住宅性能表示制度とは、住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法、2000年4月1日施行)にもとづき、耐震性や省エネルギー性などの住宅の性能を、国が定める共通のルール(日本住宅性能表示基準・評価方法基準)で評価し表示する制度です。2000年10月から運用されています。住宅性能評価書とは、国土交通大臣に登録した第三者機関(登録住宅性能評価機関)が、この制度にもとづいて評価した結果をまとめて交付する書面をいいます。
| 比べる点 | 設計住宅性能評価書 | 建設住宅性能評価書(新築住宅) |
|---|---|---|
| 評価する段階 | 設計図書の段階(図面の審査) | 施工段階と完成段階(現場の検査) |
| わかること | 設計どおりに建てれば得られる性能 | 設計どおりに建てられ、その性能を持つこと |
| 現場の検査 | なし | 階数3以下は、基礎配筋工事の完了時・躯体工事の完了時・下地張りの直前の工事の完了時・竣工時の4回 |
| 住宅ローン減税の証明 | 使えない | 使える(等級の条件あり。第4章) |
| 指定住宅紛争処理機関の利用 | 対象外 | 対象(申請手数料1万円。第6章) |
| 2025年度の交付(一戸建て) | 139,383戸 | 83,750戸 |
設計住宅性能評価書は「この図面なら、この性能になる」という評価で、実際にそのとおりに建てられたかまでは確かめていません。建設住宅性能評価書を取るには、原則として先に設計住宅性能評価を受け、工事中に評価員の検査を受けます。検査のたびに施工会社は工事の実施状況を報告する書類(施工状況報告書)を出し、設計住宅性能評価書どおりの工事であることを示す図書を現場に備えておきます(品確法施行規則第6条)。
日本住宅性能表示基準とは、住宅の性能を表示する項目と、その等級や数値の表し方を定めた国の基準です。性能表示事項は35項目(新築住宅は33項目)あり、10の分野に分かれます。このうち4分野10項目が必須で、残りは申請者が評価を受けるかどうかを選べます。
| 分野 | 区分 | 主な表示の例 |
|---|---|---|
| 1. 構造の安定 | 必須 | 耐震等級(構造躯体の倒壊等防止・損傷防止)、耐風等級、耐積雪等級 |
| 2. 火災時の安全 | 選択 | 感知警報装置設置等級、耐火等級 |
| 3. 劣化の軽減 | 必須 | 劣化対策等級(構造躯体等) |
| 4. 維持管理・更新への配慮 | 必須 | 維持管理対策等級(専用配管) |
| 5. 温熱環境・エネルギー消費量 | 必須 | 断熱等性能等級、一次エネルギー消費量等級 |
| 6. 空気環境 | 選択 | ホルムアルデヒド対策、換気対策 |
| 7. 光・視環境 | 選択 | 単純開口率、方位別開口比 |
| 8. 音環境 | 選択 | 透過損失等級(外壁開口部)など |
| 9. 高齢者等への配慮 | 選択 | 高齢者等配慮対策等級 |
| 10. 防犯 | 選択 | 開口部の侵入防止対策 |
耐震等級とは、地震に対する構造躯体の強さを表す等級で、等級1が建築基準法と同じ水準、等級2はその1.25倍、等級3は1.5倍の力に対して倒壊・崩壊しない程度をいいます。国土交通省の熊本地震の原因分析(2016年9月)では、益城町中心部で2000年6月以降に建てられた木造住宅のうち耐震等級3の16棟は、14棟(87.5%)が無被害で、倒壊はありませんでした。
一次エネルギー消費量等級とは、断熱に加えて冷暖房・換気・給湯・照明の設備を含めた住宅全体の省エネルギー性能を、省エネ基準の一次エネルギー消費量に対する比率(BEI)で表す等級です。2025年12月1日施行の改正で、ZEH水準の等級6より上に等級7と等級8が新設されました。
出典:国土交通省「住宅性能表示制度の見直しについて【審議事項】」(2025年=令和7年の審議会資料)、同「住宅の品質確保の促進等に関する法律」(令和7年9月1日公布・12月1日施行の告示改正の案内、2026年9月19日確認)。等級4は基準一次エネルギー消費量と同等以下(BEI≦1.00)、等級8はBEI≦0.65です。バーの高さはBEI 1.00を100%とした相対値です。
| 等級 | 耐震等級(倒壊等防止) | 断熱等性能等級(6地域の戸建てのUA値) | 一次エネルギー消費量等級 |
|---|---|---|---|
| 最上位 | 等級3(建築基準法の1.5倍) | 等級7(0.26以下) | 等級8(BEI≦0.65) |
| 中間の等級の例 | 等級2(1.25倍) | 等級5(0.60以下・ZEH水準) | 等級6(BEI≦0.80・ZEH水準) |
| 法律の最低限 | 等級1(建築基準法と同じ) | 等級4(0.87以下・省エネ基準) | 等級4(BEI≦1.00・省エネ基準) |
設計住宅性能評価書の交付割合とは、その年度の新設住宅着工戸数に対して、設計住宅性能評価書が交付された住宅の戸数の割合をいいます。国土交通省が毎年、前年度の実績を公表しています。
出典:国土交通省 報道発表「設計住宅性能評価書を交付した住宅戸数は制度開始後、過去最多!~令和7年度の住宅性能表示制度の実施状況について~」(2026年7月17日公表)の参考資料。バーの高さは割合そのものを表しています(グラフの上端が100%)。
| 2025年度の実績 | 一戸建ての住宅 | 共同住宅等 | 合計 |
|---|---|---|---|
| 設計住宅性能評価書の交付 | 139,383戸 | 149,884戸 | 289,267戸(前年度比3.7%増) |
| 建設住宅性能評価書(新築)の交付 | 83,750戸 | 114,834戸 | 198,584戸(前年度比3.9%増) |
| 新設住宅着工戸数 | — | — | 711,171戸 |
2025年度の交付割合40.7%は、前年度の34.2%から6.5ポイント上がりました。交付戸数が増えたことに加え、新設住宅着工戸数が前年度の816,388戸から711,171戸に減ったことも割合を押し上げています。一戸建てに限ると、設計の交付139,383戸に対して建設の交付は83,750戸で、設計の評価だけを受けて建設の評価を受けない住宅も少なくないことがうかがえます(交付の時期がずれるため、同じ住宅を追跡した比較ではありません)。
出典:国土交通省「住宅性能表示制度の見直しについて【審議事項】」(2025年=令和7年の審議会資料)。資料本文では「約86%(令和5年度実績。前年度は約49%)」と記載されています。断熱等性能等級5以上(ZEH水準相当以上)を取得した戸建て住宅の割合も、2023年度に約86%(前年度は約48%)でした。バーの高さは割合そのものを表しています(目盛りの右端が100%)。
性能評価を受けた戸建て住宅では、ZEH水準の等級が短期間で標準になっています。国はこの普及を踏まえて、2025年12月に一次エネルギー消費量の等級7・8を新設しました。
住宅ローン減税の省エネ性能の証明とは、新築住宅の借入限度額を決める省エネ性能の区分(認定住宅・ZEH水準省エネ住宅・省エネ基準適合住宅)に当たることを、確定申告で書類によって示すことをいいます。2024年以降に入居する新築住宅は、原則として省エネ基準に適合しなければ住宅ローン減税の対象になりません。
| 新築住宅の区分(2026年入居) | 借入限度額 | 確定申告に添付する主な証明書類 |
|---|---|---|
| 認定長期優良住宅・認定低炭素住宅 | 4,500万円(子育て世帯・若者夫婦世帯は5,000万円) | 認定通知書の写しと、住宅用家屋証明書または建築士等の建築証明書 |
| ZEH水準省エネ住宅 | 3,500万円(同4,500万円) | 住宅省エネルギー性能証明書、または建設住宅性能評価書の写し(断熱等性能等級5以上かつ一次エネルギー消費量等級6以上) |
| 省エネ基準適合住宅 | 2,000万円(同3,000万円) | 住宅省エネルギー性能証明書、建設住宅性能評価書の写し(断熱等級4以上かつ一次エネ等級4以上)、または検査済証の写し(2026年1月1日以降に入居した場合) |
注意したいのは、設計住宅性能評価書では証明にならない点です。住宅ローン減税に使えるのは建設住宅性能評価書で、しかも断熱等性能等級と一次エネルギー消費量等級の両方の評価が載っている必要があります。建設住宅性能評価を受けない場合は、建築士などに住宅省エネルギー性能証明書を発行してもらう方法もあります。どちらで証明するかを、契約の前に施工会社・売主と決めておくと、入居後の確定申告で慌てずに済みます。
地震保険の耐震等級割引とは、品確法の日本住宅性能表示基準で定める耐震等級を持つ住宅の地震保険料を、等級に応じて割り引く制度です。4種類ある割引制度は重ねて使えません。
| 割引の種類 | 割引率 | 対象 |
|---|---|---|
| 免震建築物割引 | 50% | 品確法にもとづく免震建築物 |
| 耐震等級割引 | 等級3:50%/等級2:30%/等級1:10% | 日本住宅性能表示基準の耐震等級を有する住宅 |
| 耐震診断割引 | 10% | 耐震診断・耐震改修の結果、建築基準法の耐震基準を満たす住宅 |
| 建築年割引 | 10% | 1981年6月1日以降に新築された建物 |
耐震等級3の住宅なら、地震保険料は割引がない場合の半分になります。地震保険は同じ建物で長く払い続ける保険のため、割引の差は年数とともに大きくなります。耐震等級を証明する書類として、住宅性能評価書は代表的なものです。
フラット35の物件検査とは、住宅金融支援機構の技術基準に適合していることを確かめる検査で、合格すると適合証明書が交付されます。建設住宅性能評価を受ける一戸建てで、断熱等性能等級4以上・一次エネルギー消費量等級4以上・劣化対策等級2以上・維持管理対策等級(専用配管)3を満たし、評価書を取得する機関と同じ機関にフラット35の物件検査を申請する場合は、設計検査と中間現場検査の手続きを省略できます。
評価書の契約内容のみなし規定とは、品確法第6条により、住宅性能評価書やその写しを請負契約書・売買契約書に添付するか、注文者・買主に交付した場合に、評価書に表示された性能の住宅を建てる(引き渡す)ことを契約したものとみなす仕組みです。契約書で反対の意思を表示している場合は適用されません。
| 場面 | 契約内容とみなされる評価書 |
|---|---|
| 注文住宅の請負契約 | 設計住宅性能評価書(またはその写し) |
| 完成前の新築住宅の売買契約 | 設計住宅性能評価書(またはその写し) |
| 完成後の新築住宅の売買契約 | 建設住宅性能評価書(またはその写し) |
指定住宅紛争処理機関とは、国土交通大臣が指定した各地の弁護士会の住宅紛争審査会で、裁判によらずにあっせん・調停・仲裁で住宅の紛争を処理します。建設住宅性能評価書が交付された住宅(評価住宅)であれば、評価書の内容だけでなく、請負契約・売買契約に関する当事者間のすべての紛争を、申請手数料1件1万円で申し立てられます。住宅リフォーム・紛争処理支援センターの住宅相談統計年報2025によると、2024年度の電話相談のうち評価住宅に関する相談は736件でした。
住宅性能評価の申請の時期とは、評価機関に評価を申し込む期限のことで、建設住宅性能評価は、最初の検査時期(階数3以下なら基礎配筋工事の完了時)の後の工程に着手する前までに申請しなければなりません(品確法施行規則第5条第3項)。基礎のコンクリートを打った後では、原則として建設住宅性能評価を受けられないということです。
| 注意点 | 内容 |
|---|---|
| 申請の時期 | 設計住宅性能評価は着工前に、建設住宅性能評価は基礎配筋工事の完了後の工程に進む前までに申請する。取ると決めるのは契約の段階 |
| 料金 | 評価の料金は評価機関ごとに独自に定められている。住宅の規模や選択項目の数、検査の回数で変わるため、施工会社を通じて見積りを確認する |
| 等級の選び方 | 等級が高いほどよいとは限らない。窓の大きさと断熱、間取りの自由度と耐震など、性能どうしが影響し合うため、暮らし方に合う組み合わせを選ぶ |
| 設計だけで終わらせない | 住宅ローン減税の証明や紛争処理機関の利用には建設住宅性能評価書が必要 |
| 保管 | 評価書は将来の売却、地震保険の加入や見直し、リフォームの際にも使う。引渡し書類と一緒に保管する |
住宅性能評価書の確認とは、注文住宅では評価を受けるかどうかと受ける等級を契約前に決めること、建売住宅(分譲住宅)では評価書の有無と種類、表示されている等級を購入前に確かめることをいいます。
| 確認すること | 注文住宅 | 建売住宅(分譲住宅) |
|---|---|---|
| 評価を受けるか | 請負契約の前に施工会社と決める。料金を見積りに入れる | 設計評価書・建設評価書のどちらがあるか、または両方ないかを確認する |
| 等級 | 耐震・断熱・一次エネの目標等級を決め、設計住宅性能評価書で確認する | 評価書に記載された耐震等級・断熱等性能等級・一次エネルギー消費量等級を確認する |
| 住宅ローン減税 | 建設評価書で証明するか、住宅省エネルギー性能証明書で証明するかを決める | 引渡し時に建設評価書の写しか証明書を受け取れるか確認する |
| 地震保険 | 耐震等級に応じた割引の確認資料として評価書の写しを受け取る | 同左 |
| 契約書 | 評価書を契約書に添付するか。反対の意思表示がないか | 同左 |
あわせて、住宅性能評価の検査は、施工会社の自主検査や住宅瑕疵担保責任保険の現場検査とは別の検査です。工事中にどのような検査が行われるかは「現場監督の品質管理とは?」で解説しています。
Q住宅性能評価書は取らないといけないものですか?
A義務ではなく任意です。ただし2025年度は、新設住宅着工戸数の40.7%にあたる289,267戸で設計住宅性能評価書が交付され、10年連続で割合が増えています(国土交通省、2026年7月17日公表)。住宅ローン減税の省エネ性能の証明、地震保険の耐震等級割引、フラット35の検査の省略、紛争処理機関の利用などで使えるため、取るかどうかは契約の前に施工会社と相談して決めるとよいでしょう。
Q設計住宅性能評価書と建設住宅性能評価書の違いは何ですか?
A設計住宅性能評価書は、設計図書の審査による評価で、設計どおりに建てれば得られる性能を示します。建設住宅性能評価書は、階数3以下の住宅なら基礎配筋工事の完了時、躯体工事の完了時、下地張りの直前の工事の完了時、竣工時の4回の検査を経た評価で、実際にその性能で建てられたことを示します。住宅ローン減税の証明や、申請手数料1万円の紛争処理機関の利用に使えるのは建設住宅性能評価書です。
Q住宅ローン減税の申告に住宅性能評価書は使えますか?
A建設住宅性能評価書の写しなら使えます。国税庁によると、ZEH水準省エネ住宅は断熱等性能等級5以上かつ一次エネルギー消費量等級6以上、省エネ基準適合住宅は両方の等級が4以上の評価が載った建設住宅性能評価書の写しで証明できます。設計住宅性能評価書は使えません。建築士などが発行する住宅省エネルギー性能証明書でも証明でき、省エネ基準適合住宅は2026年1月1日以降の入居なら検査済証の写しでも証明できます。
Q耐震等級3だと地震保険料はどのくらい安くなりますか?
A耐震等級割引により50%安くなります。財務省によると、耐震等級割引は等級3で50%、等級2で30%、等級1で10%です。割引を受けるには、住宅性能評価書などの確認資料を保険会社に提出します。免震建築物割引、耐震診断割引、建築年割引とは重ねて使えません。
Q一次エネルギー消費量等級7・8とは何ですか?
A2025年12月1日施行の日本住宅性能表示基準の改正で新設された、ZEH水準(等級6、BEI≦0.80)より上の等級です。等級7はBEI≦0.70、等級8はBEI≦0.65で、省エネ基準の一次エネルギー消費量からそれぞれ3割、3割5分を減らした水準です。国土交通省の資料では、性能評価を受けた戸建て住宅で等級6を取得した割合が2023年度に約86%(前年度は約49%)となり、ZEH水準が広く普及したことが新設の背景とされています。
Q建設住宅性能評価はいつまでに申し込めばよいですか?
A最初の検査時期の後の工程に着手する前までに申請する必要があります(品確法施行規則第5条第3項)。階数3以下の住宅では、最初の検査は基礎配筋工事の完了時のため、基礎のコンクリートを打つ前までが目安です。実際には設計住宅性能評価を着工前に受けておく必要もあるため、請負契約や設計の段階で取るかどうかを決めておくのが確実です。
住宅性能評価書は、住宅の性能を第三者が共通のルールで確かめた書類です。とくに建設住宅性能評価書は、工事中の検査を経ているため、税・保険・契約・紛争の場面で使える範囲が広がります。
| # | 押さえる点 | 根拠 |
|---|---|---|
| 1 | 評価書は設計と建設の2種類。建設は階数3以下で4回の現場検査を経る | 品確法、国土交通省ガイド |
| 2 | 2025年度の設計評価書の交付は289,267戸、新築の40.7%で過去最多 | 国土交通省(2026年7月17日公表) |
| 3 | 一次エネルギー消費量等級に等級7・8が新設(2025年12月1日施行) | 日本住宅性能表示基準の改正 |
| 4 | 住宅ローン減税のZEH水準の証明に使えるのは建設評価書(設計評価書は不可) | 国税庁 No.1211-1 |
| 5 | 地震保険の耐震等級割引は等級3で50% | 財務省 |
| 6 | 建設評価書のある住宅は紛争処理を1万円で申請でき、評価書は契約内容とみなされる | 品確法第6条、国土交通省ガイド |
住宅性能評価を受けるかどうか、どの等級を目指すかを一緒に考えます。
自由住宅では、東京をはじめ一都三県で注文住宅・分譲住宅をご検討の方に、耐震等級・断熱等性能等級・一次エネルギー消費量等級の考え方、住宅性能評価と住宅ローン減税の証明書類の準備、工事中の検査の流れをご説明しています。分譲住宅の評価書の見方についてのご質問も承ります。
住宅の性能と家づくりのご相談はこちら本記事は2026年9月19日時点で公表されている情報にもとづいています。住宅ローン減税の借入限度額と添付書類は2026年に入居する新築住宅の場合です。住宅性能評価の料金と手続きの詳細は、各登録住宅性能評価機関にご確認ください。地震保険の保険料と割引の適用は、保険会社・契約内容により確認資料の扱いが異なる場合があります。