金利型で適用金利が変わっても、毎月の返済額は5年ごとにしか見直さない決まりです。125%ルールとは、5年ごとの見直しで返済額が増える場合でも、新しい返済額を前回の125%までに抑える決まりです。
三菱UFJ銀行は、変動金利かつ元利均等返済で借りた場合に5年ルール・125%ルールがあり、元金均等返済の場合はないと説明しています。楽天銀行も用語集で同じ内容を説明し、自行で適用していると明記しています。ルールの有無と内容は、金融機関と商品ごとの契約で決まります。
| 項目 | 5年ルール | 125%ルール |
|---|---|---|
| 決めていること | 毎月の返済額を見直す間隔(5年ごと) | 見直し後の返済額の上限(前回の125%) |
| 金利が上がったときに起きること | 次の見直しまで返済額は変わらず、元金と利息の内訳が変わる | 計算上の返済額が125%を超えても、超えた分は次の見直しに持ち越される |
| 対象になる返済方法 | 変動金利型の元利均等返済 | 変動金利型の元利均等返済 |
| 総返済額への効果 | 減らない(利息は金利どおりにかかる) | 減らない(返済を先送りするだけ) |
5年ルール・125%ルールは、利息を安くする仕組みではありません。毎月の返済額の急な増加を和らげるだけで、利息は見直し後の金利どおりにかかります。返済額が据え置かれている間は、元金の減り方が遅くなり、その分があとの返済に回ります。
金利の上昇に上限を設ける商品もあります。国土交通省の調査では、変動金利型の適用金利があらかじめ設定した上限を超えない「上限金利特約付き(金利キャップ特約付き)」の住宅ローンを取り扱っている機関は、回答1,004機関のうち123機関(12.3%)でした。取り扱いは少数です。
元利均等返済とは、毎月の返済額(元金と利息の合計)を一定にする返済方法です。返済額が一定でも、中身の元金と利息の割合は残高と金利によって変わります。次の図は、借入3,000万円・35年・当初金利0.5%で借りた人の初回の返済額77,876円のうち、利息が占める割合を、金利の水準ごとに示したものです。
出典:当社試算(借入3,000万円・35年・元利均等返済。借入直後の残高で計算)
返済額を据え置いたまま金利が上がると、毎月の返済のうち元金に充てられる額が減ります。次の表は、借入から1年後に適用金利が上がり、その後は同じ金利が続いたと仮定して、5年ルール・125%ルールのもとで返済額がどう動くかを試算したものです。
| 2年目からの金利 | 5年目の最後の返済のうち利息 | 5年後の残高 | 6年目からの毎月返済額 |
|---|---|---|---|
| 0.5%(変わらない) | 10,873円 | 約2,603万円 | 77,876円(変わらない) |
| 1.25% | 28,052円 | 約2,688万円 | 89,577円(15.0%増) |
| 2.0% | 46,313円 | 約2,776万円 | 97,345円(計算上は102,593円だが125%で頭打ち。11年目から103,996円) |
| 3.5% | 85,207円(返済額を超える) | 約2,921万円(2年目から減らない) | 97,345円(125%で頭打ち。その後も段階的に増える) |
※当社試算。1〜5年目の毎月返済額はどの場合も77,876円です。金利は比較のために置いた仮の値で、特定の金融機関の金利ではありません。実際の返済額は金融機関の計算方法と端数処理によって異なります。
金利が1.25%に上がった場合、5年間は返済額が変わらないため、家計への影響は見えにくいままです。ところが5年後の残高は、金利が変わらなかった場合より約85万円多く残り、6年目から毎月の返済額が11,701円増えます。「返済額が変わっていないから影響はない」とは言えません。
未払利息とは、金利の上昇でその月の利息が毎月の返済額を上回ったとき、払いきれずに残る利息のことです。5年ルールで返済額が据え置かれている間に金利が大きく上がると発生します。未払利息が出ている間は、返済額のすべてが利息に充てられ、元金は減りません。
上の試算の条件(借入3,000万円・35年・当初金利0.5%・返済額77,876円)では、借入から1年後の残高約2,921万円に対して、適用金利が約3.2%を超えると未払利息が出ます。表の3.5%の例がこれにあたり、2年目から5年目の終わりまで元金がまったく減りません。
| 適用金利 | 借入直後の1か月分の利息 | 返済額77,876円との関係 |
|---|---|---|
| 1.25% | 31,250円 | 返済額の中に収まり、元金も減る |
| 2.0% | 50,000円 | 返済額の中に収まるが、元金の減りは当初の約4割 |
| 3.0% | 75,000円 | 元金に充てられるのは月3,000円足らず |
| 3.5% | 87,500円 | 返済額を超え、未払利息が出る |
※当社試算。利息は借入直後の残高3,000万円に金利の12分の1を掛けた額です。返済が進んで残高が減るほど、未払利息が出る金利の水準は上がります。
未払利息は消えるわけではありません。次の見直し以降の返済額に上乗せされ、最終回の返済までに解消しきれない場合は、残った元金や未払利息をまとめて支払うことになります。借入時の金利が低く、返済額が小さく設定されている人ほど、未払利息が出る金利の水準は低くなります。
返済予定表とは、毎月の返済額と、そのうちの元金・利息、返済後の残高を回ごとに示した書類です。金利の見直しがあると、金融機関から新しい金利や返済額の通知が届きます。三菱UFJ銀行は、利率または返済額の変更を、変更後の最初の返済日の前に「ご返済のお知らせ」で知らせるとしています。
住宅金融支援機構の2026年1月の調査では、変動型の利用者に限らず、金利リスクについて「理解しているか少し不安」「よく理解していない」「全く理解していない」と答えた人の合計が52.0%でした。次の5点は、手元の書類で確かめられます。
| 確かめること | どこで分かるか | 見るポイント |
|---|---|---|
| いまの適用金利 | 最新の返済予定表・金利変更の通知 | 基準金利と優遇幅がそれぞれいくらか |
| 金利の見直しの時期 | 金銭消費貸借契約書 | 年に何回、いつ見直されるか |
| 5年ルール・125%ルールの有無 | 金銭消費貸借契約書・商品説明書 | 返済額が次にいつ見直されるか |
| 返済額のうち元金に充てられている額 | 返済予定表 | 金利の上昇後に元金の減り方が遅くなっていないか |
| 未払利息の有無 | 返済予定表・金融機関からの通知 | 未払利息の欄に金額が出ていないか |
固定金利型への借り換えや繰り上げ返済は、いまの適用金利と残りの期間で損得が変わります。固定金利型のフラット35(返済期間21年以上35年以下・融資率9割以下)の最頻金利は2026年9月で3.460%です。借り換えには登記や保証料などの諸費用もかかるため、いまの適用金利・残高・残りの期間をそろえてから比べてください。
日本銀行は2026年9月18日に政策金利を1.25%程度へ引き上げました。短期プライムレートは2024年8月までの1.475%から2026年8月には2.375%まで上がっており、変動金利型の住宅ローンの適用金利にも波及しています。
Q日銀が利上げすると、変動金利の住宅ローンの返済額はすぐに上がりますか?
A5年ルールがある契約では、すぐには上がりません。適用金利は契約で決まった時期に見直されますが、毎月の返済額は5年ごとにしか見直されないためです。ただし、返済額のうち利息の割合は新しい金利に合わせて増え、元金の減り方が遅くなります。5年ルールのない契約では、金利の見直しとともに返済額も変わります。
Q5年ルールと125%ルールはすべての変動金利型にありますか?
Aありません。三菱UFJ銀行は、変動金利かつ元利均等返済の場合に適用し、元金均等返済の場合は適用しないと説明しています。ルールの有無と内容は金融機関と商品ごとの契約で決まるため、金銭消費貸借契約書か商品説明書で確かめてください。
Q125%ルールがあれば、払う利息は増えませんか?
A増えます。125%ルールは、見直し後の毎月の返済額を前回の125%までに抑えるだけで、利息は見直し後の金利どおりにかかります。抑えられた分は次の見直し以降の返済に持ち越され、最終回までに払いきれない場合は残りをまとめて支払うことになります。
Q未払利息が出ているかどうかは、どうやって分かりますか?
A金融機関から届く返済予定表や金利変更の通知で確かめられます。その月の利息が毎月の返済額を上回ると、元金の返済額が0円になり、払いきれない利息が未払利息として記載されます。当社試算では、借入3,000万円・35年・当初金利0.5%の場合、借入1年後に適用金利が約3.2%を超えると未払利息が出ます。
Q2026年9月の利上げは、いつ住宅ローンの金利に反映されますか?
A金融機関ごとに異なります。日本銀行の新しい方針は2026年9月24日から適用されていますが、短期プライムレートや住宅ローンの基準金利をいつ、どれだけ変えるかは各金融機関が決めます。日本銀行が公表する短期プライムレートは2026年9月11日現在の値で、9月の利上げを受けた変更はまだ含まれていません。契約している金融機関の発表と、届く通知で確かめてください。
東京・一都三県でこれから住まいを買う方も、すでに返済中の方も、金利が上がる局面では「いくらまで借りられるか」より「上がっても返し続けられるか」で考えることが大切です。
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住宅ローンと予算のご相談はこちら本記事は2026年9月26日時点で公表されている情報にもとづいています。試算は仮の金利による一例で、実際の返済額は契約内容と金融機関の計算方法によって異なります。