長期優良住宅とは、構造と設備が「長期使用構造等」、つまり長期にわたり良好な状態で使用するための措置が講じられた住宅をいいます(長期優良住宅の普及の促進に関する法律第2条第4項・第5項)。建築主などが、住宅の建築と維持保全の計画(長期優良住宅建築等計画)を作成して所管行政庁に申請し、基準に適合すると認められると認定を受けられます(同法第5条・第6条)。所管行政庁とは、建築主事を置く市区町村や都道府県のことです。
制度は2009年6月4日に新築住宅を対象に始まり、2016年4月1日に既存住宅の増築・改築、2022年10月1日に建築行為を伴わない既存住宅の認定が加わりました。「つくっては壊す」から「いいものをつくって、きちんと手入れして、長く使う」への転換を目的とした制度で、建てるときの性能だけでなく、建てた後の維持保全までを計画に含める点に特徴があります。
| 比べる点 | 長期優良住宅の認定 | 住宅性能評価書 |
|---|---|---|
| 根拠の法律 | 長期優良住宅の普及の促進に関する法律 | 住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法) |
| だれが判断するか | 所管行政庁が認定する(技術的な審査は登録住宅性能評価機関が行う) | 登録住宅性能評価機関が評価する |
| 内容 | 一定の水準以上の性能と、30年以上の維持保全計画を満たすことの認定 | 10分野の性能を等級や数値で表示する |
| 建てた後の義務 | 点検の実施、記録の作成・保存 | なし |
長期優良住宅の認定実績とは、国土交通省が全国の所管行政庁の認定戸数を年度ごとに集計して公表している統計です。2026年7月17日の発表によると、2025年度に認定を受けた新築の一戸建て住宅は155,838戸で、新設住宅着工戸数に対する割合は49.8%と、初めて約5割に達しました。
出典:国土交通省 報道発表「新築戸建ての着工戸数のうち長期優良住宅の認定取得割合が約5割に!~長期優良住宅の認定状況について(令和7年度末時点)~」(2026年7月17日公表)の別添1。2024年度の値は、同じ発表で136,842戸から136,809戸に修正されています。バーの高さは155,838戸を200pxとした相対値です。
出典:同上(2026年7月17日公表)。共同住宅等は2025年度に9,433戸で、着工戸数に対する割合は2.4%です。新築全体では165,271戸・23.2%でした。バーの高さは100%を上限とした実数です。
一戸建てでは2軒に1軒が認定を受けている一方、マンションなどの共同住宅等は2.4%にとどまります。制度開始(2009年6月)から2026年3月までの累計は、新築の一戸建てが1,850,048戸、共同住宅等が50,998戸、合計1,901,046戸です。既存住宅の認定は、増築・改築が累計1,930戸、建築行為を伴わない認定が累計311戸と、まだ少数です。
一都三県の2025年度の認定戸数(新築・一戸建て)は次のとおりで、4都県の合計は40,025戸、全国の25.7%を占めます。
出典:同上の別添2「月別都道府県別認定実績【新築】(令和7年度)」。全国で最も多いのは愛知県の18,693戸です。東京都は共同住宅等の認定も3,617戸あり、全国の共同住宅等(9,433戸)の約4割を占めます。バーの高さは11,007戸を100%とした相対値です。
長期優良住宅の認定基準とは、住宅の性能(長期使用構造等)、規模、居住環境、災害への配慮、維持保全の計画などについて、法律と国土交通省の告示で定められた基準です(同法第6条第1項)。性能の基準の多くは、住宅性能表示制度の等級を物差しにしています。新築の一戸建て住宅に求められる主な基準は次のとおりです。
| 項目 | 一戸建ての主な基準 | ねらい |
|---|---|---|
| 劣化対策 | 劣化対策等級3に相当する措置に加え、床下・小屋裏の点検口や床下の有効高さなどの追加の措置 | 数世代にわたり構造躯体を使えるようにする |
| 耐震性 | 耐震等級(倒壊等防止)2以上、または免震建築物など | 大きな地震の後も、改修して住み続けやすくする |
| 省エネルギー性 | 断熱等性能等級5、かつ一次エネルギー消費量等級6 | ZEH水準の断熱性能と省エネ性能を確保する |
| 維持管理・更新の容易性 | 維持管理対策等級(専用配管)3 | 構造躯体より寿命の短い配管の点検・補修・交換をしやすくする |
| 住戸面積 | 床面積の合計が75㎡以上、かつ少なくとも1つの階の床面積が40㎡以上 | 良好な居住水準を確保する。所管行政庁が別の面積を定めている場合がある |
| 居住環境 | 地区計画、景観計画、建築協定などがある区域では、その内容に適合すること | 地域のまちなみと調和させる |
| 災害への配慮 | 災害の危険性が高い区域では、その高さに応じて所管行政庁が定める措置をとること | 自然災害による被害を防ぐ・減らす |
| 維持保全計画 | 維持保全の期間が30年以上、点検の間隔は10年以内、地震・台風の後は臨時の点検を行う | 建てた後の手入れを計画に組み込む |
2025年4月から、新築住宅には省エネ基準(断熱等性能等級4・一次エネルギー消費量等級4)への適合が義務づけられています。長期優良住宅の省エネの基準は、それより1段階以上高いZEH水準です。耐震性も、建築基準法が求める耐震等級1相当ではなく、その1.25倍の力に耐える等級2以上が求められます。
住宅ローン減税とは、住宅ローンを借りて住宅を取得した場合に、年末のローン残高の0.7%を所得税(一部は翌年の住民税)から控除する制度です。令和8年度税制改正で5年間延長され、2026年1月1日から2030年12月31日までの入居が対象になりました。新築住宅では、住宅の性能の区分によって借入限度額が変わり、長期優良住宅は最も大きい区分に入ります。
出典:国土交通省「住宅ローン減税」(2026年6月更新)。子育て世帯(19歳未満の扶養親族がいる方)・若者夫婦世帯(夫婦のいずれかが40歳未満)は、上から順に5,000万円・4,500万円・3,000万円に上乗せされます。控除期間は最大13年間です。省エネ基準適合住宅は、2028年以降は原則として適用の対象外になります(経過措置あり)。バーの高さは4,500万円を100%とした相対値です。
借入限度額の上限まで13年間控除を受けたと仮定した場合の控除額の上限は、長期優良住宅が409.5万円(4,500万円×0.7%×13年)、ZEH水準省エネ住宅が318.5万円で、差は91万円です。子育て世帯・若者夫婦世帯の上乗せを使う場合は、長期優良住宅で最大455万円になります。ただし、実際の控除額は年末のローン残高と、ご自身の所得税・住民税の額が上限になります。借入額が3,500万円以下であれば、ZEH水準省エネ住宅との差は生じません。
| 税目 | 一般の住宅 | 長期優良住宅 | 適用の期限 |
|---|---|---|---|
| 登録免許税(所有権の保存登記) | 0.15% | 0.1% | 2027年3月31日までに新築された住宅 |
| 登録免許税(所有権の移転登記・戸建て) | 0.3% | 0.2% | 同上 |
| 不動産取得税(課税標準からの控除額) | 1,200万円 | 1,300万円 | 2031年3月31日までに新築された住宅 |
| 固定資産税(新築住宅の2分の1減額の期間・戸建て) | 3年間 | 5年間 | 同上 |
| 所得税(投資型減税。住宅ローン減税との選択) | なし | 標準的な性能強化費用相当額(上限650万円)の10%を控除 | 2028年12月31日までに入居 |
みらいエコ住宅2026事業とは、国土交通省が行う、省エネ性能の高い住宅の新築とリフォームを支援する補助事業です。新築では、長期優良住宅は「子育て世帯または若者夫婦世帯」が登録事業者と契約して建てる場合に補助の対象になります。
| 住宅の区分 | 対象の世帯 | 補助額(地域区分5〜8地域。東京など) | 補助額(地域区分1〜4地域) |
|---|---|---|---|
| GX志向型住宅 | すべての世帯 | 110万円/戸 | 125万円/戸 |
| 長期優良住宅 | 子育て世帯・若者夫婦世帯 | 75万円/戸(古家の除却を伴う場合は20万円を加算) | 80万円/戸(同左) |
| ZEH水準住宅 | 子育て世帯・若者夫婦世帯 | 35万円/戸(同上) | 40万円/戸(同上) |
| 制度 | 長期優良住宅の場合の内容 |
|---|---|
| フラット35S(金利Aプラン)と維持保全型 | フラット35の借入金利を当初5年間、年0.75%引き下げ。フラット35子育てプラスを利用すると、若年夫婦世帯または子ども1人の家族の場合は当初5年間、年1.0%引き下げ |
| フラット50 | 返済期間の上限が50年。住宅を売却するときに、借入金利のままで購入者にローンを引き継げる |
| 地震保険料の耐震等級割引 | 耐震等級2で30%、耐震等級3で50%の割引。免震建築物は50%。ほかの割引との重複は不可 |
長期優良住宅の認定申請とは、建築主や分譲事業者が、長期優良住宅建築等計画を所管行政庁に提出して認定を求める手続きです。いちばん大切な注意点は、所管行政庁への認定申請を着工の前に行う必要があることです。工事が始まってから「やはり認定を取りたい」と考えても、新築としての認定は受けられません。
| 手順 | 内容 | だれが行うか |
|---|---|---|
| 手順1 仕様の決定 | 認定基準を満たす設計にする。維持保全計画をつくる | 建築主と住宅会社・設計者 |
| 手順2 技術的な確認 | 登録住宅性能評価機関に、長期使用構造等であるかの確認を申請し、確認書等の交付を受ける | 申請者(住宅会社が代理で行うことが多い) |
| 手順3 認定申請 | 確認書等と添付図書をそろえ、所管行政庁に認定を申請する。着工の前に行う | 同上 |
| 手順4 認定・着工 | 認定通知書の交付を受ける。工事に着手する | 所管行政庁・住宅会社 |
| 手順5 工事の完了 | 所管行政庁の定めに従って工事の完了を報告する。認定通知書は税の特例の手続きで使う | 建築主・住宅会社 |
| 手順6 維持保全 | 維持保全計画にもとづいて点検・修繕を行い、記録を保存する | 建築主(所有者) |
手順2の確認と手順3の認定には、それぞれ手数料がかかり、申請図書の作成の費用も必要です。また、基準を満たすための仕様(耐力壁の量、断熱材、窓、配管の納まりなど)によって建築費が変わります。標準の仕様がすでに長期優良住宅の基準を満たしている住宅会社では、追加の費用は申請に関わるものが中心になります。見積もりの段階で、「認定を取る場合と取らない場合の差額」を書面で示してもらうと判断しやすくなります。
維持保全計画とは、住宅の構造耐力上主要な部分、雨水の浸入を防止する部分、給水・排水の設備について、いつ点検し、必要に応じてどう修繕・改良するかを、30年以上の期間について定めた計画です(同法第2条第3項・第6条第1項第5号)。認定を受けた人(認定計画実施者)には、建てた後も次の義務と、所管行政庁の関与があります。
| 項目 | 内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| 点検の実施 | 維持保全計画にもとづき、10年以内の間隔で点検する。地震や台風の後は臨時の点検を行う。結果に応じて調査・修繕・改良を行う | 告示第209号、国土交通省パンフレット |
| 記録の作成と保存 | 建築と維持保全の状況に関する記録(認定通知書、図面、点検・修繕の記録など)を作成し、保存する | 法第11条第1項 |
| 報告の求め | 所管行政庁は、建築または維持保全の状況について報告を求めることができる。報告をしない、または虚偽の報告をした場合は30万円以下の罰金 | 法第12条・第21条 |
| 改善命令 | 計画に従って建築・維持保全を行っていないと認められるとき、所管行政庁は改善に必要な措置を命じることができる | 法第13条第1項 |
| 認定の取消し | 改善命令に違反したとき、または維持保全を取りやめる申出があったとき、所管行政庁は認定を取り消すことができる | 法第14条第1項 |
| 売却・相続のとき | 相続人や購入者は、所管行政庁の承認を受けて、認定を受けた人の地位を引き継ぐことができる | 法第10条 |
点検そのものは、住宅会社の定期点検を利用するのが一般的です。大切なのは、点検と修繕の結果を記録として残し、図面や認定通知書と一緒に保管しておくことです。記録は、将来の売却のときに住宅の状態を説明する資料にもなります。リフォームや増築をするときは、計画の変更の認定が必要になる場合がありますので(同法第8条)、工事の前に住宅会社か所管行政庁にご相談ください。
認定の費用対効果とは、申請と仕様の追加にかかる費用と、税・補助金・金利・保険料で戻ってくる額、そして性能そのものの価値を比べることです。戻ってくる額は世帯の条件によって大きく変わりますので、次の点を順に確認すると整理しやすくなります。
| 確認すること | 考え方 |
|---|---|
| 住宅ローンの借入額は3,500万円を超えるか | 超える場合は、ZEH水準省エネ住宅との借入限度額の差(1,000万円)が控除額に効いてくる。超えない場合、住宅ローン減税の面では差が出ない |
| 子育て世帯・若者夫婦世帯に当たるか | 当たる場合は、みらいエコ住宅2026事業で、東京などの地域ではZEH水準住宅との差が1戸40万円(75万円と35万円の差)ある。予算の残りと申請の期限に注意する |
| フラット35を利用するか | 利用する場合は、当初5年間の金利の引き下げが受けられる |
| その会社の標準の仕様はどの水準か | 標準で耐震等級3・断熱等性能等級5以上であれば、追加の工事費は小さい。標準が省エネ基準ぎりぎりの場合は、仕様の変更の費用を見積もる |
| 着工までの日程に余裕があるか | 確認と認定の審査の期間が必要。着工を急ぐ計画では、日程を早めに確認する |
| 点検と記録を続けられるか | 義務を負うのは所有者。住宅会社の定期点検の内容と期間、記録の受け取り方を確認する |
金額に表れにくい価値もあります。耐震等級2以上と劣化対策、点検しやすい配管は、長く住むうえでの安心と修繕のしやすさにつながります。2025年度に新築の一戸建ての約5割が認定を受けたという事実は、将来の売却のときに、認定の有無が比較の材料になりやすくなることも意味します。一方で、認定はあくまで一定の水準を満たすことの証明で、住み心地や施工の丁寧さのすべてを保証するものではありません。工事中の検査については、2026年9月19日に更新した「現場監督の品質管理とは」もあわせてご覧ください。
Q長期優良住宅とは何ですか?
A長期にわたり良好な状態で使用するための措置が講じられた住宅として、「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」にもとづき所管行政庁の認定を受けた住宅です。新築の一戸建てでは、劣化対策、耐震等級2以上、断熱等性能等級5かつ一次エネルギー消費量等級6、維持管理のしやすさ、床面積75㎡以上、30年以上の維持保全計画などの基準を満たす必要があります。2025年度は新築の一戸建ての49.8%が認定を受けました。
Q長期優良住宅のメリットは何ですか?
A税では、住宅ローン減税の借入限度額が4,500万円(子育て世帯・若者夫婦世帯は5,000万円)になり、登録免許税の税率の引き下げ、不動産取得税の控除額の増額(1,300万円)、固定資産税の減額期間の延長(戸建てで5年間)があります。ほかに、フラット35Sの金利引き下げ、地震保険料の耐震等級割引(等級2で30%、等級3で50%)、みらいエコ住宅2026事業の補助(子育て世帯・若者夫婦世帯、東京などで1戸75万円)があります。
Q長期優良住宅のデメリットや注意点は何ですか?
A申請の手数料と図書の作成の費用がかかること、基準を満たすための仕様によって建築費が上がる場合があること、着工の前に申請する必要があり日程に余裕が要ること、建てた後に点検と記録の保存の義務があることです。所管行政庁から報告を求められて報告をしない場合は30万円以下の罰金、改善命令に違反した場合は認定の取消しの対象になります。
Q工事が始まってからでも認定は受けられますか?
A新築としての認定は受けられません。所管行政庁への認定申請は、着工の前に行う必要があります。認定を検討している場合は、契約や設計の早い段階で住宅会社に伝え、登録住宅性能評価機関での確認と所管行政庁の審査にかかる期間を日程に組み込んでください。完成した後の住宅については、建築行為を伴わない既存住宅の認定(2022年10月1日開始)の制度がありますが、2025年度の認定は全国で127戸と少数です。
Q認定を受けた後、点検をしないとどうなりますか?
A維持保全計画にもとづく点検と、記録の作成・保存は、認定を受けた人の義務です(法第11条)。所管行政庁は維持保全の状況について報告を求めることができ、計画どおりに行われていないと認めたときは改善を命じ、命令に違反したときは認定を取り消すことができます(法第12条〜第14条)。認定が取り消されると、受けた補助金や税の特例に影響することがあります。
Q建売住宅でも長期優良住宅はありますか?
Aあります。分譲事業者が着工の前に認定を受け、購入者が決まった後に計画の変更の認定を受けて、購入者が維持保全を行う人として地位を引き継ぐ仕組みです(法第5条第3項・第9条)。購入のときは、認定通知書、維持保全計画書、設計図書を受け取れるかを確認してください。これらの書類は、住宅ローン減税などの手続きと、引渡し後の点検の記録に必要です。
長期優良住宅の認定を取る場合と取らない場合の違いを、資料でご説明します。
自由住宅では、東京をはじめ一都三県で注文住宅・分譲住宅をご検討の方に、認定に必要な仕様と費用、着工までの日程、税と補助金で受けられる額の目安、引渡し後の点検と記録の進め方をご案内しています。他社でお受け取りの見積書や仕様書についてのご質問も承ります。
家づくりと長期優良住宅のご相談はこちら本記事は2026年9月20日時点で公表されている情報にもとづいています。税の特例の適用期限と要件、補助金の予算の状況、金利の引き下げ幅は変わることがあります。認定基準のうち面積・居住環境・災害への配慮は、所管行政庁によって内容が異なる場合がありますので、建築地の市区町村または都県の窓口でご確認ください。