土地から買う注文住宅の資金の流れとは、土地の契約から建物の引き渡しまでの間に、いつ・誰に・いくらを払い、そのお金をどこから用意するかという順番のことです。建売住宅やマンションは、完成した物件の引き渡しと同時に代金を払い、住宅ローンも同じ日に受け取ります。土地を買って注文住宅を建てる場合は、支払いが半年から1年ほどの間に何回かに分かれ、その多くが住宅ローンを受け取る前に来ます。
一般的な流れと支払いの例は次のとおりです。建物の代金を何回に分けて払うかは、住宅会社との工事請負契約で決まります。
| 段階 | 主な支払い | 支払先 | 住宅ローン本体との関係 |
|---|---|---|---|
| 土地の売買契約 | 手付金、契約書の印紙代 | 売主 | 受け取る前 |
| 土地の決済・引き渡し | 土地の残代金、仲介手数料、登記費用、固定資産税の清算金 | 売主・仲介会社・司法書士 | 受け取る前 |
| 建物の工事請負契約 | 契約時の支払い、契約書の印紙代 | 住宅会社 | 受け取る前 |
| 着工 | 着工時の支払い、地盤改良費など | 住宅会社 | 受け取る前 |
| 上棟 | 中間時の支払い | 住宅会社 | 受け取る前 |
| 竣工・引き渡し | 建物の残代金、建物の登記費用、火災保険料 | 住宅会社・司法書士・保険会社 | このときに受け取る |
※支払いの回数と割合は住宅会社や契約によって異なります。契約の前に、支払いの時期と金額を書面で確かめてください。
住宅ローンの本体を受け取る前に、土地の代金と建物の代金の一部を払う必要があります。この間の資金を自己資金で払うか、つなぎ融資や土地先行融資で借りるかを、土地の契約の前に決めておくことが大切です。
土地取得費とは、住宅を建てる敷地を買うためにかかった費用のことです。住宅金融支援機構のフラット35利用者調査では、土地付注文住宅の所要資金を「建設費」と「土地取得費」に分けて集計しています。2025年度の土地取得費の平均を地域別に並べると次のとおりです。
出典:住宅金融支援機構「2025年度フラット35利用者調査」(2026年7月24日公表・2026年9月28日確認)
※棒の高さは首都圏の2,590.0万円を100%とした相対値です。
首都圏の土地取得費は2,590.0万円で、前年度より13.3%上がりました。建設費3,814.3万円と合わせた所要資金は6,404.3万円で、その40.4%が土地の代金です。住宅ローンの本体を受け取る前に、総額の4割ほどを払う必要があることになります。
国土交通省の令和7年度住宅市場動向調査でも、土地を購入して注文住宅を建てた世帯の購入資金は、全国平均で7,646万円、三大都市圏の平均で1億27万円でした。全国平均のうち自己資金は2,305万円で、自己資金比率は30.1%です。土地の代金を自己資金だけで払える世帯は多くないため、次の章で説明する借入れの方法を組み合わせるのが一般的です。
つなぎ融資とは、住宅ローンの本体を受け取るまでの間、土地の代金や工事の途中の支払いを立て替えるための短期の借入れです。建物が完成して住宅ローンの本体を受け取ったときに、その資金でまとめて返します。金融機関によっては「つなぎローン」と呼びます。
住宅金融支援機構のフラット35は、手続の流れを「借入れの申込み→審査→設計検査→着工→中間現場検査→竣工→竣工現場検査(適合証明書の交付)→借入れの契約・資金の受取り」としています。資金を受け取れるのは竣工後です。そのため、土地の代金や着工時・中間時の支払いには、つなぎ融資などの別の手当てが必要になります。フラット35では、つなぎローンにかかる金利や融資手数料も、確認書類があれば借入れの対象になります。
国土交通省の民間住宅ローンの実態に関する調査では、金融機関が新たに貸し出したつなぎローンの件数を集計しています。
出典:国土交通省「令和7年度民間住宅ローンの実態に関する調査 結果報告書」(2026年6月公表・2026年9月28日確認)
※棒の高さは令和3年度の114,945件を100%とした相対値です。回答した金融機関の数は年度によって異なります。
令和6年度のつなぎローンの新規貸出は8万9,949件、金額は1兆3,545億円でした。前年度より件数は13.6%増えています。金額を件数で割ると、1件あたりの平均は約1,506万円になります(当社計算)。首都圏の土地取得費の平均2,590.0万円と比べると、土地の代金の一部を自己資金で払い、残りと工事の途中の支払いをつなぎ融資で立て替える形が多いと考えられます。
つなぎ融資は、それ自体は住宅ローン減税の対象になりません。住宅ローン減税の対象は、償還期間が10年以上の借入金です(国税庁 タックスアンサーNo.1225)。つなぎ融資は完成時に一括で返す短期の借入れなので、この要件に当たりません。つなぎの期間の利息は、借入れの期間と金額に応じてかかります。
土地先行融資とは、住宅ローンのうち土地の代金にあたる部分を、建物の完成を待たずに先に貸し出すしくみです。土地の決済の日に土地分を受け取り、返済もそのときから始まります。建物の分は、完成時にあらためて受け取ります。
分割実行とは、住宅ローンを一度にではなく、土地の決済・着工・上棟・竣工などの段階に合わせて何回かに分けて受け取るしくみです。「分割融資」とも呼ばれます。受け取った分から利息や返済が始まるため、つなぎ融資を使わずに済む場合があります。
土地先行融資や分割実行を扱うかどうか、何回まで分けられるか、土地だけに抵当権を設定する期間の扱いは、金融機関や商品によって異なります。フラット35は、竣工後に一括で資金を受け取る流れのため、土地の代金は別の方法で用意する必要があります。
土地先行融資では、建物の完成前から返済が始まります。今の住まいが賃貸なら、家賃と土地分の返済が重なる期間ができます。持ち家を売って住み替える場合は、売却の時期と合わせて資金繰りを確かめてください。
資金の用意のしかたとは、住宅ローンの本体を受け取る前の支払いを、どのお金でまかなうかの選び方です。自己資金で払う、つなぎ融資で立て替える、住宅ローンを先に分けて受け取る、の3つがあり、組み合わせることもできます。
| 項目 | 自己資金で払う | つなぎ融資 | 土地先行融資・分割実行 |
|---|---|---|---|
| しくみ | 預貯金や今の家の売却代金で払う | 短期で借りて、住宅ローンの本体で一括して返す | 住宅ローンの一部を先に受け取る |
| 完成前の返済 | なし | 利息の支払いが出ることがある(返し方は金融機関による) | 受け取った分の返済が始まる |
| 抵当権 | 不要 | 金融機関による | 設定の時期と対象(土地・建物)は金融機関による。減税を受けるには新築した住宅への抵当権の設定が必要 |
| 住宅ローン減税 | 関係しない | つなぎ融資そのものは対象外 | 要件を満たせば土地分も対象 |
| 向いている人 | 手元資金に余裕がある人、売却代金が先に入る人 | フラット35を使う人、完成まで返済を始めたくない人 | 取扱いのある金融機関で借りる人、利息の総額を抑えたい人 |
| 注意点 | 手元資金が減り、急な出費に備えにくくなる | つなぎの期間の利息と手数料がかかる | 家賃と返済が重なる期間ができる |
どれが合うかは、自己資金の額、借りる住宅ローンの種類、今の住まいの家賃や売却の時期で変わります。住宅会社と金融機関の両方に、支払いの予定表を見せたうえで相談すると、組み合わせを決めやすくなります。
住宅ローン減税(住宅借入金等特別控除)とは、住宅ローンの年末残高に応じて所得税などが差し引かれる制度です。国税庁のタックスアンサーNo.1225は、住宅の新築とともに取得する敷地のための借入金も対象に含めています。ただし、土地を先に買って後から建てる場合は、次のような区分ごとの要件があります。
| 土地の取得のしかた | 主な要件(国税庁 No.1225) |
|---|---|
| 住宅の新築の日前2年以内に敷地を取得 | 金融機関などからの借入金で、その借入金を担保するために新築した住宅に抵当権が設定されたこと、または保証会社などの求償権を担保するために新築した住宅に抵当権が設定されたことなど |
| 建築条件付きで敷地を取得 | 住宅の新築の日前に、一定期間内に住宅を建築することを条件に敷地を取得し、その条件どおりに建築したことなど |
| 着工後に受け取った借入金で敷地を取得 | 住宅の新築工事の着工の日の後に受け取った借入金で、その住宅の敷地を取得したことなど |
※表は区分と主な要件の要約です。借入先の範囲などの細かな要件は、国税庁のタックスアンサーNo.1225で確かめてください。
もう一つ大切な点があります。国税庁は、その年の12月31日に建物について控除の対象となる借入金がない場合、敷地についての借入金があっても、その借入金はなかったものとみなすとしています。土地先行融資で土地分だけを借りて年を越し、建物の借入れがまだない年は、土地分についても控除を受けられません。
また、国税庁の質疑応答事例は、新築の日前2年以内に先に取得した土地の借入金について、家屋を目的とする抵当権の設定がなければ控除の対象にならないとしています。あとから土地の借入金について家屋に抵当権を設定した場合は、その日の属する年以後の年分について対象として差し支えないとしています(令和7年=2025年8月1日現在の法令等による回答)。
土地の借入れも減税の対象にしたい場合は、借入れの契約の前に金融機関へ確かめてください。新築した住宅に抵当権を設定する形になっているか、土地を取得した日から住宅の新築の日まで2年以内に収まるかが確認のポイントです。住宅ローン減税そのものの要件(床面積、入居の時期、所得の上限など)は別に満たす必要があります。
資金計画とは、土地・建物・諸費用の総額と、それぞれを払う時期、そのお金をどこから用意するかをまとめた計画です。土地から買う注文住宅では、総額だけでなく「いつ払うか」まで決めておくことが大切です。
土地の探し方そのものは「注文住宅用の土地探しの方法や注意点、土地の選び方をチェック」、土地探しと家づくりの相談先の選び方は「首都圏でワンストップ相談できる住宅会社7選」で説明しています。
土地から買う注文住宅では、住宅ローンの本体を受け取る前に、土地の代金と建物の代金の一部を払う必要があります。首都圏では土地の代金が総額の約4割にあたり、フラット35の資金を受け取れるのは竣工後です。
この間の資金は、自己資金、つなぎ融資、土地先行融資・分割実行の3つを組み合わせて用意します。つなぎ融資そのものは住宅ローン減税の対象外で、土地先行融資の土地分は、住宅の新築の日前2年以内の取得や新築住宅への抵当権の設定などの要件を満たせば対象になります。土地の契約の前に、支払いの予定表と借入れの方法を住宅会社・金融機関と一緒に決めておくことが、資金繰りの不安を減らす近道です。
Qつなぎ融資とは何ですか?
A住宅ローンの本体を受け取るまでの間、土地の代金や工事の途中の支払いを立て替えるための短期の借入れです。建物が完成して住宅ローンの本体を受け取ったときに、その資金で一括して返します。国土交通省の調査では、令和6年度に8万9,949件、1兆3,545億円のつなぎローンが新たに貸し出されました。
Qフラット35で土地から買うとき、土地の代金はどう払いますか?
Aフラット35の資金を受け取れるのは、竣工後の検査に合格して適合証明書を金融機関に出したあとです。そのため、土地の代金や工事の途中の支払いは、自己資金かつなぎ融資で用意します。フラット35の借入額には、希望すれば土地取得費を含められ、つなぎローンにかかる金利や手数料も確認書類があれば借入れの対象になります。
Q土地先行融資と分割実行の違いは何ですか?
A土地先行融資は、住宅ローンのうち土地の代金にあたる部分を先に受け取るしくみです。分割実行は、土地の決済・着工・上棟・竣工などの段階に合わせて、住宅ローンを何回かに分けて受け取るしくみです。どちらも受け取った分から返済や利息が始まります。扱いの有無や条件は金融機関によって異なります。
Q先に買った土地のローンも住宅ローン減税の対象になりますか?
A要件を満たせば対象になります。住宅の新築の日前2年以内に取得した敷地のための金融機関などからの借入金で、新築した住宅に抵当権が設定されたことなどが要件です。ただし、その年の12月31日に建物についての対象の借入金がない場合は、敷地についての借入金もなかったものとみなされます(国税庁 タックスアンサーNo.1225)。
Q土地を買って注文住宅を建てるには、自己資金はいくら必要ですか?
A決まった額はありませんが、国土交通省の令和7年度住宅市場動向調査では、土地を購入して注文住宅を建てた世帯の自己資金は全国平均で2,305万円、購入資金に占める割合は30.1%でした。三大都市圏では自己資金4,085万円、自己資金比率40.7%です。つなぎ融資や分割実行を使えば、完成前の支払いを自己資金だけでまかなう必要はありません。
土地の代金をいつ払い、住宅ローンをいつ受け取るか。土地から家づくりを始めるときは、総額だけでなく支払いの順番まで一緒に考えることが大切です。
自由住宅では、土地探しから注文住宅の設計・建築、今の住まいの売却までを一つの窓口で承り、支払いの予定表と資金計画をあわせてご提案しています。
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