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リフォームの「2025年問題」はその後どうなった?建築確認が必要な工事・再建築できない土地の家・審査期間

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リフォームの2025年問題のその後|建築確認の要否と審査期間
2023年10月15日公開 / 2026年9月20日更新
この記事でわかること
  • リフォームの「2025年問題」とは、2025年4月1日に施行された改正建築基準法により、木造2階建て住宅などの大規模なリフォームに建築確認が必要になったことを指します。対象は、2025年4月1日以後に工事に着手する「大規模の修繕・大規模の模様替」、つまり壁・柱・床・はり・屋根・階段のいずれか1種類以上について過半を改修する工事です(建築基準法第2条第14号・第15号、第6条第1項)。
  • キッチン・トイレ・浴室の交換、手すりやスロープの設置、屋根や外壁のカバー工法は、施行後も建築確認は不要です。国土交通省の「リフォームにおける建築確認要否の解説事例集」と、屋根・外壁の改修に関する通知(2024年2月8日付け国住指第355号)で示されています。
  • 大規模の修繕・模様替をしても、省エネ基準への適合義務はかかりません。適合義務の対象は新築・増築・改築で、増築・改築の場合もその部分だけです(建築物省エネ法第10条)。耐震についても、既存不適格の建物は構造耐力上の危険性を増やさない工事であれば、現行基準に合わせ直すことまでは求められません。
  • 接道義務を満たさない、いわゆる再建築できない土地の家でも、既存不適格であれば、特定行政庁が支障がないと認めた大規模の修繕・模様替は行えます(建築基準法施行令第137条の12第11項)。2026年8月31日には、検査済証のない木造住宅について耐震診断の結果を使って法適合を確かめる方法が、国土交通省の技術的助言(国住指第299号)で示されました。
  • 施行から1年の時点で、建築確認の審査に30日を超える期間を要している指定確認検査機関は、回答した82機関のうち42機関でした。国土交通省の施行後調査(2026年4月1日〜10日実施・速報値)によります。審査期間が最も長かった時期は「2025年4〜6月」が28機関、「2026年1〜3月」が15機関でした。

1. リフォームの建築確認で何が変わったのか|改正法の施行の中身

リフォームの「2025年問題」とは、2022年6月17日に公布された改正建築基準法が2025年4月1日に施行され、それまで建築確認が要らなかった木造2階建て住宅などの大規模なリフォームに、建築確認の手続きが必要になったことをいいます。施行からおよそ1年半がたちました。本記事では、実際に何が変わり、何が変わらなかったのかを整理します。なお、一般に「2025年問題」という言葉は、団塊の世代が75歳以上になることによる社会保障の課題を指して使われることが多く、リフォームの話題とは別のものです。

改正前は、木造2階建て以下・延べ面積500㎡以下などの小規模な建物(いわゆる4号建築物)は、都市計画区域内で新築するときには建築確認が必要でしたが、大規模の修繕・模様替は建築確認の対象外でした。また、建築士が設計した場合は、確認の際に構造などの審査が省略されていました(4号特例)。改正により4号建築物の区分はなくなり、次の2つに分かれました。

区分 対象の建物 大規模の修繕・模様替の建築確認 確認申請の審査
新2号建築物 2階建て以上、または延べ面積200㎡超の建物(構造を問わない) 必要 構造・省エネを含めて審査する
新3号建築物 平屋で延べ面積200㎡以下の建物(都市計画区域などの中) 不要 建築士が設計した場合は一部の審査を省略(新築などの場合)
出典:国土交通省「建築確認・検査の対象となる建築物の規模等の見直し」(最終更新2024年10月25日)、e-Gov法令検索「建築基準法」第6条第1項(2026年9月20日確認)。新2号建築物の区分について、法律の条文は構造を限定していません。

東京をはじめ一都三県の住宅地に建つ木造2階建ての戸建住宅は、ほとんどが新2号建築物に当たります。つまり、改正の影響を受けるかどうかは「どんな家か」ではなく、「どんな工事をするか」で決まります。次の章で、その線引きを確認します。

2. 建築確認が必要なリフォーム・不要なリフォーム|大規模の修繕とは

大規模の修繕とは、建物の主要構造部の1種類以上について行う過半の修繕をいい、大規模の模様替とは、同じく主要構造部の1種類以上について行う過半の模様替をいいます(建築基準法第2条第14号・第15号)。主要構造部とは、壁・柱・床・はり・屋根・階段のことで、構造上重要でない間仕切壁、間柱、付け柱、最下階の床、小ばり、ひさし、屋外階段などは含まれません(同条第5号)。

「過半」かどうかは、主要構造部の種類ごとに判断します。国土交通省の解説事例集は、判断の物差しを次のように示しています。

主要構造部 過半の判断の物差し 建築確認が必要な例 建築確認が不要な例
屋根 総水平投影面積に占める割合 垂木にまで及ぶ改修で、面積が過半 屋根ふき材だけの改修、カバー工法
壁 総面積に占める割合 壁を構成する主要な材にまで及ぶ改修で、面積が過半 外装材だけの改修、カバー工法、内側からの断熱改修
床(最下階の床を除く) 総水平投影面積に占める割合 根太にまで及ぶ改修で、面積が過半 既存の床の上に新しい仕上げ材を重ねる改修
階段 その階ごとの総数に占める割合 階段の過半を架け替える 既存の階段の上に新しい仕上げ材を重ねる改修
柱(間柱・付け柱を除く) 総本数に占める割合 過半の柱を交換 過半に満たない柱の交換
はり(小ばりを除く) 総本数に占める割合 過半のはりを交換 過半に満たない交換、既存のはりへの補強
出典:国土交通省 住宅局「リフォームにおける建築確認要否の解説事例集(木造一戸建て住宅)」、「屋根及び外壁の改修に関する建築基準法上の取扱いについて」(2024年2月8日付け国住指第355号)、「床及び階段の改修に関する建築基準法上の取扱いについて」(2024年8月28日付け国住指第208号)。事例集は「判断がつかない場合は、特定行政庁にご相談してください」としています。外装材だけの改修でも、外壁のすべてを改修することに当たる場合は扱いが変わります。

キッチン・トイレ・ユニットバスの交換、バリアフリー化のための手すりやスロープの設置、構造上重要でない間仕切壁だけの改修は、すべて建築確認は不要です。国土交通省の令和7年度住宅市場動向調査(2026年7月17日公表)でも、リフォームの内容のうち「住宅の構造に関する改善・変更」は3.3%、「間取りの変更」は4.5%にとどまり、工事期間は1週間以内が58.9%でした。数のうえでは、リフォームの大半は改正の前後で手続きが変わっていません。

影響が大きいのは、骨組みだけを残して内外装をすべてやり直す、いわゆるスケルトンリフォーム(フルリノベーション)です。壁や床、屋根の下地まで手を入れると過半に当たる可能性が高く、建築確認を前提に計画する必要があります。また、建築確認が不要な工事であっても、リフォーム後の建物は建築基準法の規定に適合していなければなりません。

建築確認が要る工事と要らない工事の対比

3. 間違えやすい4つの点|省エネ・耐震・構造計算・申請先

既存不適格建築物とは、建てたときは適法だったものの、その後の法令の改正や都市計画の変更によって、現在の規定に合わなくなった建物をいいます(建築基準法第3条第2項)。違反建築物とは別のもので、そのまま使い続けることができます。この既存不適格の扱いを含め、間違えやすい4つの点を整理します。

よくある誤解 正しい内容 根拠
リフォーム後は省エネ性能の基準を満たさなければならない 省エネ基準への適合義務の対象は新築・増築・改築。大規模の修繕・模様替は対象外。増築・改築でも、適合が求められるのは増築・改築をする部分 建築物省エネ法第10条第1項
リフォーム後は耐震性能の基準を満たさなければならない 構造の規定が既存不適格の建物は、構造耐力上の危険性を増大させない大規模の修繕・模様替であれば、既存不適格のままでよい(重い屋根にふき替えない、など) 建築基準法第86条の7第1項、同施行令第137条の12第1項
確認申請には構造計算書が必要 木造で2階建て以下・延べ面積300㎡以下の建物は、構造計算ではなく壁量などの仕様規定で確認する。構造計算が必要なのは、木造では3階建て以上または延べ面積300㎡超 建築基準法第20条第1項
設計図などを市町村に提出する 申請先は建築主事等(特定行政庁の窓口)または民間の指定確認検査機関。確認済証の交付を受けるまで工事に着手できない 建築基準法第6条第1項・第8項、第6条の2
出典:e-Gov法令検索「建築物のエネルギー消費性能の向上等に関する法律」第10条、「建築基準法」第6条・第20条・第86条の7、「建築基準法施行令」第137条の12(いずれも2026年9月20日確認)、国土交通省「大規模の修繕・模様替を行う既存不適格建築物への緩和措置」。

誤解のないように補足すると、これは「耐震や断熱は考えなくてよい」という意味ではありません。法律が求める最低限の手続きとして現行基準への適合までは求められない場合がある、ということです。1981年5月31日以前に建築確認を受けた旧耐震基準の家や、断熱材がほとんど入っていない家では、大規模なリフォームの機会に耐震補強と断熱改修を合わせて行うほうが、費用の面でも暮らしの面でも合理的です。第9章で触れる補助金や減税も、耐震・省エネの工事を対象にしています。

4. 再建築できない土地の家はどうなったか|接道義務の緩和措置

接道義務とは、建物の敷地は建築基準法上の道路に2メートル以上接していなければならないという決まりです(建築基準法第43条第1項)。この決まりを満たさない敷地では、原則として建て替えができないため、「再建築不可」と呼ばれます。改正前は建築確認なしで大規模なリフォームができたため、施行後はそれができなくなるのではないか、という懸念がありました。

この点については、改正法とあわせて緩和措置が設けられています。接道義務について既存不適格の建物は、次の2つの条件を満たす大規模の修繕・模様替であれば、接道義務に適合させなくても工事ができます(建築基準法第86条の7第1項、同施行令第137条の12第11項)。

条件 内容
用途の変更を伴わない 利用者の増加が見込まれる用途の変更を伴わないこと。住宅を住宅のまま改修する場合は当てはまる
特定行政庁の認定 特定行政庁が、交通上・安全上・防火上・衛生上、支障がないと認めること
出典:e-Gov法令検索「建築基準法施行令」第137条の12第11項(2026年9月20日確認)、国土交通省「大規模の修繕・模様替を行う既存不適格建築物への緩和措置」。道路内に建物がはみ出している場合(道路内建築制限)にも、同条第12項に同じ趣旨の緩和措置があります。

注意したいのは、この緩和措置が使えるのは「既存不適格」の建物に限られることです。建てた当初から接道義務に違反していた建物や、無断の増築で違反の状態になっている建物は、緩和の対象になりません。また、特定行政庁が支障がないと認めるかどうかは、敷地と周辺の状況によって個別に判断されます。東京23区のように細い路地に面した住宅が多い地域では、計画の早い段階で建築地の特定行政庁(区役所の建築指導の窓口など)に確認することをおすすめします。

なお、屋根や外壁のカバー工法、水回りの交換、内装の張り替えなど、大規模の修繕・模様替に当たらない工事は、再建築できない土地の家でも、改正の前後を通じて建築確認なしで行えます。

5. 検査済証のない家のリフォーム|国土交通省の新しい技術的助言

検査済証とは、工事の完了後に建築主事等や指定確認検査機関の完了検査を受け、建物が建築基準法令に適合していると認められたときに交付される書類です(建築基準法第7条第5項)。建築確認が必要なリフォームでは、既存の建物が建てた当時の法令に適合していたかどうかを確かめる必要がありますが、古い木造住宅には検査済証が残っていない、あるいは完了検査を受けていないものがあります。この場合にどう確かめるかが、施行後の実務の課題になりました。

国土交通省は2024年12月に「既存建築物の現況調査ガイドライン」と「既存建築物の緩和措置に関する解説集」を公表し、建築士が現況を調査して法適合の状況を報告する手順を示しました。さらに2026年8月31日には、「既存建築物の増築等に係る建築基準法の運用の合理化等について(技術的助言)」(国住指第299号)を出し、検査済証のない小規模な木造建築物(改正前の4号建築物)について、耐震診断の結果を使って構造の規定への適合を確かめる方法を示しています。

直近の建築の時期 耐震診断の指標(Iw) 満たした場合の扱い
1950年11月23日から1981年5月31日まで 0.5以上 建築時の構造の規定に適合していたとみなし、基準時を1981年6月1日として扱える
1981年6月1日から2025年3月31日まで 1.0以上 建築時の構造の規定に適合していたとみなし、基準時を2025年4月1日として扱える
出典:国土交通省 住宅局建築指導課長「既存建築物の増築等に係る建築基準法の運用の合理化等について(技術的助言)」(2026年8月31日付け国住指第299号)。耐震診断は、平成18年国土交通省告示第184号の指針に定める方法などによります。技術的助言は、特定行政庁や指定確認検査機関の運用の参考として示されるもので、他の方法で適合を確かめることを妨げるものではないとされています。実際の取扱いは申請先にご確認ください。

同じ技術的助言は、大規模の修繕・模様替をするときに、居室の採光や換気、階段の構造などの規定が「建物のどの部分」に適用されるのかも、規定ごとの表で整理しました。たとえば階段の構造の規定は、過半の修繕・模様替をする階段に適用され、工事をしない部分は既存不適格のままでよい、という整理です。技術的助言自身が「解釈が困難であった」と述べている部分で、計画の見通しが立てやすくなりました。

6. 施行から1年の審査期間|国土交通省の施行後調査

建築確認の審査期間とは、確認の申請書が受理されてから確認済証が交付されるまでの期間で、法律上は、新2号建築物に当たる計画は受理した日から35日以内、新3号建築物は7日以内に審査することとされています(建築基準法第6条第4項)。改正前、木造2階建て住宅は7日以内の区分でしたので、法律の上限だけを比べても期間は長くなりました。

実際の状況について、国土交通省は施行から1年の時点でアンケート調査を行い、2026年4月21日の社会資本整備審議会 建築分科会(第50回)で速報値を報告しています。調査期間は2026年4月1日〜10日で、指定確認検査機関は125機関のうち82機関、建築確認を申請する事業者は461事業者が回答しました。

図1:建築確認の審査に要する期間が最も長くなった時期(指定確認検査機関の回答)
2025年度/単位:機関/国土交通省(速報値)
28
 
15
 
2025年4〜6月
2026年1〜3月
回答した82機関のうち、審査期間が最大となった時期を「2025年4〜6月」とした機関が28、「2026年1〜3月」とした機関が15でした。残る39機関は「2025年7〜9月」「2025年10〜12月」のいずれかです。結果は速報値で、今後の精査により修正される場合があります。バーの高さは28機関を100%とした相対値です。

出典:国土交通省「改正建築基準法・建築物省エネ法の施行後調査について」(第50回建築分科会 資料7、2026年4月21日・2026年9月20日確認)

施行後調査で分かった審査期間の状況
調査の項目 結果(速報値)
審査に要する期間が30日を超える指定確認検査機関 82機関のうち42機関(30日以下は40機関)
30日を超える要因で「非常に影響した」が最も多かったもの 「不備の多い申請への指摘に時間を要した」64%
同じく2番目に多かったもの 「申請者が、指摘の修正に時間を要した」45%
申請者側の回答(木造2階建て戸建住宅、図書の提出から確認済証の交付まで) 年間の申請件数の区分ごとの平均で、およそ33〜68日。年間100件以上を申請する事業者が最も短く32.9日
出典:同上。日数は営業日ではなく、土日祝日を含みます。「審査に要する期間」は、図書を提出してから指摘の連絡を最初に受けるまでの期間と、そこから確認済証が交付されるまでの期間の合計です。調査は新築を含む建築確認全体についてのもので、リフォームだけを取り出した数値ではありません。

この結果から読み取れるのは、審査の混雑は施行直後が最も大きかったこと、そして期間を左右しているのは申請図書の不備とその修正だということです。リフォームの場合は、既存の建物の調査という工程が加わりますので、図面や検査済証が残っているかどうかで、準備にかかる期間は大きく変わります。

7. リフォーム市場はどう動いたか|受注高の統計

建築物リフォーム・リニューアル調査とは、国土交通省が建設業許可業者5,000業者を対象に、元請けとして受注したリフォーム・リニューアル工事の受注高を四半期ごとに調べている統計です。この統計では、施行後の1年間(2025年度)に住宅リフォームの受注が落ち込んだという結果にはなっていません。

2026年6月12日に公表された2025年度(令和7年度)計によると、住宅に係る工事の受注高は4兆9,033億円で、前年度に比べ18.7%増えました。工事の種類別の内訳は次のとおりです。

図2:住宅に係るリフォーム・リニューアル工事の受注高(工事の種類別)
2025年度計/単位:億円/国土交通省
38,164
 
9,215
 
1,316
 
338
 
改装・改修工事
維持・修理工事
一部改築工事
増築工事
前年度比は、改装・改修工事が17.4%増、維持・修理工事が35.4%増、一部改築工事が8.8%減、増築工事が39.0%減です。4つの合計は4兆9,033億円です。バーの高さは38,164億円を100%とした相対値です。

出典:国土交通省「建築物リフォーム・リニューアル調査報告(令和7年度第4四半期受注分、令和7年度計)」(2026年6月12日公表・2026年9月20日確認)

建物の種類別では、木造の一戸建住宅が2兆2,489億円(前年度比17.5%増)で最も多く、発注者別では個人が3兆769億円(同16.4%増)でした。一方で、もともと建築確認が必要な増築工事は39.0%減、一部改築工事は8.8%減と減っています。

ただし、この統計は受注高(金額)の調査で、資材価格や人件費の上昇の影響を含みます。また、建築確認が必要になった大規模の修繕・模様替だけを取り出した数値はありません。「改正の影響でリフォームが減った」とも「影響はなかった」とも、この統計だけでは言い切れない点にご留意ください。

8. 建築確認が必要なリフォームの進め方|手続きと期間

建築確認とは、工事に着手する前に、計画が建築基準関係規定に適合していることについて、建築主事等または指定確認検査機関の確認を受ける手続きです(建築基準法第6条・第6条の2)。大規模の修繕・模様替で建築確認が必要になる場合、手続きはおおむね次の順で進みます。

手順 内容 ポイント
手順1 資料の確認 確認済証・検査済証・設計図書が残っているかを確かめる 手元になければ、特定行政庁の窓口で建築計画概要書や台帳記載事項証明を取得できる場合がある
手順2 現況の調査 建築士が建物の現況を調べ、建てた当時の法令への適合と、既存不適格の内容を整理する 検査済証がない場合は、第5章の耐震診断を使う方法を含め、申請先と進め方を相談する
手順3 設計と事前相談 工事の範囲が過半に当たるかを主要構造部ごとに整理し、緩和措置の適用を申請先に確認する 接道義務の緩和のように、特定行政庁の認定が必要なものは早めに相談する
手順4 確認申請 建築主事等または指定確認検査機関に申請する 法律上の審査期間は受理から35日以内。図書の不備があると延びる
手順5 着工 確認済証の交付を受けてから工事に着手する 交付前の着工は建築基準法第6条第8項に違反する
手順6 完了検査 工事の完了から4日以内に申請し、検査済証の交付を受ける 検査済証は将来の売却や次のリフォームでも役立つ
出典:e-Gov法令検索「建築基準法」第6条・第7条(2026年9月20日確認)、国土交通省「既存建築物の現況調査ガイドライン」。建築確認を受けずに対象の工事をした場合の罰則は、1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金です(同法第99条第1項第1号)。

費用については、確認申請の手数料に加えて、現況の調査、申請図書の作成、完了検査への対応といった設計者の業務が増えます。金額は建物の規模、図面の有無、申請先によって変わるため、一律の相場をお示しすることはできません。見積もりの段階で、「建築確認が必要な工事に当たるか」「当たる場合の調査と申請の費用はいくらか」「工期に何日見込んでいるか」を、工事費とは分けて書面で示してもらうと比べやすくなります。

なお、防火地域・準防火地域の外で行う床面積10㎡以内の増築・改築・移転は、建築確認が不要です(建築基準法第6条第2項)。防火地域・準防火地域の中では、10㎡以内の小さな増築でも建築確認が必要になります。この点は改正の前後で変わっていません。

図面と現況を照らし合わせて調査する建築士

9. 補助金と減税の状況|住宅省エネキャンペーンとリフォーム減税

住宅省エネ2026キャンペーンとは、国土交通省・環境省・経済産業省が連携して行う、住宅の省エネ化を支援する補助事業の総称です。建築確認が必要かどうかにかかわらず、断熱改修や窓の改修、高効率給湯器の設置などが対象になります。各事業は、補助金の申請額が予算の上限に達すると受付を終了します。

図3:住宅省エネ2026キャンペーン(リフォーム)の予算に対する補助金申請額の割合
2026年9月20日午前0時時点/単位:%/住宅省エネ2026キャンペーン公式サイト
45%
 
25%
 
7%
 
給湯省エネ2026事業
先進的窓リノベ2026事業
みらいエコ住宅2026事業(リフォーム)
給湯省エネ2026事業は新築を含みます。割合は毎日午前0時時点の値が当日の午前中に公表されます。2026年9月3日時点ではそれぞれ41%・21%・5%でした。バーの高さは予算の上限を100%とした値です。

出典:住宅省エネ2026キャンペーン公式サイト「予算に対する補助金申請額」(2026年9月20日時点の公表値・同日確認)

国の補助金は、工事を発注する人が自分で申請することはできず、事務局に登録した工事施工業者が申請し、交付された補助金を発注者に還元する仕組みです。依頼先が登録事業者かどうかを、契約の前に確認してください。

税制では、耐震・バリアフリー・省エネ・長期優良住宅化などのリフォームについて、所得税の控除(リフォーム促進税制)と、固定資産税の減額(耐震は2分の1、バリアフリー・省エネは3分の1、長期優良住宅化は3分の2を1年度分)があります。適用期限や床面積などの要件は年度ごとの税制改正で見直されますので、工事の前に国土交通省のページと税務署・都税事務所でご確認ください。

10. 会社選びで確認したい5つのこと

性能向上リノベーションとは、内装や設備を新しくするだけでなく、耐震補強や断熱改修によって建物の基本的な性能を引き上げるリフォームをいいます。こうした工事では、木造建築に詳しい設計者と職人が欠かせません。改正法の施行後は、これに「建築確認の手続きに対応できるか」という視点が加わりました。

確認したいこと 理由
計画している工事が大規模の修繕・模様替に当たるかを、主要構造部ごとに説明してくれるか 過半かどうかの判断は種類ごとに行う。根拠を示せない会社は手続きの見落としにつながる
建築士が現況の調査と設計を担当するか 一定の規模を超える建物の大規模の修繕・模様替の設計・工事監理は、建築士でなければ行えない(建築士法第3条〜第3条の3。木造は延べ面積100㎡超が目安)
既存の建物のリフォームで建築確認を申請した経験があるか 国土交通省の調査では、申請図書の不備が審査期間を延ばす最大の要因だった
調査・申請の費用と期間を、工事費と分けて見積書に書いてくれるか 後から追加の費用や工期の延長が生じるのを防ぐ
補助金の登録事業者か、減税の証明書の発行に対応できるか 国の補助金は登録事業者でなければ申請できない
住まいるダイヤル(公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センター)の住宅相談統計年報2025によると、2024年度のリフォームに関する相談は11,920件で、集計開始以来初めて新築に関する相談(11,682件)を上回りました。見積チェックサービスの利用者の73.9%は、1社からしか見積もりを取っていませんでした。

反対に、「建築確認が必要になると費用が上がるので、申請しないで進めましょう」と提案する会社は避けてください。建築確認を受けずに対象の工事をすることは法律違反で、罰則があるほか、将来の売却や住宅ローンの審査で不利になるおそれがあります。

見積書と図面を前にリフォームの相談をする夫婦

11. リフォームの建築確認のよくある質問

Qリフォームの「2025年問題」とは何ですか?

A2025年4月1日に施行された改正建築基準法により、木造2階建て住宅などの大規模なリフォーム(大規模の修繕・大規模の模様替)に建築確認が必要になったことを指します。対象は2025年4月1日以後に工事に着手するもので、壁・柱・床・はり・屋根・階段のいずれか1種類以上について過半を改修する工事です。平屋で延べ面積200㎡以下の建物は、施行後も大規模の修繕・模様替の建築確認は不要です。

Qキッチンや浴室の交換、屋根のカバー工法に建築確認は必要ですか?

A必要ありません。国土交通省の解説事例集は、キッチン・トイレ・ユニットバスの交換、手すりやスロープの設置はすべて建築確認が不要としています。屋根ふき材だけの改修、屋根や外壁のカバー工法、外壁の内側からの断熱改修も、国土交通省の通知(2024年2月8日付け国住指第355号)で大規模の修繕・模様替に当たらないと整理されています。判断に迷う場合は、建築地の特定行政庁に相談してください。

Q大規模なリフォームをすると、省エネ基準や現行の耐震基準に合わせなければなりませんか?

A法律上の義務としては、必ずしもそうではありません。省エネ基準への適合義務の対象は新築・増築・改築で、大規模の修繕・模様替は対象外です(建築物省エネ法第10条)。耐震についても、既存不適格の建物は、構造耐力上の危険性を増大させない工事であれば、現行基準への適合までは求められません(建築基準法施行令第137条の12第1項)。ただし、旧耐震基準の家や断熱の不十分な家では、大規模なリフォームに合わせて耐震補強と断熱改修を行うことをおすすめします。

Q再建築できない土地の家は、もう大規模なリフォームができないのですか?

Aできる場合があります。接道義務について既存不適格の建物は、利用者の増加が見込まれる用途の変更を伴わず、特定行政庁が交通上・安全上・防火上・衛生上支障がないと認めた大規模の修繕・模様替であれば、接道義務に適合させなくても工事ができます(建築基準法施行令第137条の12第11項)。建てた当初から違反していた建物は対象外で、認められるかどうかは個別の判断になりますので、早めに特定行政庁に相談してください。カバー工法や水回りの交換など、建築確認が不要な工事はこれまでどおり行えます。

Q検査済証がない古い家でも、建築確認が必要なリフォームはできますか?

Aできる道筋が示されています。建築士が「既存建築物の現況調査ガイドライン」に沿って現況を調べ、建てた当時の法令への適合の状況を整理して申請します。2026年8月31日の国土交通省の技術的助言(国住指第299号)では、検査済証のない小規模な木造建築物について、耐震診断の指標(Iw)が、1981年5月31日までの建築なら0.5以上、1981年6月1日から2025年3月31日までの建築なら1.0以上であれば、建築時の構造の規定に適合していたとみなせる取扱いが示されました。実際の運用は申請先にご確認ください。

Q建築確認にはどのくらいの期間がかかりますか?

A法律上は、2階建て以上または延べ面積200㎡超の建物の計画は、申請の受理から35日以内に審査することとされています(建築基準法第6条第4項)。国土交通省の施行後調査(2026年4月実施・速報値)では、回答した指定確認検査機関82機関のうち42機関が、審査に30日を超える期間を要していると答えました。期間を延ばす最大の要因は申請図書の不備でした。リフォームでは、これに既存の建物の調査の期間が加わります。

12. まとめ|押さえておきたい6点

  • リフォームの「2025年問題」は、2025年4月1日の改正建築基準法の施行で現実の制度になりました。木造2階建て住宅などの大規模の修繕・模様替には、建築確認が必要です。
  • 水回りの交換、手すりの設置、屋根や外壁のカバー工法など、リフォームの大半は施行後も建築確認は不要です。影響が大きいのは、主要構造部の過半に手を入れるスケルトンリフォームです。
  • 大規模の修繕・模様替に省エネ基準への適合義務はかかりません。耐震も、既存不適格の建物は危険性を増やさない工事であれば現行基準への適合までは求められません。
  • 再建築できない土地の家でも、既存不適格であれば、特定行政庁が支障がないと認めた大規模の修繕・模様替は行えます。検査済証のない木造住宅については、2026年8月31日に耐震診断を使う方法が示されました。
  • 施行から1年の調査では、82機関のうち42機関が審査に30日超を要していました。混雑の山は施行直後で、期間を左右するのは申請図書の不備です。
  • 2025年度の住宅リフォームの受注高は4兆9,033億円で、前年度比18.7%増でした。会社を選ぶときは、工事が建築確認の対象かどうかの説明と、調査・申請の費用と期間の見積もりを確認してください。

ご計画のリフォームに建築確認が必要かどうか、図面と現地で確認します。

自由住宅では、東京をはじめ一都三県で木造住宅のリフォーム・リノベーションをご検討の方に、工事の範囲が大規模の修繕・模様替に当たるかどうか、検査済証や図面が残っていない場合の進め方、耐震補強や断熱改修と組み合わせた計画、使える補助金と減税を、資料を使ってご説明しています。他社でお受け取りの見積書についてのご質問も承ります。

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出典一覧

出典・参考資料

本記事は2026年9月20日時点で公表されている情報にもとづいています。国土交通省の施行後調査は速報値で、今後修正される場合があります。技術的助言や通知は、特定行政庁・指定確認検査機関の運用の参考として示されるもので、個別の計画の取扱いは申請先の判断によります。建築確認の要否、緩和措置の適用、補助金・減税の要件は、工事の前に必ず最新の情報をご確認ください。

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