希望エリアで物件が見つからない状態とは、そのエリアに売り物件はあるのに、予算・広さ・間取り・駅からの距離といった条件を全部満たす物件がほとんど無い状態のことです。「物件が無い」と「合う物件が無い」は別の問題で、打つ手も違います。
不動産会社が使う物件の情報網「レインズ」のうち、東日本を担当する東日本不動産流通機構(東日本レインズ)の集計では、2026年9月に首都圏(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県)で売れた(成約した)新築戸建は1,285件で、前年同月より21.7%減りました。一方で、9月末の在庫は14,077件で、1年前とほぼ同じです。売り物件は残っているのに、売れる件数が減っている。つまり、買い手が「この価格なら買う」と思える物件が少なくなっていることを示しています。
| 都県 | 成約件数 | 成約価格の平均 | 新規登録価格の平均 | 在庫件数(9月末) |
|---|---|---|---|---|
| 東京都 | 308件 | 6,195万円 | 7,967万円 | 3,505件 |
| 神奈川県 | 422件 | 4,759万円 | 5,337万円 | 4,146件 |
| 埼玉県 | 320件 | 3,961万円 | 4,278万円 | 3,797件 |
| 千葉県 | 235件 | 3,822万円 | 4,351万円 | 2,629件 |
| 首都圏 | 1,285件 | 4,733万円 | 5,624万円 | 14,077件 |
出典:東日本不動産流通機構「月例速報 Market Watch 2026年9月度」(2026年10月13日公表)の新築戸建住宅レポート。成約価格は実際に売買が成立した価格、新規登録価格はその月に新しく売りに出された価格です。
どの都県でも、新しく売りに出た価格は、実際に売れた価格より高くなっています。差が最も大きいのは東京都で1,772万円、首都圏全体では891万円です。
売り出し価格とは、売主が「この価格で売りたい」と決めて広告に出す価格のことで、成約価格とは、買い手と話がまとまって実際に売れた価格のことです。ポータルサイトや広告で目に入るのは売り出し価格です。両者がずれると、「見ても見ても高い物件ばかり」と感じます。
出典:東日本不動産流通機構「月例速報 Market Watch 2026年9月度」新築戸建住宅レポート(2026年10月13日公表)。売り出し価格は新規登録価格です。
2025年9月の時点では、売り出し価格と成約価格の差は144万円しかありませんでした。それが1年で1,772万円まで開いています。売り出し価格は1年で31.6%上がったのに、成約価格は4.8%しか上がっていません。買い手が付いていけない価格で売りに出る物件が増え、売れ残りやすくなっているということです。
背景には土地の値上がりがあります。国土交通省の令和8年都道府県地価調査(2026年7月1日時点)では、東京都区部の住宅地の平均価格が1㎡あたり842,800円、前年からの変動率が8.7%でした。土地100㎡なら土地代だけで8,000万円を超える計算です(当社計算)。2026年9月に東京都で売れた新築戸建の平均が土地約102㎡・建物約95㎡と小さめなのは、この地価の中で価格を抑えるためです。地価の詳しい動きは「基準地価2026で見る一都三県の住宅地」で紹介しています。
売り出し価格だけで相場を判断しない
ポータルサイトで見る価格は売り出し価格です。そのエリアで実際にいくらで売れているかは、国土交通省の「不動産情報ライブラリ」の成約価格情報や、東日本レインズの月例速報で確かめられます。相場を成約価格で見直すと、「予算が足りない」のか「売り出し価格が高いだけ」なのかを分けて考えられます。
価格帯とは、物件を価格の幅で分けたグループのことです。平均価格が少し上がっただけに見えても、予算の上限に近い価格帯の物件が減ると、選べる物件は大きく減ります。
出典:東日本不動産流通機構「月例速報 Market Watch 2026年9月度」新築戸建住宅レポートの価格帯別件数(2026年10月13日公表)。各区分は下限を超え上限以下。棒の高さは割合そのものです。
2026年7〜9月に東京都で売れた新築戸建のうち、最も多いのは5,000万〜7,000万円の42.1%です。5,000万円以下は合わせて31.5%で、1年前の2025年7〜9月(43.1%)から11.6ポイント下がりました。売れた件数で見ても、5,000万円以下は454件から290件に減っています。
予算の上限が5,000万円前後の場合、東京都の中で同じ条件のまま探し続けると、候補はこれからも減る可能性があります。このときの打ち手は、予算を上げるか、エリアを広げるか、物件の種類(中古・土地から)を広げるかのどれかです。神奈川県・埼玉県・千葉県では、売れた新築戸建の平均価格が3,800万〜4,700万円台で、東京都より1,400万〜2,400万円低くなっています。
借りられる額と、無理なく返せる額は違う
予算を上げる前に、毎月の返済額を家計から逆算してください。2025年度のフラット35利用者調査では、首都圏で建売住宅を買った人の総返済負担率(年収に占める年間返済額の割合)の平均は24.5%でした。年収・年齢別の目安は「住宅ローンはいくら借りていくら払ってる?」で紹介しています。
条件のずれとは、希望する駅・広さ・間取り・価格の組み合わせが、そのエリアで実際に売りに出る物件の組み合わせと合っていないことです。一つひとつの条件は無理がなくても、全部を重ねると該当する物件がほとんど残りません。
実際に家を買った人も、どこかで妥協しています。国土交通省の住宅市場動向調査で、三大都市圏で建売住宅(分譲戸建住宅)を買った世帯に「住宅を選ぶときに妥協したもの」を聞いた結果が次のとおりです。
出典:国土交通省「令和7年度 住宅市場動向調査」(2026年7月17日公表)。正式な項目名は「価格・家賃(予定より高くなった)」「住宅の広さ」「間取り、部屋数」「交通の利便性」「職場からの距離」「住宅のデザイン」「生活利便性の高い立地」「特になし」。棒の高さは割合そのものです。
最も多いのは「価格(予定より高くなった)」の41.3%で、「広さ」23.9%、「間取り・部屋数」20.3%、「交通の利便性」19.4%が続きます。妥協が「特になし」だった人は16.1%にとどまります。8割以上の人は何かを妥協して決めているということです。
条件のずれを解くには、条件を「ゆずれないもの」「幅を持たせられるもの」「なくてもよいもの」の3つに分けます。たとえば「小学校の学区」はゆずれない、「駅から徒歩10分」は15分まで幅を持たせる、「南向きの庭」はなくてもよい、という具合です。順位を付けると、不動産会社にも探す範囲を正確に伝えられます。
未公開物件とは、ポータルサイトや広告にまだ出ていない売り物件のことです。法律上の言葉ではなく、不動産会社が広告で使う呼び方です。「未公開物件があるから見つかる」と言われることもありますが、実際にどんな物件なのかを知っておくと、期待しすぎずに済みます。
売主が不動産会社に売却を頼む契約(媒介契約)には3種類あります。このうち専任媒介契約と専属専任媒介契約を結んだ不動産会社は、宅地建物取引業法第34条の2第5項と同法施行規則第15条の10により、物件をレインズに登録しなければなりません。登録の期限は、専任媒介は契約の日から7日以内、専属専任媒介は5日以内で、どちらも休業日は数えません。さらに2025年1月1日からは、登録した物件の取引状況(「公開中」「書面による購入申込みあり」「売主都合で一時紹介停止中」)をレインズに登録することも義務になりました。
| 中身 | どういう物件か | 見つけ方 |
|---|---|---|
| 登録・広告の前の物件 | 媒介契約を結んでから、レインズへの登録や広告の掲載までの数日間の物件 | 希望条件を不動産会社に登録し、新着を連絡してもらう |
| 一般媒介の物件 | 一般媒介契約はレインズへの登録が義務ではないため、ほかの会社に情報が回りにくい | エリアの不動産会社を2〜3社あたる |
| 売主が自ら売る物件 | 分譲会社が自社で売る建売住宅や分譲地。媒介ではないため登録の義務がない | 分譲会社のサイトや現地の看板を見る |
| これから建てる物件 | 土地を仕入れた段階で、建物の計画がまだ決まっていない分譲地や建築条件付き土地 | 土地から相談できる会社に希望の広さと予算を伝える |
表のとおり、「未公開物件」の多くは、いずれ公開される物件か、まだ建物が無い物件です。売主の都合で広告をしない物件もありますが、専任媒介・専属専任媒介の物件であれば、レインズには登録されています。本当に効くのは「新着を早く知る」ことと「建物が建つ前の土地から探す」ことです。不動産会社の選び方や、物件の情報を囲い込む行為への対策は「不動産仲介会社の選び方|手数料の上限・媒介契約3種・囲い込み対策」で紹介しています。
探し方を広げるとは、希望を下げることではなく、同じ暮らしを実現できる物件の範囲を広げることです。実際に建売住宅を買った人が物件を探した方法を見ると、インターネットが最も多く、不動産会社がそれに続きます。
出典:国土交通省「令和7年度 住宅市場動向調査」(2026年7月17日公表)。正式な項目名は「インターネット」「不動産業者」「現地を通りがかった」「知人等の紹介」「住宅展示場」「住宅情報誌」「新聞等の折り込み広告」「その他」。公的分譲(0.6%)は省略。棒の高さは割合そのものです。
インターネット(68.1%)だけで探していると、広告に出るまでの数日間の物件や、分譲会社が自社で売る物件を見落としがちです。不動産会社を通して探した人は40.6%、現地を通りがかって見つけた人も12.9%います。次の5つの手順で、探す範囲を順に広げてください。
| 手順 | やること | 広がる範囲 |
|---|---|---|
| 手順1 条件に順位を付ける | 条件を「ゆずれない」「幅を持たせる」「なくてもよい」に分け、駅からの距離や広さに幅を持たせる | 同じエリアの中で候補が増える |
| 手順2 予算を成約価格で見直す | 売り出し価格ではなく、そのエリアの成約価格と毎月の返済額から上限を決める | 値下げ後に買える物件が見えてくる |
| 手順3 エリアを沿線で広げる | 希望の駅から同じ路線の2〜3駅先、乗り換え1回の駅まで広げる。区や市の境を越えると価格が下がることがある | 通勤時間を大きく変えずに候補が増える |
| 手順4 物件の種類を広げる | 新築の建売に加え、築浅の中古戸建、建築条件付き土地、土地から建てる方法を並べて比べる | 建物がまだ無い物件も候補に入る |
| 手順5 不動産会社に希望を登録する | 条件の順位と予算を書面で伝え、新着や土地の情報を連絡してもらう | 広告に出る前の物件を早く知る |
土地から探すとは、完成した建物ではなく、建物を建てる前の土地を見て住まいを決める探し方のことです。建売住宅は「土地の形」と「間取り」が両方合わないと候補に入りませんが、土地から探せば、間取りは後から合わせられます。そのぶん候補の土地は増えます。
| 物件の種類 | 首都圏の価格の目安 | 間取りの自由度 | 入居までの期間 | 見つけ方の特徴 |
|---|---|---|---|---|
| 新築の建売住宅 | 平均4,835.4万円 | 完成済みか、決まったプランのまま | 完成済みなら最短 | ポータルサイトに出る物件が中心 |
| 中古戸建住宅 | 平均3,460.1万円 | リフォームで変える | リフォームの期間による | 築年数を広げると候補が増える |
| 建築条件付き土地 | 土地代+指定の会社の建築費 | 指定の会社のプランの範囲で決める | 請負契約までの期限がある | 土地として売りに出るため、建売より早く見つかることがある |
| 土地を買って注文住宅 | 平均6,404.3万円(土地代と建築費の合計) | 一から設計する | 土地探しと設計で最も長い | 土地と建てる会社を別々に探す |
| セミオーダー住宅(自由住宅型) | 建売に近い価格帯 | 分譲地の区画から間取り・仕様・色まで選ぶ | プランの打合せの分だけ建売より長い | 建物が建つ前の分譲地から選べる |
出典:住宅金融支援機構「2025年度 フラット35利用者調査」(2026年7月24日公表)の首都圏の平均。建売住宅と中古戸建住宅は購入価額、土地を買って注文住宅は建設費と土地取得費の合計。建築条件付き土地とセミオーダー住宅の行は当社の整理です。
この中で、自由住宅は「分譲地の区画から間取り・仕様・色までを建築確認申請の直前まで選べる、建売の価格帯の新築一戸建て」という、建売と注文の中間の方式をとっています。分譲する予定の土地を、購入する方の希望に合わせて区画の分け方から見直し、必要な広さだけを買っていただく形をとることもあります。また、総面積35㎡(10.5坪)の狭小宅地に住宅を建てた実績があり、隣地との間が25cmあれば壁を立てられる施工方法をとっています。「この広さの土地では無理」と外していた狭小地・変形地も候補に戻せることが、土地から探す利点です。土地の形や販売の状況によって対応できない場合もあるため、物件ごとに書面で確かめてください。
建築条件付き土地の広告には、建築請負契約を結ぶまでの期限と、契約に至らなかったときは受け取った金銭を全額返す旨の表示が必要です(不動産の表示に関する公正競争規約 第6条)。期限までに間取りを決めきれるかも、事前に確かめておきます。仕組みは「建築条件付き売地って損するの?」、セミオーダー住宅の会社の比べ方は「セミオーダー住宅の会社の選び方」、小さな土地の法規制は「狭小地で快適に暮らすための土地選びと間取り」で紹介しています。
土地から探すと有利になる人
Qなぜ不動産売買で希望エリアの物件が見つからないのですか?
A主な理由は3つです。売り出し価格が実際に売れる価格より先に上がっていること(東京都の新築戸建は2026年9月に差が1,772万円)、予算で選べる価格帯の物件が減っていること、条件の組み合わせが実際の物件と合っていないことです。物件そのものは、首都圏の新築戸建で14,077件の在庫があります。
Q未公開物件を紹介してもらえば見つかりますか?
A見つかることはありますが、多くはレインズへの登録や広告の前の数日間の物件です。専任媒介は7日以内、専属専任媒介は5日以内(休業日を除く)にレインズへの登録が義務のため、長く隠れている物件は多くありません。効果が大きいのは、希望条件を不動産会社に登録して新着を早く知ることと、建物が建つ前の土地から探すことです。
Q新築一戸建てと中古の物件では、どちらを選ぶべきですか?
A首都圏の平均では、建売住宅4,835.4万円に対して中古戸建住宅は3,460.1万円で、差は約1,375万円です(2025年度フラット35利用者調査)。予算を優先するなら中古、設備や性能、保証を優先するなら新築が合います。中古はリフォームの費用と、住宅ローン減税の要件(築年数・耐震)を合わせて確かめてください。購入の流れは「中古住宅を購入する方法」で紹介しています。
Q条件はどこから妥協すればいいですか?
A建売住宅を買った人が妥協したものは、価格41.3%、広さ23.9%、間取り・部屋数20.3%、交通の利便性19.4%の順です。後から変えられない「立地」と「土地の広さ」を先に決め、間取りや設備は土地から建てる方法やリフォームで合わせられないかを考えると、満足度を保ちやすくなります。
Q建売と注文住宅の中間のような買い方はありますか?
Aあります。セミオーダー住宅や建築条件付き土地がそれにあたり、建物が建つ前の段階で間取りや仕様を選べます。自由住宅は、分譲地の区画から間取り・仕様・色までを建築確認申請の直前まで選べる、建売の価格帯の新築一戸建てです。変えられる範囲と締切を、物件ごとに書面で確かめてから決めると安心です。
Q地域の相場は何で確かめればいいですか?
A実際に売れた価格は、国土交通省の「不動産情報ライブラリ」の成約価格情報や、東日本レインズの月例速報で確かめられます。土地の値段は、地価公示や都道府県地価調査が目安になります。首都圏の毎月の動きは「首都圏の不動産市況レポート」でまとめています。
希望のエリアで物件が見つからないときは、条件の順位付けと、土地から探す方法を一緒に整理できます。
自由住宅では、東京23区とその周辺で、建物が建つ前の分譲地から間取り・仕様・色までをご一緒に決める家づくりのご相談をお受けしています。狭小地・変形地の土地のご相談もできます。打合せは何回でも無料です。
住まいのご相談はこちら本記事は2026年10月15日時点で公表されている情報にもとづいています。価格・件数は各調査の平均や集計で、個別の物件の価格を示すものではありません。将来の価格の動きを示すものでもありません。