現場監督の品質管理とは?役割と責任・工事中の検査と記録|住宅瑕疵担保履行法と住宅性能評価
- 現場監督の品質管理とは、設計図書と仕様書に定めた品質どおりに建物をつくるための、検査・記録・是正の管理です。建設業法第26条の4は、工事現場に置く主任技術者・監理技術者の職務として「品質管理」を明記し、その職務を誠実に行うよう求めています。工期を守る工程管理とは別の管理です。
- 新築住宅の施工会社・売主は、構造耐力上主要な部分と雨水の浸入を防止する部分について、引渡しから10年間の担保責任を負います(品確法第94条・第95条)。住宅瑕疵担保履行法により、2009年10月1日以降に引き渡す新築住宅では、保険金額2,000万円以上・期間10年以上の住宅瑕疵担保責任保険への加入か、保証金の供託が義務づけられています。
- 工事中の外部の検査は時期が決まっています。階数3以下の住宅の場合、瑕疵保険の現場検査は基礎配筋工事の完了時と躯体工事の完了時などの2回、住宅性能表示制度の建設住宅性能評価の検査は竣工時を含む4回です。建築基準法の完了検査は、工事の完了から4日以内に申請し、受理から7日以内に行われます。
- 保険金の支払いが完了した新築住宅の事故の93%は「雨水の浸入を防止する部分」でした。国土交通省の資料(2019年3月までの累積5,814件)によります。木造戸建住宅の雨漏り事故では、雨水の浸入箇所は外壁開口部29.6%、外壁面26.2%、勾配屋根・天窓20.2%の順です(住宅リフォーム・紛争処理支援センター、2009〜2023年の累積)。
- 2025年度に設計住宅性能評価書が交付された住宅は289,267戸で、新設住宅着工戸数の40.7%と過去最高でした。国土交通省の発表(2026年7月17日)によると、うち一戸建ては139,383戸です。施工段階と完成段階の検査を受ける建設住宅性能評価書(新築)は198,584戸、うち一戸建ては83,750戸でした。
- 現場監督の品質管理とは|設計図書どおりの品質を確保する管理
- 現場監督と施工会社が負う責任|契約・法律・保険
- 住宅の工事で行われる5つの検査|誰が・いつ・何を確かめるか
- 住宅瑕疵担保履行法とは|10年の責任を保険か供託で備える
- 保険事故から見る品質管理の要所|9割以上が雨水の浸入
- 住宅性能表示制度の検査|第三者が工事中に4回確認する仕組み
- 建築基準法の中間検査・完了検査|特定行政庁による違いと改正の影響
- 自主検査と工事記録の進め方|検査表・是正・写真・保存期間
- 工程の安定と品質の関係|無理のない工期は法律でも求められている
- 家を建てる人が確認できること|検査・記録・保証の書類
- 現場監督の品質管理のよくある質問
- まとめ|2026年9月時点で押さえる7点
- 出典一覧
1. 現場監督の品質管理とは|設計図書どおりの品質を確保する管理
現場監督の品質管理とは、建築主と合意して契約した設計図書・仕様書に定めた品質のとおりに建物をつくるため、材料と施工の状態を工程ごとに確認し、記録し、不具合があれば直させる管理をいいます。工期を守るのは工程管理の役割で、品質管理が守るのは「約束した品質」です。
法令のうえでは、建設業法第26条の4が、工事現場に置く主任技術者・監理技術者の職務を「施工計画の作成、工程管理、品質管理その他の技術上の管理」と「施工に従事する者の技術上の指導監督」と定め、これらを誠実に行うよう求めています。現場監督が職人や専門業者に指示し、是正を求められるのは、この職務にもとづくものです。施工管理の全体像と、主任技術者・監理技術者の制度は「施工管理の業務とは?」で解説しています。
| 管理 | 守るもの | 品質管理との関係 |
|---|---|---|
| 品質管理 | 設計図書・仕様書に定めた品質 | 本記事の主題。検査・記録・是正で品質を確かめる |
| 工程管理 | 契約で決めた工期 | 工程に余裕がないと検査が省かれ、品質が下がりやすい(第9章) |
| 原価管理 | 請負代金の範囲での工事 | 材料の変更は原価と品質の両方に関わる。変更は建築主の同意と書面が前提 |
| 安全管理 | 作業員と近隣の人の安全 | 整理整頓された現場は仕上げ材の傷や汚れも防ぐ |
| 環境管理 | 騒音・振動・廃棄物などへの配慮 | 資材の保管や養生の状態が品質にも影響する |
設計図面や仕様書に書かれた内容は、建築主と合意すれば変更できます。その場合は、変更の内容と金額を書面(または建築主の承諾を得た電磁的方法)で取り交わし(建設業法第19条第2項)、建築確認を受けた計画に関わる変更であれば、計画変更の確認などの手続きも必要です。問題になるのは、建築主の同意なく、現場の判断で仕様や強度に関わる部分を変えてしまうことです。
2. 現場監督と施工会社が負う責任|契約・法律・保険
住宅の品質に関する責任とは、完成した住宅が契約の内容に適合しないときに施工会社・売主が負う契約上の責任と、法律で特に重く定められた新築住宅の10年の担保責任、その責任を果たすための資金の備えをいいます。現場監督は、これらの責任を施工会社が負っていることを前提に、工事中の品質を確かめます。
| 責任の種類 | 内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| 契約不適合責任 | 引き渡した建物が種類・品質の点で契約の内容に適合しないとき、注文者は修補(履行の追完)・報酬の減額・損害賠償・契約の解除を求められる。注文者は不適合を知った時から1年以内に通知する必要がある | 民法第559条・第562条〜第564条・第637条(2020年4月1日施行の改正民法) |
| 新築住宅の10年の担保責任 | 構造耐力上主要な部分と雨水の浸入を防止する部分の瑕疵について、引渡しから10年間。これより注文者に不利な特約は無効。特約で20年まで延ばせる | 品確法第94条(請負)・第95条(売買)・第97条 |
| 責任を果たすための資金の備え | 10年の担保責任に備え、住宅瑕疵担保責任保険への加入か保証金の供託 | 住宅瑕疵担保履行法(第4章) |
| 技術者の職務 | 主任技術者・監理技術者は品質管理などの技術上の管理と、施工に従事する者の指導監督を誠実に行う | 建設業法第26条の4 |
10年の担保責任の対象は、基礎・柱・梁・耐力壁・屋根の骨組みなどの「構造耐力上主要な部分」と、屋根・外壁・開口部の建具などの「雨水の浸入を防止する部分」です。現場監督が特に重点的に確認するのがこの2つの部分で、第3章で見る外部の検査も、この2つの部分を中心に行われます。
3. 住宅の工事で行われる5つの検査|誰が・いつ・何を確かめるか
住宅の工事の検査とは、施工会社が自ら行う自主検査に、工事監理者、建築主事や指定確認検査機関、住宅瑕疵担保責任保険法人、登録住宅性能評価機関による検査を組み合わせて、工事の品質を確かめる仕組みをいいます。住宅性能表示制度を利用する住宅では、これに建設住宅性能評価の検査も加わります。
| 検査 | 行う人 | 時期(階数3以下の住宅の例) | 目的・根拠 |
|---|---|---|---|
| 自主検査(社内検査) | 施工会社(現場監督、品質管理の担当部署など) | 工程ごと。会社の検査基準で定める | 設計図書どおりの施工を日々確かめる。建設業法第26条の4の品質管理 |
| 工事監理 | 建築主が依頼した建築士(工事監理者) | 工事の進み具合に応じて。終了時に建築主へ報告書 | 工事を設計図書と照合して確認する(建築士法第2条第8項・第20条第3項) |
| 建築基準法の検査 | 建築主事または指定確認検査機関 | 中間検査は特定行政庁が指定した工程。完了検査は工事完了後 | 建築基準関係規定への適合(建築基準法第7条・第7条の3) |
| 瑕疵保険の現場検査 | 住宅瑕疵担保責任保険法人の検査員 | 基礎配筋工事の完了時と、躯体工事の完了時または下地張りの直前の工事の完了時の2回 | 保険の引受けのための検査(第4章) |
| 建設住宅性能評価の検査 | 登録住宅性能評価機関の評価員 | 基礎配筋工事の完了時、躯体工事の完了時、下地張りの直前の工事の完了時、竣工時の4回 | 設計住宅性能評価書どおりの性能で建てられているかの評価(第6章) |

外部の検査は、時期と確認する部位が限られます。たとえば瑕疵保険の現場検査は、階数3以下の住宅では2回です。基礎の鉄筋も、壁の中の金物や防水シートも、次の工程に進めば見えなくなります。そのため特に重要になるのが自主検査で、外部の検査のない工程も含めて、施工会社が自分たちの基準で確かめ、合格してから次の工程に進むことが品質管理の基本です。
自由住宅では、現場監督による検査に加えて、品質管理の担当部署によるチェックと、検査機関による検査を行う「トリプルチェック」の体制をとっています。施工管理の体制の全体像は「施工管理の業務とは?」で紹介しています。
4. 住宅瑕疵担保履行法とは|10年の責任を保険か供託で備える
住宅瑕疵担保履行法とは、新築住宅の施工会社・売主が品確法の10年の担保責任を確実に果たせるよう、住宅瑕疵担保責任保険への加入か保証金の供託(資力確保措置)を義務づけた法律です。正式名称は「特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律」(2007年=平成19年法律第66号)で、2009年10月1日以降に引き渡す新築住宅が対象です。施工会社が倒産しても、補修の費用を保険金や保証金で受け取れるようにすることが目的です。
| 比べる点 | 住宅瑕疵担保責任保険 | 保証金の供託 |
|---|---|---|
| 仕組み | 国土交通大臣が指定した保険法人と保険契約を結ぶ | 引き渡した戸数に応じた保証金を法務局(供託所)に預ける |
| 主な要件 | 保険金額2,000万円以上、引渡しから10年以上有効 | 基準日(毎年3月31日)前10年間に引き渡した戸数に応じた額 |
| 工事中の検査 | 保険法人の現場検査を受ける(階数3以下は2回) | 法律上の検査はない |
| 主に選ぶ事業者 | 中小の住宅会社を含む大多数の事業者 | 年間の供給戸数が多い大手の事業者 |
| 紛争になったとき | 指定住宅紛争処理機関(住宅紛争審査会)のあっせん・調停・仲裁を申請手数料1万円で利用できる | — |
国土交通省の検討会報告書(2019年10月)によると、資力確保措置が講じられた新築住宅は2019年3月31日の基準日時点の累計で約810万戸で、供託が390万戸、保険が420万戸とおおむね半々でした。一方で事業者の数でみると99%が保険を選んでいます。供給戸数の多い大手の事業者が供託を、中小の住宅会社の多くが保険を選んでいるためです。
保険を選んだ住宅では、保険法人の現場検査が工事中に入ります。この検査は保険を引き受けるためのもので、工事全体の品質を保証するものではありません。現場監督は、検査の日程を工程表に組み込み、検査の前に自社で確認を済ませておきます。
5. 保険事故から見る品質管理の要所|9割以上が雨水の浸入
瑕疵保険の保険事故とは、住宅瑕疵担保責任保険が付いた住宅で、構造耐力上主要な部分または雨水の浸入を防止する部分に瑕疵が見つかり、保険金の支払いの対象になったものをいいます。どこで事故が起きているかは、現場監督が重点的に確認すべき場所を示しています。
出典:国土交通省「制度施行10年経過を見据えた住宅瑕疵担保履行制度のあり方に関する検討会」資料4-4(2019年=令和元年)。1号保険(新築住宅)と新築2号保険の合計5,814件の内訳で、雨水の浸入を防止する部分が93%、構造耐力上主要な部分が7%です。バーの高さは5,427件を100%とした相対値です。
同じ資料によると、新築住宅の保険の事故率(保険事故が確定した件数÷保険証券の発行件数、住棟ベース)は0.225%、1件あたりの平均支払額は約111万円でした。事故の割合は小さいものの、起きた場合の補修には費用がかかり、住まい手の生活にも影響します。
出典:公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センター「雨水はどこから浸入している?」(住まいるダイヤル・2026年9月19日確認)。住宅瑕疵担保責任保険法人5社と同センターが共同で利用する事故情報データベースの約15,000件(保険金の支払済みと支払確定分)のうち、木造戸建住宅の集計です。「その他の部位の合計」は、100%から上位3つを差し引いて本記事で算出しました(バルコニー、外壁と屋根の取合い部などを含みます)。バーの高さは割合そのものを表しています。
雨漏りの事故は、新築木造戸建住宅の保険事故の9割以上を占めています。サッシ回りの防水テープの貼り方、透湿防水シートの重ね幅、外壁の通気層、屋根の下ぶき材、バルコニーの防水層の立ち上がりなど、雨水の浸入を防ぐ部分の多くは、外壁や屋根の仕上げ材を張ると見えなくなります。現場監督は、こうした部分を仕上げの前に確認し、写真に残します。
| 部位 | 仕上げの前に確認する主な点 |
|---|---|
| 外壁開口部(窓・ドア) | サッシの取付け、防水テープの貼る順番と重なり、サッシ下の水の逃げ道 |
| 外壁面 | 透湿防水シートの重ね幅と破れ、通気層の確保、シーリングの材料と施工 |
| 勾配屋根・天窓 | 下ぶき材の種類と重ね幅、棟・けらば・谷の納まり、天窓の周りの防水 |
| バルコニー | 防水層の立ち上がりの高さ、排水口の周り、手すり壁の上部(笠木)の止水 |

6. 住宅性能表示制度の検査|第三者が工事中に4回確認する仕組み
住宅性能表示制度とは、品確法にもとづき、耐震性や省エネルギー性などの住宅の性能を国が定める共通のルールで評価し、登録住宅性能評価機関が評価書に表示する制度です。設計段階の図面審査による「設計住宅性能評価書」と、施工段階と完成段階の検査による「建設住宅性能評価書(新築住宅)」があり、利用するかどうかは任意です。
出典:国土交通省 報道発表「設計住宅性能評価書を交付した住宅戸数は制度開始後、過去最多!~令和7年度の住宅性能表示制度の実施状況について~」(2026年7月17日公表)の参考資料。2025年度の交付戸数は289,267戸、新設住宅着工戸数は711,171戸です。バーの高さは割合そのものを表しています(グラフの上端が100%、目盛り線は25%ごと)。
| 2025年度の実績 | 一戸建ての住宅 | 共同住宅等 | 合計 |
|---|---|---|---|
| 設計住宅性能評価書の交付 | 139,383戸 | 149,884戸 | 289,267戸(前年度比3.7%増) |
| 建設住宅性能評価書(新築)の交付 | 83,750戸 | 114,834戸 | 198,584戸(前年度比3.9%増) |
交付割合は10年連続で増え、2025年度は40.7%でした。ただし2025年度は、新設住宅着工戸数が前年度の816,388戸から711,171戸に減っており、割合の上昇にはその影響も含まれます。
建設住宅性能評価を受ける場合、申請は最初の検査時期の後の工程に着手する前までに行う必要があり(品確法施行規則第5条第3項)、施工会社は検査のたびに工事の実施状況を報告する「施工状況報告書」を評価機関に提出し、設計住宅性能評価書どおりの工事であることを示す図書を現場に備えておきます(同第6条)。現場監督にとっては、自主検査の記録をそのまま第三者の検査に使える形で残しておくことが大切になります。
7. 建築基準法の中間検査・完了検査|特定行政庁による違いと改正の影響
中間検査とは、建築基準法第7条の3にもとづき、特定の工程(特定工程)の工事を終えたときに、建築主が建築主事または指定確認検査機関に申請して受ける検査です。完了検査とは、同法第7条にもとづき、工事が完了したときに受ける検査で、適合すれば検査済証が交付されます。
| 検査 | 対象 | 申請と検査の期限 | 合格しないと |
|---|---|---|---|
| 中間検査 | 法律で定める工程(階数3以上の共同住宅の床・はりの配筋)と、特定行政庁が区域・構造・用途・規模を限って指定する工程 | 特定工程の工事を終えた日から4日以内に申請、受理から4日以内に検査 | 中間検査合格証の交付を受けるまで、特定工程後の工程に進めない |
| 完了検査 | 建築確認を受けた建築物 | 工事が完了した日から4日以内に申請、受理から7日以内に検査 | 2階建て以上または延べ面積200㎡超の建築物を新築した場合は、原則として検査済証の交付を受けるまで使えない(第7条の6) |
中間検査の対象は特定行政庁ごとに異なります。たとえば東京都(都が特定行政庁となる区域)は、地上3階建て以上の建築物を対象とし、木造の特定工程を「屋根工事」としています。23区や一部の市は、それぞれ独自に特定工程を指定しています。家を建てる地域でどの工程が中間検査の対象になるかは、その地域の特定行政庁の告示で確認できます。
2025年4月1日施行の改正建築基準法では、木造2階建てと延べ面積200㎡を超える木造平屋が「新2号建築物」に区分され、平屋かつ延べ面積200㎡以下(新3号建築物)以外は、構造によらず構造規定などの審査が必要になりました。同じ日から、原則としてすべての新築住宅に省エネ基準への適合が義務づけられています。確認申請の段階で図面の審査が厳しくなった分、図面と現場の食い違いを防ぐ現場監督の役割も大きくなっています。
8. 自主検査と工事記録の進め方|検査表・是正・写真・保存期間
自主検査とは、施工会社が自社の基準で、工程ごとに材料と施工の状態を確認する検査をいいます。会社のルールに従って必ず行い、合格してから次の工程に進むことを職人や専門業者と共有することが基本です。
| 手順 | 行うこと | ポイント |
|---|---|---|
| 1. 検査の計画 | 工程表に自主検査と外部の検査の日程を入れる | 外部の検査の前に自主検査を終える日程にする |
| 2. 検査表での確認 | 工程ごとの検査表(チェックリスト)で、設計図書・仕様書と現場を照合する | 寸法・本数・間隔は測って数値で記録する |
| 3. 是正の指示 | 不適合があれば、内容・場所・直し方を専門業者に伝える | 口頭だけにせず、指示と期限を記録に残す |
| 4. 是正の確認 | 直した後に再び確認し、合格を判断する | 是正前と是正後の写真を同じ位置から撮る |
| 5. 次の工程へ | 合格してから、仕上げなどで隠れる次の工程に進める | 合格を関係する業者に周知する |
見えなくなる部分は、写真で残すことが大切です。基礎の鉄筋はコンクリートを打つと、壁の中の金物や断熱材、防水シートは仕上げ材を張ると確認できなくなります。写真は、撮影した部位と、形状や寸法がわかるように撮ることが基本です。国土交通省のワーキンググループの資料も、瑕疵保険の検査時の写真について、重要な箇所の撮影部位、形状や寸法を明らかにして施工の状況を記録するよう整理しています。
| 工程 | 残しておく主な記録 |
|---|---|
| 基礎工事 | 鉄筋の径・間隔・かぶり厚さ(スケールを当てた写真)、アンカーボルトの位置、コンクリートの納品書と打設日の天候 |
| 躯体工事 | 柱・梁の接合金物の種類と位置、耐力壁の面材と釘の間隔 |
| 防水・外装 | サッシ回りの防水テープ、透湿防水シートの重ね幅、屋根の下ぶき材、バルコニーの防水層 |
| 断熱・内装 | 断熱材の種類・厚さ・隙間の有無、防湿層、配管・配線の貫通部の処理 |
| 完成 | 設計図書との照合の結果、設備の動作確認、是正の完了、施主の立会い確認の記録 |
記録は、残しておく期間も法令で決まっているものがあります。
| 記録 | 保存する人 | 保存期間 | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 営業に関する帳簿(請負契約の内容など)と添付書類(契約書など) | 建設業者 | 引渡しから5年間。発注者と直接結んだ住宅の新築工事は10年間 | 建設業法第40条の3、同法施行規則第26条・第28条第1項 |
| 営業に関する図書(完成図、工事内容に関する発注者との打合せ記録、施工体系図など) | 発注者から直接工事を請け負った建設業者 | 引渡しから10年間 | 建設業法施行規則第26条第5項・第28条第2項 |
| 工事監理報告書・設計図書の一部 | 建築士事務所 | 作成した日から15年間 | 建築士法第24条の4、同法施行規則第21条 |
9. 工程の安定と品質の関係|無理のない工期は法律でも求められている
工程の安定とは、天候や資材の遅れがあっても、検査や養生に必要な時間を削らずに工事を進められる状態をいいます。工程が遅れて急いで人を増やすと、作業の責任の範囲があいまいになったり、仕上げ材に傷がついたりしやすくなります。現場監督に余裕がないと、問題点の見落としにもつながります。
無理のない工期は、法律のうえでも求められるようになりました。2024年4月1日からは建設業にも時間外労働の上限規制が適用され、残業で工期に間に合わせることは難しくなっています。2025年12月12日に完全施行された改正建設業法では、受注者が著しく短い工期で契約することも禁止されました。建設業法第19条は、工期に加えて、工事を施工しない日や時間帯を定めるときはその内容を契約書に記載することを求めています。
| 時期 | 工程と品質に関わる制度の変化 |
|---|---|
| 2024年4月1日 | 建設業に時間外労働の上限規制を適用(原則月45時間・年360時間) |
| 2024年12月13日 | 資材価格の高騰などの「おそれ情報」の契約前の通知、請負代金の変更方法の契約書への記載 |
| 2025年4月1日 | 改正建築基準法の施行(新2号建築物の構造審査、省エネ基準への適合義務) |
| 2025年12月12日 | 受注者による著しく短い工期での契約の禁止などを定めた改正建設業法の完全施行 |
10. 家を建てる人が確認できること|検査・記録・保証の書類
施主が確認できる品質管理とは、工事の品質を直接検査することではなく、施工会社がどのような検査と記録の仕組みを持っているかを契約前に確かめ、工事中と引渡し時にその結果を受け取ることをいいます。
出典:公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センター「住宅相談統計年報2025」(2024年度実績)。新築相談は11,682件です。住宅のトラブルに関する新築相談で相談者が希望する解決の内容は「修補」が59.5%で最も多くなっています。バーの高さは割合そのものを表しています。
| 時期 | 確認すること |
|---|---|
| 契約の前 | 自主検査の回数と時期、検査する部署、外部の検査(瑕疵保険・性能評価・工事監理)の有無、施主が立ち会える機会、工期に休日が織り込まれているか |
| 工事中 | 検査の結果と是正の内容の報告、基礎の配筋や防水など見えなくなる部分の写真 |
| 引渡しのとき | 検査済証、住宅瑕疵担保責任保険の保険証券(または供託の説明書面)、建設住宅性能評価書(利用した場合)、工事監理報告書(工事監理者から)、施工写真などの工事記録 |
| 引渡しの後 | 定期点検の時期と内容、不具合に気づいたときの連絡先。構造と雨水の浸入に関わる部分は引渡しから10年間の担保責任の対象 |

11. 現場監督の品質管理のよくある質問
Q現場監督の品質管理とは何ですか?
A設計図書と仕様書に定めた品質のとおりに建物をつくるため、工程ごとに材料と施工の状態を確認し、記録し、不具合があれば直させる管理です。建設業法第26条の4は、工事現場に置く主任技術者・監理技術者の職務として品質管理を挙げ、誠実に行うよう求めています。工期を守る工程管理、費用を管理する原価管理とは別の管理ですが、工程に余裕がないと検査が省かれやすくなるなど、互いに関係しています。
Q住宅瑕疵担保履行法とは何ですか?
A新築住宅の施工会社・売主が、構造耐力上主要な部分と雨水の浸入を防止する部分についての10年間の担保責任(品確法第94条・第95条)を確実に果たせるよう、住宅瑕疵担保責任保険への加入か保証金の供託を義務づけた法律です。2009年10月1日以降に引き渡す新築住宅が対象で、保険は保険金額2,000万円以上、引渡しから10年以上有効であることが要件です。施工会社が倒産しても、補修の費用を保険金や保証金で受け取れます。
Q新築住宅の工事中にはどのような検査がありますか?
A施工会社の自主検査のほか、建築士による工事監理、建築基準法の中間検査(特定行政庁が指定した工程)と完了検査、住宅瑕疵担保責任保険の現場検査、住宅性能表示制度を利用する場合の建設住宅性能評価の検査があります。階数3以下の住宅の場合、瑕疵保険の現場検査は基礎配筋工事の完了時と躯体工事の完了時などの2回、建設住宅性能評価の検査は竣工時を含む4回です。
Q新築住宅の不具合で多いのはどこですか?
A雨水の浸入に関わる部分です。国土交通省の資料では、保険金の支払いが完了した新築住宅の事故5,814件(2019年3月までの累積)の93%が雨水の浸入を防止する部分でした。住宅リフォーム・紛争処理支援センターの集計では、木造戸建住宅の雨漏り事故の浸入箇所は、外壁開口部29.6%、外壁面26.2%、勾配屋根・天窓20.2%の順です。サッシ回りや外壁の防水は仕上げ材を張ると見えなくなるため、その前の確認と写真の記録が重要です。
Q工事の記録はどのくらいの期間残されますか?
A建設業者は、発注者と直接結んだ住宅の新築工事について、請負契約の内容などを記載した帳簿と契約書などの添付書類を引渡しから10年間、完成図や発注者との打合せ記録などの図書を引渡しから10年間保存します(建設業法施行規則第28条)。建築士事務所は工事監理報告書を15年間保存します(建築士法施行規則第21条)。施工写真の保存期間は法令で一律には定められていないため、会社ごとの扱いを契約前に確認するとよいでしょう。
Q施主は工事中の検査に立ち会えますか?
A法律で施主の立会いが義務づけられている検査はありませんが、多くの住宅会社では、基礎の配筋や上棟後の構造、完成時などに施主が現場を確認できる機会を設けています。立会いの時期と、検査の結果や是正の内容をどのように報告してもらえるかを、契約の前に確認しておくと安心です。見えなくなる部分の写真を引渡し時に受け取れるかも確認しておきましょう。
12. まとめ|2026年9月時点で押さえる7点
現場監督の品質管理は、約束した品質を、検査・記録・是正で確かめる仕事です。外部の検査は時期と部位が限られるため、施工会社の自主検査と記録が品質の土台になります。
| # | 押さえる点 | 根拠 |
|---|---|---|
| 1 | 品質管理は設計図書・仕様書に定めた品質を守る管理。工期を守る工程管理とは別 | 建設業法第26条の4 |
| 2 | 仕様の変更は建築主の同意と書面が前提。同意のない変更が問題 | 建設業法第19条第2項 |
| 3 | 新築住宅の構造と雨水の浸入に関わる部分は引渡しから10年の担保責任 | 品確法第94条・第95条 |
| 4 | 10年の責任には保険(保険金額2,000万円以上)か供託で備える | 住宅瑕疵担保履行法 |
| 5 | 保険事故の93%は雨水の浸入を防止する部分。外壁開口部・外壁面・屋根が上位 | 国土交通省、住宅リフォーム・紛争処理支援センター |
| 6 | 設計住宅性能評価書の交付割合は2025年度に40.7%。建設評価の検査は階数3以下で4回 | 国土交通省(2026年7月17日公表) |
| 7 | 住宅の新築工事の帳簿・図書は10年、工事監理報告書は15年の保存 | 建設業法施行規則第28条、建築士法施行規則第21条 |
工事中の検査と記録の流れを、契約の前にご説明します。
自由住宅では、東京をはじめ一都三県で注文住宅・分譲住宅・リフォームをご検討の方に、工事の段階ごとに行う社内検査と第三者の検査の時期、施工写真などの工事記録のお渡し方、引渡し後の点検と保証の内容を資料でご説明しています。他社でお受け取りの計画書や検査の内容についてのご質問も承ります。
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- e-Gov法令検索「建設業法」第19条・第26条・第26条の4・第40条の3(昭和24年=1949年法律第100号・2026年9月19日確認)
https://laws.e-gov.go.jp/law/324AC0000000100 - e-Gov法令検索「建設業法施行規則」第26条・第28条(昭和24年=1949年建設省令第14号・2026年9月19日確認)
https://laws.e-gov.go.jp/law/324M50004000014 - e-Gov法令検索「住宅の品質確保の促進等に関する法律」第94条・第95条・第97条(平成11年=1999年法律第81号・2026年9月19日確認)
https://laws.e-gov.go.jp/law/411AC0000000081 - e-Gov法令検索「住宅の品質確保の促進等に関する法律施行規則」第5条・第6条(平成12年=2000年建設省令第20号・2026年9月19日確認)
https://laws.e-gov.go.jp/law/412M50004000020 - e-Gov法令検索「特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律」第2条・第3条(平成19年=2007年法律第66号・2026年9月19日確認)
https://laws.e-gov.go.jp/law/419AC0000000066 - e-Gov法令検索「民法」第559条・第562条・第637条(明治29年=1896年法律第89号・2026年9月19日確認)
https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089 - e-Gov法令検索「建築基準法」第7条・第7条の3・第7条の6(昭和25年=1950年法律第201号・2026年9月19日確認)
https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000201 - e-Gov法令検索「建築士法」第2条・第20条・第24条の4(昭和25年=1950年法律第202号・2026年9月19日確認)
https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC1000000202 - e-Gov法令検索「建築士法施行規則」第21条(昭和25年=1950年建設省令第38号・2026年9月19日確認)
https://laws.e-gov.go.jp/law/325M50004000038 - 国土交通省 報道発表「設計住宅性能評価書を交付した住宅戸数は制度開始後、過去最多!~令和7年度の住宅性能表示制度の実施状況について~」(2026年7月17日公表・2026年9月19日確認)
https://www.mlit.go.jp/report/press/house04_hh_001351.html - 国土交通省「制度施行10年経過を見据えた住宅瑕疵担保履行制度に関する検討会」(報告書 2019年=令和元年10月、資料4-4を含む・2026年9月19日確認)
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk4_000159.html - 国土交通省「制度施行10年経過を見据えた住宅瑕疵担保履行制度のあり方に関する検討会 報告書」(2019年=令和元年10月・2026年9月19日確認)
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001313667.pdf - 国土交通省 同検討会 資料4-4(保険事故の発生部位・事故率を含む参考資料、2019年=令和元年・2026年9月19日確認)
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001314769.pdf - 国土交通省「制度施行10年経過を見据えた住宅瑕疵担保履行制度のあり方に関する検討会 配布資料」(上記の資料4-4と「現場検査の概要」の掲載元ページ・2026年9月19日確認)
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk4_000160.html - 国土交通省「住宅瑕疵担保責任保険における現場検査の概要」(2019年=令和元年の検討会資料・2026年9月19日確認)
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001314252.pdf - 国土交通省「現場検査のあり方等に関する検討ワーキンググループ 報告書 参考資料」(2019年=令和元年・2026年9月19日確認)
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001313729.pdf - 国土交通省「住宅瑕疵担保履行法および住まいの安心総合支援サイト(事業者の資力確保義務)」(2026年9月19日確認)
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/jutaku-kentiku.files/kashitanpocorner/jigyousya/obligation.html - 公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センター「雨水はどこから浸入している?」(2009〜2023年の累積データ・2026年9月19日確認)
https://www.chord.or.jp/amamori/ingress/index.html - 公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センター「住宅相談統計年報2025」(2024年度実績・2025年公表・2026年9月19日確認)
https://www.chord.or.jp/assets/NP2025_web..pdf - 公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センター「住まいるダイヤル」(上記年報の掲載元・2026年9月19日確認)
https://www.chord.or.jp/ - 公益財団法人東京都防災・建築まちづくりセンター「建設住宅性能評価の申請のながれ」(2026年9月19日確認)
https://www.tokyo-machidukuri.or.jp/sumai/hyouji_seido/kensetsu_nagare.html - 東京都都市整備局「東京都の中間検査制度の改正について」(平成19年=2007年東京都告示第765号、2017年4月1日改正・2026年9月19日確認)
https://www.toshiseibi.metro.tokyo.lg.jp/kenchiku_kaihatsu/kenchiku_gyosei/gyosei/kijun/kn_k06 - 厚生労働省「建設業・ドライバー・医師等の時間外労働の上限規制」(2026年9月19日確認)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/gyosyu/topics/01.html - 国土交通省 報道発表「持続可能な建設業の実現のため、建設業法等改正法が完全施行されます」(2025年11月14日公表・2026年9月19日確認)
https://www.mlit.go.jp/report/press/tochi_fudousan_kensetsugyo13_hh_000001_00317.html - 国土交通省「令和4年改正 建築物省エネ法・建築基準法」(2024年12月26日更新・2026年9月19日確認)
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/r4kaisei_shoenehou_kijunhou.html
本記事は2026年9月19日時点で公表されている情報にもとづいています。保険事故の部位と事故率は2019年3月までの累積、雨水の浸入箇所は2009〜2023年の累積のデータで、最新の傾向とは異なる場合があります。中間検査の対象となる工程は、建築地の特定行政庁の告示でご確認ください。自由住宅グループの検査体制については、最新の内容を担当者にご確認ください。