- 新築の注文住宅(持家の一戸建て)の90.0%は木造です。国土交通省の建築着工統計によると、2025年に着工した持家の一戸建て193,094戸のうち、木造は173,765戸、鉄骨造は17,729戸(9.2%)、鉄筋コンクリート造(RC造)は1,285戸(0.7%)でした。一方、マンション等を含む新設住宅全体では木造58.6%、RC造27.7%です。
- 1㎡あたりの工事費は、全国でRC造が木造の約1.56倍です。同じ統計の工事費予定額を床面積で割ると、2025年の持家の一戸建ては木造26.09万円、鉄骨造36.82万円、RC造40.68万円でした。坪あたりに換算すると木造約86.3万円、RC造約134.5万円です。一都三県ではRC造が63.61万円と木造(26.71万円)の約2.4倍ですが、RC造は123戸と少なく平均床面積も239.5㎡と大きいため、同じ条件の比較ではありません。
- 地震への強さは、構造の種類より「いつの基準で、どの等級で建てたか」で差がつきました。国土交通省の熊本地震の報告では、益城町中心部の木造建築物の倒壊率は、1981年5月以前の旧耐震基準で28.2%、1981年6月〜2000年5月で8.7%、2000年6月以降で2.2%でした。住宅性能表示制度の耐震等級3の木造住宅は16棟中14棟(87.5%)が無被害でした。RC造は新耐震基準の導入以降で倒壊が確認されていません。
- 2025年4月から、木造もRC造も同じ省エネ基準への適合が義務です。東京など6地域の断熱の基準(断熱等性能等級4)は外皮平均熱貫流率0.87以下で、構造による区別はありません。RC造はコンクリートの熱橋部の断熱補強が必要で、「RC造だから断熱性が高い」わけではありません。国は、遅くとも2030年までに基準を大きく引き上げるとしています。
- 法定耐用年数は住宅用で木造22年、RC造47年ですが、これは税金の計算上の年数です。国税庁の耐用年数表による減価償却の年数で、建物が住める期間を示すものではありません。新築住宅の固定資産税は3年度分が2分の1に減額され、3階建て以上の耐火・準耐火建築物は5年度分です。準耐火建築物には木造も含まれます。
1. 木造とRC造とは|構造と工法の違い
木造とは、柱・はり・壁などの構造耐力上主要な部分を木材でつくる建物をいいます。住宅の木造には、柱とはりを組み、筋かいや面材を入れた耐力壁で地震や風の力に抵抗する木造軸組工法(在来工法)と、規格化された木材の枠組みに構造用合板などを張ったパネルで床・壁をつくる枠組壁工法(ツーバイフォー工法)があります。
RC造(鉄筋コンクリート造)とは、引っ張る力に強い鉄筋と、押しつぶす力に強いコンクリートを一体にして主要な部分をつくる建物をいいます。柱とはりを剛に接合して骨組みで支えるラーメン構造と、柱やはりを室内に出さず壁と床で支える壁式構造があります。室内に柱やはりが出ないのは壁式構造で、壁そのものが建物を支えるため、後から壁を取り払う間取りの変更には制約があります。
比較のために、戸建住宅でRC造より多く使われている鉄骨造(S造)もあわせて整理します。
| 比べる点 | 木造(軸組工法・枠組壁工法) | 鉄骨造(S造) | RC造(鉄筋コンクリート造) |
|---|---|---|---|
| 主な構造材 | 木材(柱・はり・耐力壁、または枠組みと合板) | 鋼材(柱・はり) | 鉄筋とコンクリート |
| 建物の重さ | 軽い | 中間 | 重い |
| 2階建て住宅の構造計算(建築基準法第20条) | 延べ面積300㎡以下なら法律上は不要(仕様規定で確認) | 必要 | 必要 |
| 2025年の持家一戸建ての着工戸数 | 173,765戸(90.0%) | 17,729戸(9.2%) | 1,285戸(0.7%) |
| 持家一戸建ての1㎡あたり工事費(2025年・全国) | 26.09万円 | 36.82万円 | 40.68万円 |
| 住宅用の法定耐用年数(税務) | 22年 | 19〜34年(骨格材の肉厚による) | 47年 |

2. 新築住宅の何割が木造か|建築着工統計で見る構造別の戸数
建築着工統計調査とは、建築主が工事に着手する前に提出する建築工事届をもとに、国土交通省が全国の建築物の着工の動きを毎月・毎年まとめている統計をいいます。構造別・用途別の戸数、床面積、工事費予定額がわかります。
出典:国土交通省「建築着工統計調査」令和7年=2025年計(2026年1月30日公表)第34表「着工新築住宅利用関係別、構造別、建て方別(住宅の工事費)」。
一方、マンションや賃貸住宅を含めた新設住宅全体では、構成が大きく変わります。RC造の住宅の多くは共同住宅です。
| 構造 | 2025年の新設住宅着工戸数 | 前年比 | 構成比 |
|---|---|---|---|
| 木造 | 433,974戸 | ▲4.0% | 58.6% |
| 鉄筋コンクリート造 | 204,927戸 | ▲12.4% | 27.7% |
| 鉄骨造 | 94,482戸 | ▲6.4% | 12.8% |
| 鉄骨鉄筋コンクリート造 | 6,788戸 | +59.1% | 0.9% |
| 合計(その他を含む) | 740,667戸 | ▲6.5% | 100.0% |
戸建てでも住宅全体でも、構造別で最も多いのは木造です。ただし、戸建てとマンションを合わせた数字と、戸建てだけの数字では木造の割合が58.6%と90.0%で大きく違います。戸建てを建てる人にとっての比較相手は、RC造よりも鉄骨造であることが多いのが実態です。
3. 構造別の工事費|1㎡あたり・坪あたりの単価
工事費予定額とは、建築工事届に記載される、その建物の工事にかかる予定の費用をいいます。土地の代金は含みません。着工時点の予定額であり、実際に支払った金額とは異なる場合があります。ここでは、自分が住むために建てる「持家」の一戸建てについて、構造別に1㎡あたりの額を算出しました。
出典:国土交通省「建築着工統計調査」令和7年=2025年計 第34表。
| 地域 | 構造 | 戸数 | 1㎡あたり | 坪あたり(換算) | 1戸あたり | 平均床面積 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 全国 | 木造 | 173,765戸 | 26.09万円 | 約86.3万円 | 2,906万円 | 111.4㎡ |
| 全国 | 鉄骨造 | 17,729戸 | 36.82万円 | 約121.7万円 | 4,511万円 | 122.5㎡ |
| 全国 | RC造 | 1,285戸 | 40.68万円 | 約134.5万円 | 5,646万円 | 138.8㎡ |
| 一都三県 | 木造 | 36,843戸 | 26.71万円 | 約88.3万円 | 2,988万円 | 111.9㎡ |
| 一都三県 | 鉄骨造 | 4,415戸 | 40.62万円 | 約134.3万円 | 5,228万円 | 128.7㎡ |
| 一都三県 | RC造 | 123戸 | 63.61万円 | 約210.3万円 | 1億5,235万円 | 239.5㎡ |
| 東京都 | 木造 | 10,690戸 | 29.05万円 | 約96.0万円 | 3,256万円 | 112.1㎡ |
| 東京都 | 鉄骨造 | 1,310戸 | 44.84万円 | 約148.2万円 | 6,115万円 | 136.4㎡ |
| 東京都 | RC造 | 79戸 | 63.28万円 | 約209.2万円 | 1億5,831万円 | 250.2㎡ |
出典:国土交通省「建築着工統計調査」令和7年=2025年計 第34表をもとに本記事で算出。
そのうえで目安を示すと、全国の単価を延べ床面積110㎡の家に単純に当てはめた場合、木造は約2,870万円、鉄骨造は約4,050万円、RC造は約4,475万円になります(本記事の試算)。全国で見ても、RC造の1㎡あたりの工事費は木造の約1.56倍、鉄骨造は約1.41倍です。RC造の重さに耐える基礎や地盤の補強が必要になる場合は、さらに費用が上乗せされます。実際の金額は、同じ延べ床面積・同じ仕様で見積もりを取り、構造だけを変えて比べてください。
4. 地震に強いのはどちらか|構造より基準と耐震等級
耐震性とは、地震の揺れに対して建物が倒壊・崩壊しない、あるいは損傷しにくい性能をいいます。構造の種類ごとの特徴が語られることもありますが、実際の地震被害で差がついたのは、構造の種類より「どの時期の基準で建てたか」「どの耐震等級か」でした。
国土交通省と建築研究所が設置した委員会は、2016年=平成28年4月の熊本地震で震度7が2回観測された益城町中心部について、日本建築学会の悉皆調査の結果を分析しています。
出典:国土交通省 住宅局「『熊本地震における建築物被害の原因分析を行う委員会』報告書のポイント」(報告書とりまとめ 2016年9月30日)。
報告書は、旧耐震と新耐震の差について「新耐震基準は旧耐震基準の約1.4倍の壁量が確保されているため」と考えられるとし、耐震等級3の住宅は「新耐震基準の約1.5倍の壁量が確保」されていたと分析しています。2000年6月以降に倒壊した木造7棟の要因は、現行規定の仕様になっていない接合部3棟、著しい地盤変状1棟、局所的に大きな地震動が作用した可能性があるもの3棟でした。
木造以外についても、報告書は「鉄筋コンクリート造建築物は、新耐震基準導入以降で倒壊が確認されたものはなかった」としています。新耐震基準導入以降の鉄骨造で倒壊したものは、地盤・擁壁の崩壊、隣接建築物の衝突、接合部の溶接不良など新耐震基準を満たしていないものでした。どの構造でも、基準を満たして建てられていることが前提です。
耐震等級は構造によらず同じ物差しで比べられます
耐震等級とは、住宅の品質確保の促進等に関する法律にもとづく住宅性能表示制度で、地震に対する倒壊のしにくさを1〜3の等級で表したものをいいます。木造でもRC造でも同じ基準で評価されます。
| 耐震等級(倒壊等防止) | 想定する地震の力 | 確認の方法 |
|---|---|---|
| 等級1 | 建築基準法が想定する、数百年に一度程度の「極めて稀に発生する地震」の力の1倍 | 建築基準法を満たす水準 |
| 等級2 | 同じ力の1.25倍 | 住宅性能評価書で確認 |
| 等級3 | 同じ力の1.5倍 | 住宅性能評価書で確認 |
構造計算が法律で義務になる範囲は、構造によって違います
これは、木造とRC造の制度上の大きな違いです。建築基準法第20条第1項第3号は、第6条第1項第2号の建築物(2階建て以上、または延べ面積200㎡超)について構造計算による安全確認を求めていますが、木造については「地階を除く階数が三以上であるもの又は延べ面積が三百平方メートルを超えるもの」に限っています。
| 建物の例 | 構造計算(許容応力度計算など) | 根拠 |
|---|---|---|
| 木造2階建て・延べ面積300㎡以下 | 法律上は不要。壁の量や配置、接合部などの仕様規定で安全を確認 | 建築基準法第20条第1項第4号 |
| 木造3階建て、または延べ面積300㎡超 | 必要 | 同 第1項第3号 |
| RC造・鉄骨造の2階建て、または延べ面積200㎡超 | 必要 | 同 第1項第3号 |
| RC造で高さ20m超、鉄骨造で4階以上、木造で4階以上または高さ16m超 | より高度な構造計算が必要 | 同 第1項第2号 |
木造2階建ての住宅は、法律上は構造計算をしなくても建てられます。一方で、許容応力度計算を行うことや、耐震等級3の住宅性能評価書を取得することは、建築主が依頼すれば可能です。木造を選ぶときは、「構造計算をしているか」「耐震等級はいくつか」を書面で確認するのが、構造の種類を比べるより確実な方法です。

5. 火災に強いのはどちらか|耐火・準耐火と防火地域
耐火建築物とは、主要な構造部分を耐火構造などとし、延焼のおそれのある開口部に防火設備を設けた建築物をいいます。準耐火建築物とは、それより短い時間の火災に耐える準耐火構造などとした建築物をいいます。どちらも、構造材の種類ではなく性能で決まります。
木材が燃える材料であることは確かですが、木造でも、部材の断面を大きくしたり石こうボードなどで覆ったりして、準耐火建築物や耐火建築物にすることができます。住宅金融支援機構は、建築基準法の準耐火構造に準ずる防火性能を持つ構造として「省令準耐火構造」の基準を定めており、特徴として「外部からの延焼防止」「各室防火」「他室への延焼遅延」を挙げています。対象は木造軸組工法、枠組壁工法、機構が承認したプレハブ住宅などです。
東京で家を建てるときは、防火地域・準防火地域の指定を確認します
防火地域・準防火地域とは、市街地の火災の広がりを防ぐために都市計画で定められる地域をいいます。東京23区などの住宅地では、準防火地域や防火地域に指定されている場所が少なくありません。建築基準法第61条と施行令第136条の2は、地域と建物の規模に応じて必要な性能を定めています。
| 地域 | 建物の規模 | 必要な性能(概要) |
|---|---|---|
| 防火地域 | 3階以上、または延べ面積100㎡超 | 耐火建築物と同等の性能 |
| 防火地域 | 2階以下、かつ延べ面積100㎡以下 | 準耐火建築物と同等の性能 |
| 準防火地域 | 地階を除く3階建て(延べ面積1,500㎡以下) | 準耐火建築物と同等の性能 |
| 準防火地域 | 2階以下・延べ面積500㎡以下の木造建築物等 | 外壁と軒裏で延焼のおそれのある部分を防火構造とし、開口部に防火設備 |
| 準防火地域 | 2階以下・延べ面積500㎡以下の木造建築物等以外(RC造など) | 延焼のおそれのある開口部に防火設備 |
表のとおり、準防火地域の2階建てでは、木造は外壁・軒裏の防火構造が求められ、RC造は開口部の防火設備だけで足ります。一方、防火地域の3階建てや延べ面積100㎡超の家は、木造でもRC造でも耐火建築物と同等の性能が必要です。木造で建てられないわけではありませんが、耐火の仕様にする分だけ工事費に影響します。土地を決める前に、その土地の防火指定を確かめてください。
6. 断熱・省エネ・音|構造によらず同じ省エネ基準
断熱等性能等級とは、住宅性能表示制度で、住宅の外皮(外壁・屋根・床・窓など)から逃げる熱の少なさを等級で表したものをいいます。指標の1つが外皮平均熱貫流率(UA値)で、住戸の内外の温度差1度あたりの熱損失量を外皮の面積で割った値です。小さいほど熱が逃げにくくなります。
住宅の断熱性能は、構造の種類ではなく、断熱材の種類と厚さ、窓の性能、施工で決まります。基準も構造による区別がありません。
出典:国土交通省「住宅性能表示制度の省エネ上位等級の創設」「住宅性能表示制度における省エネ性能に係る上位等級の創設」。
| 結露を防ぐための措置 | 等級4・等級5で必要か | 主に関係する構造 |
|---|---|---|
| 防湿層の設置 | 必要 | 木造・鉄骨造など |
| 通気層の設置 | 必要 | 木造・鉄骨造など |
| 構造熱橋部の断熱補強 | 必要 | RC造・鉄骨造(熱を伝えやすいはり・柱・床の端部) |
| コンクリートへの断熱材の密着 | 必要 | RC造 |
コンクリートは木材に比べて熱を伝えやすく、はりや床の端部から熱が逃げる「熱橋」ができやすい材料です。そのため基準は、RC造に熱橋部の断熱補強や、コンクリートへの断熱材の密着を求めています。「RC造だから断熱性が高い」とも「木造だから寒い」とも言えず、どちらも基準を満たす設計と施工ができているかが問われます。コンクリートは温まりにくく冷めにくいため、室温の変化の仕方は木造と異なりますが、それは断熱性能の高さとは別の性質です。
音については、壁や床が重いほど空気を伝わる音は通しにくくなるため、一般にRC造は外部からの音や上下階の音を遮りやすい傾向があります。ただし遮音性能は、窓・換気口・床の仕上げ・壁の厚さによって大きく変わります。戸建住宅の遮音性能を構造別に比べた公的な統計は、2026年9月13日時点で確認できませんでした。音が気になる場合は、窓の等級や床の仕様を個別に確認してください。

7. 建築基準法と建築物省エネ法の改正で変わったこと
建築確認とは、建物の工事に着手する前に、その計画が建築基準法などに適合しているかを建築主事や指定確認検査機関が審査する手続きをいいます。2025年=令和7年4月1日に施行された改正建築基準法・改正建築物省エネ法(令和4年法律第69号)で、木造住宅の手続きと基準が大きく変わりました。RC造・鉄骨造の2階建ては改正前から審査の対象で構造計算も必要だったため、変化は主に木造の側で起きています。
| 項目 | 改正前 | 2025年4月1日以降 |
|---|---|---|
| 木造2階建て住宅の建築確認の区分 | 4号建築物。建築士が設計した場合、審査の一部が省略される制度の対象(実務で「4号特例」と呼ばれてきたもの) | 新2号建築物。すべての地域で建築確認・検査が必要で、審査省略制度の対象外。構造関係規定と省エネ関連の図書の提出が必要 |
| 木造平屋・延べ面積200㎡以下 | 4号建築物 | 新3号建築物。審査省略制度の対象が継続 |
| 木造で構造計算が必要な規模 | 階数3以上、または延べ面積500㎡超、高さ13m超・軒高9m超 | 階数3以上、または延べ面積300㎡超、高さ16m超 |
| 木造の必要壁量・柱の小径 | 従来の基準 | 省エネ化などによる建物の重量化に対応して見直し。改正前の基準を使える経過措置は2026年3月31日で終了 |
| 省エネ基準 | 延べ面積300㎡未満の住宅は説明義務 | 原則すべての新築住宅・非住宅に適合を義務づけ |
| 大規模の修繕・模様替 | 木造2階建ては建築確認不要 | 新2号建築物は建築確認が必要 |
必要壁量の見直しの背景について、国土交通省は社会資本整備審議会の答申(2022年2月1日)の「省エネ化等に伴って重量化している建築物の安全性の確保のため、必要な壁量等の構造安全性の基準を整備する」という指摘を挙げています。断熱材を厚くし、窓を高性能にし、屋根に太陽光発電設備を載せると、木造の家は重くなります。省エネ性能を上げることと、地震に対する壁の量を確保することは、木造では一体で考える必要があります。
2025年4月以降に着工した木造2階建ての住宅は、確認申請で構造と省エネの図書が審査されます。これから中古住宅を買う場合も、建築確認済証と検査済証の日付を見れば、どちらの制度で建てられた家かを確かめられます。
8. 耐用年数と税金|22年と47年の本当の意味
法定耐用年数とは、所得税や法人税の減価償却の計算に使うため、「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」で資産の種類ごとに定められた年数をいいます。建物が物理的に使える年数や、住める年数を示すものではありません。
出典:国税庁「主な減価償却資産の耐用年数表」(No.2100 減価償却のあらまし・令和8年=2026年4月1日現在法令等・2026年9月13日確認)。
法定耐用年数が意味を持つのは、主に次の場面です。自分で住むだけの家なら、毎年の税額に直接は影響しません。
| 場面 | 法定耐用年数の使われ方 |
|---|---|
| 賃貸に出す | 建物の取得費を耐用年数にわたって経費(減価償却費)にする。木造は22年、RC造は47年で配分するため、1年あたりの経費は木造のほうが大きい |
| 自宅を売る | 譲渡所得の計算で、建物の取得費から住んでいた期間の減価分を差し引く |
| 金融機関の融資審査 | 中古住宅や収益物件の融資期間の目安として参照されることがある(金融機関ごとの判断) |
木造の22年を過ぎたら住めなくなる、価値がゼロになる、という意味ではありません。住み続けられる期間は、第4章の耐震性、雨漏りを防ぐ維持管理、設備の更新によって決まります。
新築住宅の固定資産税の減額は「3階建て以上の耐火・準耐火」が境目です
新築住宅に係る固定資産税の減額措置とは、新築した住宅の家屋部分の固定資産税を、一定の期間2分の1に減額する制度をいいます。東京都主税局は、減額の期間と範囲を次のように案内しています。
| 住宅の区分 | 減額される期間 | 減額の範囲 |
|---|---|---|
| 一般の住宅(木造2階建て、RC造2階建てを含む) | 新築後新たに課税される年度から3年度分 | 1戸あたり120㎡相当までの固定資産税の2分の1 |
| 3階建て以上の耐火・準耐火建築物 | 同 5年度分 | 同上 |
| 認定長期優良住宅 | 同 5年度分(3階建て以上の耐火・準耐火建築物は7年度分) | 同上(新築した翌年の1月31日までに申告が必要) |
ここで大事なのは、期間が延びる条件は「RC造かどうか」ではなく「3階建て以上で、耐火建築物または準耐火建築物かどうか」という点です。RC造でも2階建てなら3年度分で、木造でも3階建ての準耐火建築物なら5年度分になります。東京都主税局は、3階建て以上の木造家屋で準耐火建築物に該当するものについて、確認申請書や検査済証などを添えた申告を求めています。
国土交通省によると、この減額措置は令和8年度税制改正で適用期限が2031年=令和13年3月31日まで延長され、床面積要件の下限が50㎡から40㎡に引き下げられました。また、2029年=令和11年4月1日以降に災害の危険性が高い特定の区域に新築された住宅は対象外になります。
9. 木造とRC造、どちらを選ぶか|判断の目安
ここまでの戸建住宅で構造を選ぶときの判断材料を整理します。どちらが優れているかではなく、自分の条件にどちらが合うかで考えてください。
| 判断する点 | 木造が合いやすい条件 | RC造が合いやすい条件 |
|---|---|---|
| 予算 | 工事費を抑えたい。全国の1㎡あたり工事費は26.09万円 | 工事費が上がっても構造を優先したい。全国で40.68万円 |
| 地震 | 耐震等級3の取得や許容応力度計算を依頼できる会社で建てる | 構造計算が法律上必須であることを重視する |
| 火災・防火地域 | 準防火地域の2階建てで、外壁・軒裏の防火構造に対応できる | 防火地域で延べ面積100㎡超の家を建てる |
| 断熱・省エネ | 断熱等性能等級5以上の仕様を標準で選べる | 熱橋部の断熱補強まで設計・施工できる会社がある |
| 音 | 窓・床の仕様で対策できる範囲の環境 | 幹線道路や線路の近くで、外部の音を重視する |
| 土地・地盤 | 建物が軽いため、地盤補強の負担を抑えやすい | 地盤が良好で、重さに耐える基礎の費用を見込める |
| 将来の間取り変更 | 軸組工法は比較的変更しやすい(耐力壁の位置による) | ラーメン構造は変更しやすく、壁式構造は制約が大きい |
構造を比べる前に、書面で確かめる4点
①耐震等級はいくつか。住宅性能評価書を取得するか(第4章)/②木造なら、許容応力度計算を行うか(第4章)/③断熱等性能等級はいくつか。UA値はいくつか(第6章)/④建てる土地が防火地域・準防火地域に指定されているか(第5章)。この4点がそろえば、木造とRC造を同じ物差しで比べられます。
10. 木造とRC造のよくある質問
Q木造とRC造では、坪単価はどれくらい違いますか?
A国土交通省の建築着工統計(令和7年=2025年計)で持家の一戸建ての工事費予定額を床面積で割ると、全国では木造が1㎡あたり26.09万円(坪あたり約86.3万円)、RC造が40.68万円(約134.5万円)で、RC造は木造の約1.56倍でした。一都三県ではRC造が63.61万円(約210.3万円)、木造が26.71万円(約88.3万円)です。ただし一都三県のRC造は123戸と少なく、平均床面積239.5㎡の大型住宅が中心のため、同じ家を構造だけ変えた差ではありません。土地代は含まれていません。実際の比較は、同じ広さ・同じ仕様で見積もりを取って行ってください。
Q地震に強いのはRC造ですか?
A構造の種類だけでは決まりません。国土交通省の熊本地震の報告では、益城町中心部の木造建築物の倒壊率は旧耐震基準で28.2%でしたが、2000年6月以降の建物では2.2%に下がり、耐震等級3の木造住宅16棟は倒壊がなく14棟が無被害でした。RC造は新耐震基準の導入以降で倒壊が確認されていません。どの構造でも、新しい基準で建てられ、耐震等級が高いことが大切です。木造2階建て(延べ面積300㎡以下)は法律上構造計算が不要なため、許容応力度計算や耐震等級3の取得を依頼できるか確認してください。
Q木造は火事に弱いのですか?防火地域でも建てられますか?
A木材は燃える材料ですが、木造でも部材を石こうボードで覆うなどして、準耐火建築物や耐火建築物にできます。住宅金融支援機構の省令準耐火構造は、外部からの延焼防止・各室防火・他室への延焼遅延を特徴とする木造住宅の基準です。防火地域では、3階以上または延べ面積100㎡超の建物に耐火建築物と同等の性能が求められますが、これは木造でもRC造でも同じです(建築基準法施行令第136条の2)。準防火地域の2階建て・500㎡以下なら、木造は外壁と軒裏の延焼のおそれのある部分を防火構造にし、開口部に防火設備を設けます。
Q木造の耐用年数は22年と聞きました。22年で住めなくなるのですか?
Aいいえ。22年は国税庁の耐用年数表にある住宅用の木造建物の法定耐用年数で、減価償却の計算に使う年数です。RC造は47年です。建物が住める期間を示すものではありません。自分で住むだけなら毎年の税額に直接は影響せず、賃貸に出す場合の経費計算や、売却時の取得費の計算で使われます。実際に住み続けられる期間は、耐震性、雨漏りを防ぐ屋根・外壁の維持管理、設備の更新によって決まります。
QRC造なら断熱性が高く、光熱費も安くなりますか?
A構造だけでは決まりません。2025年4月から、構造にかかわらず新築住宅に省エネ基準への適合が義務づけられ、東京など6地域の断熱の基準(断熱等性能等級4)は外皮平均熱貫流率0.87以下で共通です。コンクリートは熱を伝えやすいため、RC造には熱橋部の断熱補強やコンクリートへの断熱材の密着が求められます。断熱性能は断熱材の厚さと窓の性能で決まるので、構造を比べるより、等級やUA値の数字で比べてください。国は遅くとも2030年までに基準を大きく引き上げるとしており、ZEH水準の等級5(6地域でUA値0.60以下)が目安になります。
Q新築の固定資産税は、RC造だと減額期間が長くなりますか?
ARC造かどうかでは決まりません。東京都主税局の案内では、新築住宅の固定資産税は新たに課税される年度から3年度分、1戸あたり120㎡相当までが2分の1に減額され、期間が5年度分になるのは「3階建以上の耐火・準耐火建築物」です。RC造の2階建ては3年度分、木造でも3階建ての準耐火建築物なら5年度分です。認定長期優良住宅はそれぞれ5年度分・7年度分になります。国土交通省によると、この措置は2031年3月31日まで延長され、床面積要件の下限は40㎡に引き下げられました。
11. まとめ|2026年9月時点で押さえる7点
木造とRC造の違いは、材料の違いから語られることが多いテーマです。しかし、住まいの安全性や快適さを左右しているのは、構造の種類よりも「基準」「等級」「地域の指定」でした。
| # | 押さえる点 | 根拠 |
|---|---|---|
| 1 | 持家の一戸建ての90.0%は木造、RC造は0.7%。新設住宅全体では木造58.6%・RC造27.7% | 国土交通省 建築着工統計調査(令和7年計・2026年1月30日公表) |
| 2 | 1㎡あたり工事費は全国で木造26.09万円・鉄骨造36.82万円・RC造40.68万円。広さや仕様の違いを含む平均値 | 同 第34表をもとに算出 |
| 3 | 熊本地震の木造の倒壊率は旧耐震28.2%・2000年6月以降2.2%、耐震等級3は倒壊なし。RC造は新耐震以降の倒壊なし | 国土交通省 住宅局(報告書 2016年9月30日) |
| 4 | 木造2階建て(300㎡以下)は構造計算が法律上不要、RC造・鉄骨造の2階建ては必要 | 建築基準法第20条 |
| 5 | 耐火性能は「強度が変わらない」ではなく「支障のある損傷を生じない」こと。木造も準耐火・耐火にできる | 建築基準法施行令第107条・第136条の2、住宅金融支援機構 |
| 6 | 2025年4月から構造によらず省エネ基準への適合が義務。6地域の等級4はUA値0.87以下、等級5は0.60以下 | 国土交通省 |
| 7 | 法定耐用年数(木造22年・RC造47年)は税務上の年数。固定資産税の減額が5年度分になる条件は3階建て以上の耐火・準耐火 | 国税庁 耐用年数表、東京都主税局 |
構造を決める前に、耐震等級・構造計算の有無・断熱等性能等級・土地の防火指定の4点を書面で確かめることが出発点です。そのうえで、同じ広さと仕様で木造とRC造の見積もりを並べれば、構造の違いを金額で判断できます。将来の工事費や資材価格がどう動くかを予測して判断することはできません。今の統計と制度を手がかりにしてください。
構造の違いを、図面と書類で一緒に確かめます。
自由住宅では、東京・一都三県で新築一戸建てや注文住宅をご検討の方に向けて、住まいの構造、耐震等級、断熱等性能等級、建てる土地の防火地域・準防火地域の指定を、資料をもとに一つずつご説明しています。他社でお受け取りの見積書や仕様書について、「構造計算をしているか」「耐震等級はいくつか」を確認したいというご相談も承ります。
住まいの構造・性能のご相談はこちら出典一覧
- 国土交通省「建築着工統計調査報告(令和7年=2025年計)について」(2026年1月30日公表・2026年9月13日確認)
https://www.mlit.go.jp/report/press/content/kencha25.pdf - 国土交通省 報道発表資料「建築着工統計調査報告(令和7年計分)」(上記PDFの掲載元ページ・2026年1月30日公表・2026年9月13日確認)
https://www.mlit.go.jp/report/press/joho04_hh_001350.html - 政府統計の総合窓口 e-Stat「建築着工統計調査」令和7年=2025年計 第34表「着工新築住宅利用関係別、構造別、建て方別(住宅の工事費)」(2026年1月30日公表・2026年9月13日確認)
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00600120&tstat=000001016966&cycle=7&year=20250&month=0&tclass1val=0 - 国土交通省 住宅局「『熊本地震における建築物被害の原因分析を行う委員会』報告書のポイント」(報告書とりまとめ 2016年9月30日・2026年9月13日確認)
https://www.mlit.go.jp/common/001155087.pdf - 国土交通省 報道発表資料「熊本地震における建築物被害の原因分析を行う委員会 報告書について」(上記PDFの掲載元ページ・2016年9月30日公表・2019年4月26日修正版掲載・2026年9月13日確認)
https://www.mlit.go.jp/report/press/house05_hh_000633.html - 国土交通省 報道発表資料「令和8年熊本地震における建築物構造被害の原因分析を行う委員会(第1回)を開催します」(2026年8月18日公表・2026年9月13日確認)
https://www.mlit.go.jp/report/press/house05_hh_001143.html - 国土交通省「耐震性能を等級で確認して、安心の住まいづくり」(2026年9月13日確認)
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001710995.pdf - 一般社団法人住宅性能評価・表示協会「地震などに対する強さ(構造の安定)」(上記パンフレットの内容を解説するHTMLページ・2026年9月13日確認)
https://www.hyoukakyoukai.or.jp/seido/shintiku/05-01.html - e-Gov法令検索「建築基準法」第6条・第20条・第61条(昭和25年=1950年法律第201号・2026年9月13日確認)
https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000201 - e-Gov法令検索「建築基準法施行令」第107条・第136条の2(昭和25年=1950年政令第338号・2026年9月13日確認)
https://laws.e-gov.go.jp/law/325CO0000000338 - 国土交通省「設計者・工務店の皆様へ 令和4年改正 建築物省エネ法・建築基準法 木造建築物に関する改正項目」(2023年10月発行・2026年9月13日確認)
https://www.mlit.go.jp/common/001500390.pdf - 国土交通省「令和4年改正 建築基準法について」(上記PDFの掲載元ページ・2026年9月13日確認)
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/r4kaisei_kenchikukijunhou.html - 国土交通省「建築確認・検査の対象となる建築物の規模等の見直し」(2026年9月13日確認)
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/r4kaisei_kijunhou0001.html - 国土交通省「木造建築物における省エネ化等による建築物の重量化に対応するための必要な壁量等の基準について」(最終更新 2026年3月6日・2026年9月13日確認)
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/jutakukentiku_house_tk_000166.html - 国土交通省「省エネ基準引き上げへ。脱炭素化も。」(2026年9月13日確認)
https://www.mlit.go.jp/shoene-jutaku/ - 国土交通省「令和4年改正 建築物省エネ法・建築基準法」(省エネ基準適合義務化の概要・2024年12月26日更新・2026年9月13日確認)
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/r4kaisei_shoenehou_kijunhou.html - 国土交通省「住宅性能表示制度の省エネ上位等級の創設」(2021年=令和3年公表・2026年9月13日確認)
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001424534.pdf - 国土交通省「住宅性能表示制度における省エネ性能に係る上位等級の創設」(2022年=令和4年公表・2026年9月13日確認)
https://www.mlit.go.jp/common/001585664.pdf - 国土交通省「断熱性能|建築物の販売・賃貸時の省エネ性能表示制度」(上記PDFの内容を解説するHTMLページ・2026年9月13日確認)
https://www.mlit.go.jp/shoene-label/insulation.html - 住宅金融支援機構【フラット35】「省令準耐火構造の住宅とは」(2026年4月1日更新・2026年9月13日確認)
https://www.flat35.com/business/syourei.html - 国税庁「主な減価償却資産の耐用年数表」(令和8年=2026年4月1日現在法令等・2026年9月13日確認)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/pdf/2100_01.pdf - 国税庁「No.2100 減価償却のあらまし」(上記PDFの掲載元ページ・令和8年=2026年4月1日現在法令等・2026年9月13日確認)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2100.htm - 東京都主税局「住宅等に係る固定資産税・都市計画税の主な軽減制度一覧(23区内)」(2026年9月13日確認)
https://www.tax.metro.tokyo.lg.jp/documents/d/tax/keigenseidoichiran_1_1 - 東京都主税局「住宅を新築したときの不動産取得税・固定資産税等の軽減制度」(上記資料の掲載元ページ・2026年9月13日確認)
https://www.tax.metro.tokyo.lg.jp/genmen/shinchiku_keigen - 国土交通省「新築住宅に係る税額の減額措置」(令和8年=2026年度税制改正後の内容・2026年9月13日確認)
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk2_000021.html
本記事は2026年9月13日時点で公表されている情報にもとづいています。工事費の数値は建築着工統計の工事費予定額から算出した平均値で、個別の住宅の価格を示すものではありません。税制の適用は個別の事情によって結論が変わることがあるため、具体的な判断は都税事務所・市区町村・税務署または税理士にご確認ください。将来の工事費や資材価格の見通しを示すものではありません。

