コラム

住宅ローンの繰り上げ返済|金利1.25%時代の時期・型の選び方と住宅ローン控除との比較

基礎知識・住宅ローン

住宅ローンの繰り上げ返済|時期・型の選び方|自由住宅NAVI
2024年10月7日公開 / 2026年9月26日更新
この記事でわかること
  • 繰り上げ返済で減る利息は、「早いほど」「期間短縮型ほど」「金利が高いほど」大きくなります。借入3,000万円・35年・金利3.46%の試算では、5年後に300万円を期間短縮型で繰り上げ返済すると約473万円、30年後なら約43万円の利息が減ります(当社試算。金利はフラット35の2026年9月の最頻金利)。
  • 金利の前提は2026年に大きく動きました。日本銀行は2026年9月18日に政策金利を1.0%程度から1.25%程度へ引き上げ、9月24日から適用しています(日本銀行「金融市場調節方針の変更について」2026年9月18日公表)。
  • 住宅ローン控除の控除率は0.7%です。借入金利が0.7%を上回っていれば、控除期間中に繰り上げ返済しても、減る利息のほうが減る控除額より大きくなるのが通常です(国土交通省「住宅ローン減税」2026年6月更新)。
  • 繰り上げ返済で償還期間が10年未満になると、その年分から住宅ローン控除を受けられなくなります。判定は「当初の最初の償還月から、短くなった償還期間の最終償還月まで」が10年以上かどうかです(国税庁 質疑応答事例「繰上返済等をした場合の償還期間」)。
  • フラット35の一部繰り上げ返済は手数料不要です。インターネットサービス「住・My Note」なら10万円以上、取扱金融機関の窓口なら100万円以上から申し込めます(住宅金融支援機構「繰上返済」2026年9月26日確認)。

1. 繰り上げ返済とは|期間短縮型と返済額軽減型のちがい

繰り上げ返済とは、毎月の返済とは別に、住宅ローンの元金の一部または全部を前倒しで返すことです。返した元金にはそれ以降の利息がかからないため、完済までに払う利息の総額が減ります。元金の一部を返すのが「一部繰り上げ返済」、残りを一度に返すのが「全額繰り上げ返済」です。

一部繰り上げ返済には、返したあとの返済のしかたで2つの型があります。住宅金融支援機構は、フラット35の繰り上げ返済について「月々の返済額は今までどおりの額にし、返済額に応じて借入期間を短縮する方法」と「借入期間は今までどおりの期間にし、月々の返済額を少なくする方法」の2つを案内しています。

一部繰り上げ返済の2つの型
項目 期間短縮型 返済額軽減型
繰り上げ返済後の毎月の返済額 変わらない 少なくなる
完済までの期間 短くなる 変わらない
減る利息 大きい 期間短縮型より小さい
向いている目的 完済を早めたい・払う利息を減らしたい 毎月の家計の負担を軽くしたい
住宅ローン控除への影響 償還期間が10年未満になると控除が止まる(第4章) 期間は変わらないので、この条件にはかからない

どちらを選んでも、返した分だけ年末の借入残高は減ります。住宅ローン控除は年末残高に0.7%を掛けて計算するため、控除期間中に繰り上げ返済すると、その後の控除額はどちらの型でも小さくなります。

戸建て住宅のリビングで、書類と電卓を前に家計を見直している夫婦

2. 繰り上げ返済の効果は「時期」「型」「金利」で決まる

利息軽減効果とは、繰り上げ返済をしなかった場合と比べて、完済までに払う利息がいくら減るかをいいます。元利均等返済では、返済の初めほど毎月の返済額に占める利息の割合が大きいため、同じ金額を返しても早い時期のほうが効果が大きくなります。

次の図は、借入3,000万円・35年・元利均等・金利3.46%で、300万円を期間短縮型で繰り上げ返済したときに減る利息を、返す時期ごとに並べたものです。金利3.46%は、フラット35(返済期間21年以上35年以下・融資率9割以下)の2026年9月の最頻金利です。

図1:300万円を繰り上げ返済したときに減る利息(返す時期別)
単位:万円。借入3,000万円・35年・元利均等・金利3.46%・期間短縮型の当社試算
576万円
 
473万円
 
359万円
 
177万円
 
43万円
 
1年後
5年後
10年後
20年後
30年後

出典:金利は住宅金融支援機構「【フラット35】借入金利の推移」2026年9月の最頻金利(2026年9月26日確認)。利息の額は当社試算

※毎月の利息は円未満を四捨五入して計算しています。実際の返済予定表とは端数の処理が異なるため、数千円程度の差が出ます。団体信用生命保険の特約料や手数料は含みません。

同じ300万円でも、5年後に返すと30年後に返すより約430万円多く利息が減ります。旧版の記事では「フラット35の最大金利」を前提に5年後183万円・30年後27万円と試算していましたが、2026年9月の金利水準で計算し直すと差はさらに広がります。

型と金利による違いは次のとおりです。5年後に300万円を繰り上げ返済した場合で比べています。

5年後に300万円を繰り上げ返済した場合の比較(借入3,000万円・35年・元利均等)
金利 当初の毎月返済額 繰り上げ返済しない場合の総利息 期間短縮型 返済額軽減型
1.0% 84,686円 約557万円 利息が約97万円減る・完済が46か月早まる 利息が約47万円減る・毎月9,649円減る
2.0% 99,379円 約1,174万円 利息が約223万円減る・完済が52か月早まる 利息が約99万円減る・毎月11,089円減る
3.46% 123,293円 約2,178万円 利息が約473万円減る・完済が62か月早まる 利息が約183万円減る・毎月13,405円減る

※当社試算。金利1.0%・2.0%は比較のために置いた仮の値で、特定の金融機関の金利ではありません。変動金利型は、返済中に金利が見直されると結果が変わります。

どの金利でも、期間短縮型は返済額軽減型の2倍以上の利息を減らします。一方で返済額軽減型は、毎月の返済額が1万円前後下がるため、教育費がかさむ時期の家計に余裕をつくれます。「利息を減らす」と「毎月を楽にする」のどちらを目的にするかで、選ぶ型が決まります。

3. 2026年の金利の動き|政策金利1.25%とフラット35の金利

政策金利とは、日本銀行が金融市場調節の目標として定める短期金利で、現在は無担保コールレート(オーバーナイト物)の誘導目標をいいます。変動金利型の住宅ローンは、多くの場合この短期金利の動きに連動する基準金利をもとに決まります。

日本銀行は2026年6月16日に政策金利を1.0%程度へ引き上げ、同年9月18日の金融政策決定会合でさらに1.25%程度へ引き上げました(賛成7反対2)。新しい方針は9月24日から適用されています。固定金利型のフラット35も、返済期間21年以上35年以下・融資率9割以下の最頻金利が2026年8月の3.290%から9月は3.460%へ0.170ポイント上がりました。

2026年の主な金利の動き
時期 内容 出典
2026年6月16日 政策金利を1.0%程度へ引き上げ 日本銀行
2026年7月31日 政策金利を据え置き 日本銀行
2026年8月 フラット35の最頻金利 3.290% 住宅金融支援機構
2026年9月 フラット35の最頻金利 3.460% 住宅金融支援機構
2026年9月18日 政策金利を1.25%程度へ引き上げ(9月24日から適用) 日本銀行

住宅ローンを借りている人の多くは変動金利型です。住宅金融支援機構が2026年1月に行った調査では、借りた住宅ローンの金利タイプは変動型が75.0%で、前回から4.0ポイント下がりました。今後1年で金利が「上昇する」と見る人は73.7%でした。

図2:借りた住宅ローンの金利タイプ(2026年1月調査)
単位:%。棒の高さは割合そのもの(軸の上端が100%)。回答1,237件
75.0%
 
14.9%
 
10.1%
 
変動型
固定期間選択型
全期間固定型

出典:住宅金融支援機構「住宅ローン利用者の実態調査(2026年1月調査)」(2026年2月公表・2026年9月26日確認)

変動金利型で借りている場合、金利が上がると第2章の表のように総利息が増え、繰り上げ返済で減らせる利息も大きくなります。同じ調査では、日本銀行の利上げで住宅ローンの借り方に「変化あり」と答えた人が49.7%いました。金利が上がった局面では、繰り上げ返済の損得を今の金利で計算し直すことが出発点になります。

変動金利型は、返済額が変わる時期と金利が変わる時期が一致しないことがあります。契約によっては、金利が見直されても毎月の返済額は一定期間変わらず、その間は返済額に占める利息の割合だけが増えます。自分の契約の見直しの時期と条件は、金融機関から届く返済予定表や契約書で確かめてください。

4. 住宅ローン控除との比べ方|控除率0.7%と償還期間10年の条件

住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)とは、年末の住宅ローン残高の0.7%を、所得税(引ききれない分は住民税の一部)から差し引く制度です。新築の長期優良住宅・低炭素住宅なら借入限度額4,500万円(子育て世帯・若者夫婦世帯は5,000万円)、控除期間は13年です(国土交通省、2026年入居の場合)。

控除期間中に繰り上げ返済すると、年末残高が減るぶん控除額も減ります。そのため「控除期間が終わるまで繰り上げ返済は待つべき」という説明を見かけますが、これは借入金利が0.7%より低い場合の話です。繰り上げ返済で減る利息は借入金利で、減る控除は0.7%で計算されるため、両者の大小で損得が決まります。

300万円を繰り上げ返済したときの「減る利息」から「減る控除額」を差し引いた額
借入金利 1年目の末に返す 5年目の末に返す 控除期間(13年)が終わってから返す
0.6% 約35万円 約36万円 約39万円
1.0% 約84万円 約78万円 約67万円
2.0% 約234万円 約203万円 約149万円

※当社試算。借入3,000万円・35年・元利均等・期間短縮型。年末残高が借入限度額の範囲内にあり、所得税と住民税から控除額を全額引ける場合を想定しています。金利は比較のために置いた仮の値です。

金利0.6%では、控除期間が終わってから返したほうがわずかに有利です。金利1.0%以上では、早く返したほうが有利になり、金利が高いほど差は開きます。住宅金融支援機構の2026年1月の調査では借入金利が年0.5%超1.0%以下の人が53.4%でしたが、変動金利型は利上げのたびに見直されるため、いまの適用金利が0.7%を超えているかを返済予定表で確かめてください。

期間短縮型で償還期間が10年未満になると、その年分から控除を受けられません。住宅ローン控除の対象は、償還期間が10年以上の借入金です。国税庁は、繰り上げ返済後の償還期間は「当初の契約により定められていた最初に償還した月から、その短くなった償還期間の最終の償還月までの期間」で判定するとしています。この期間が10年以上であれば、その年の12月31日の実際の残高をもとに控除を受けられます(国税庁 質疑応答事例「繰上返済等をした場合の償還期間」)。

35年で借りて数百万円を繰り上げ返済する程度なら、この条件にかかることはまずありません。問題になるのは、借入期間を短めに組んだうえで大きな額を返し、完済が「最初の返済から10年未満」に早まる場合です。返済額軽減型なら期間は変わらないため、この条件にはかかりません。

ダイニングテーブルで2枚の書類を並べ、ペンを持って見比べている手元

5. 繰り上げ返済より手元資金を優先したほうがよい場面

手元資金とは、すぐに引き出して使える預貯金のことです。繰り上げ返済に回したお金は、あとから借り直すことができません。住宅ローンより金利の高い借入れで補うことになれば、繰り上げ返済で減らした利息以上の負担が生じます。

次のような場面では、繰り上げ返済の前に手元資金の確保を考えます。

繰り上げ返済の前に手元資金を確保したい場面
場面 理由 考え方
数年以内に教育費・車の買い替えなどの支出が決まっている 教育ローンや自動車ローンは住宅ローンより金利が高いことが多い 支出の予定額を先に取り分け、残った分で繰り上げ返済する
戸建ての外壁・屋根の修繕が近い 修繕費は一度に数十万円から百万円単位でかかる 築年数に応じた修繕の時期と費用を見積もってから判断する
収入が減る見込みがある(育児休業・転職など) 返済額軽減型でないかぎり、毎月の返済額は変わらない 返済額軽減型を選ぶか、繰り上げ返済の時期を遅らせる
団体信用生命保険に加入している 死亡・高度障害のときは残高が保険で弁済されるため、返した分は保障の対象から外れる 保障の見直しとあわせて考える

繰り上げ返済の時期と金額は、10年後・20年後の家計の見通しまで含めて決めるものです。ライフプランの試算が難しい場合は、ファイナンシャルプランナーに相談し、「どの時期にいくら返すか」「毎月いくらを貯蓄に回すか」を数字で確かめると判断しやすくなります。

家計の負担を示す目安に、総返済負担率(年収に占める年間返済額の割合)があります。フラット35の利用者調査(2025年度)では、首都圏の建売住宅の購入者が24.5%、中古戸建の購入者が21.6%でした。繰り上げ返済を考える前に、自分の家計でこの割合がどのくらいかを出しておくと、「返済額を減らすべきか、期間を縮めるべきか」の判断材料になります。

6. フラット35の繰り上げ返済の手続き

フラット35の繰り上げ返済とは、住宅金融支援機構の長期固定金利の住宅ローンを前倒しで返す手続きで、全額・一部とも手数料はかかりません。申し込み方によって、一度に返せる最低額が違います。

フラット35の繰り上げ返済の条件
項目 住・My Note(インターネット) 取扱金融機関の窓口
一部繰り上げ返済の最低額 10万円以上 100万円以上
手数料 不要 不要
申込みの期限(一部) 返済日の2か月前から1か月前の日の前営業日まで 返済日の2か月前から1か月前の日の前営業日まで
繰り上げ返済できる日 月々の返済日 月々の返済日

全額繰り上げ返済は、完済日の2か月前から1か月前の日の前営業日までに申し込みます。民間金融機関の住宅ローンは、手数料・最低額・申込み方法が金融機関ごとに異なるため、契約している金融機関のサイトか窓口で確かめてください。

10万円単位で返せると、手元資金を残しながら少しずつ返す方法がとれます。住・My Noteなら10万円から手数料なしで繰り上げ返済できるため、まとまった額を一度に返さず、ボーナスのたびに余った分だけ返すといった使い方ができます。

リビングのソファでノートパソコンの手続き画面を見ている人物の後ろ姿

7. まとめ

繰り上げ返済で減る利息は、返す時期が早いほど、期間短縮型を選ぶほど、借入金利が高いほど大きくなります。2026年は政策金利が1.25%程度まで上がり、フラット35の最頻金利も3.460%になりました。以前に「控除期間中は繰り上げ返済しない」と決めた方も、いまの適用金利が0.7%を超えているなら、計算し直す価値があります。

  • 目的が「利息を減らす」なら期間短縮型、「毎月の負担を減らす」なら返済額軽減型
  • 借入金利が住宅ローン控除の控除率0.7%を上回っていれば、控除期間中でも早く返すほうが有利になるのが通常
  • 期間短縮型で「最初の返済から完済まで」が10年未満になると、控除が止まる
  • 教育費・修繕費などの予定がある場合は、先に手元資金を取り分ける
  • フラット35は住・My Noteなら10万円から手数料なしで返せる

8. 繰り上げ返済のよくある質問

Q期間短縮型と返済額軽減型は、どちらを選べばよいですか?

A払う利息を減らしたいなら期間短縮型、毎月の返済額を減らしたいなら返済額軽減型です。借入3,000万円・35年・金利3.46%で5年後に300万円を返す試算では、期間短縮型は利息が約473万円、返済額軽減型は約183万円減ります(当社試算)。教育費がかさむ時期など、毎月の家計に余裕をつくりたい場合は返済額軽減型が向いています。

Q住宅ローン控除を受けている間は、繰り上げ返済しないほうがよいのですか?

A借入金利によります。控除率は0.7%なので、借入金利が0.7%より低ければ控除期間が終わってから返すほうが有利になりやすく、0.7%より高ければ早く返すほうが有利になるのが通常です。借入3,000万円・35年で300万円を返す試算では、金利1.0%だと1年目の末に返した場合の差引きが約84万円、控除期間が終わってからだと約67万円でした(当社試算)。

Q繰り上げ返済で住宅ローン控除が受けられなくなることはありますか?

Aあります。期間短縮型で償還期間が10年未満になると、その年分以後は控除を受けられません。判定は、当初の契約で定められた最初の償還月から、短くなった償還期間の最終償還月までが10年以上かどうかで行います(国税庁 質疑応答事例「繰上返済等をした場合の償還期間」)。返済額軽減型は期間が変わらないため、この条件にはかかりません。

Qフラット35の繰り上げ返済に手数料はかかりますか?

A全額・一部とも手数料はかかりません。一部繰り上げ返済の最低額は、インターネットサービス「住・My Note」なら10万円以上、取扱金融機関の窓口なら100万円以上です。申込みは返済日の2か月前から1か月前の日の前営業日までで、繰り上げ返済できる日は月々の返済日です(住宅金融支援機構「繰上返済」)。

Q金利が上がっているいま、変動金利型のまま繰り上げ返済してよいですか?

A金利が上がるほど、繰り上げ返済で減る利息は大きくなります。一方で、繰り上げ返済に回したお金はあとから借り直せないため、教育費や修繕費など近い支出を先に取り分けることが前提です。日本銀行は2026年9月18日に政策金利を1.25%程度へ引き上げており、変動金利型の適用金利も見直される可能性があるため、次の見直しの時期と新しい金利を金融機関に確かめてから判断してください。

繰り上げ返済の損得は、借入金利・残りの期間・住宅ローン控除・今後の支出で変わります。返済予定表だけでは判断しにくい場合は、家計全体の見通しから考えるのが近道です。

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