土地分譲とは、まとまった広さの土地を、住宅を建てられる広さの区画に分け、道路や排水の設備を整えたうえで、1区画ずつ売ることです。こうして売られる土地を分譲地といいます。売主は宅地建物取引業の免許を持つ会社で、区画の分け方には法令の決まりがあります。
分譲地の売り方は、建物との組み合わせで3つに分かれます。土地だけを売る「売地(建築条件なし)」、一定の期間内に売主か売主の指定する会社と建物の工事請負契約を結ぶことが条件の「建築条件付き土地」、土地と建物をセットで売る「建売住宅(分譲住宅)」です。建築条件付き土地の決まりは「「建築条件付き売地」って損するの?」で詳しく扱いました。
| 売り方 | 買うもの | 建物を建てる会社 | 間取りを決める時期 |
|---|---|---|---|
| 売地(建築条件なし) | 土地だけ | 自分で選ぶ | 土地を買ったあと |
| 建築条件付き土地 | 土地(建物は別の請負契約) | 売主か売主の指定する会社 | 土地の契約後、期限までに設計を決める |
| 建売住宅(分譲住宅) | 土地と建物のセット | 売主が建てる | 売主が決めている |
| セミオーダー住宅(自由住宅型) | 土地と建物のセット | 売主が建てる | 建築確認申請の直前まで変更できる |
自由住宅は、分譲地の区画から、土地の大きさや形、間取り、仕様、色を選べる、建売の価格帯の新築一戸建てです。分譲予定地の区画の分け方を希望に合わせて見直せる場合があり、たとえば2区画の予定地を3区画に分け直して、必要な広さだけを買う形がとれます(自由住宅「よくある質問」)。区画の分け方がどこまで変えられるかは、次の章からの法令の枠で決まります。
開発許可とは、建物を建てる目的で土地の区画や形を変える「開発行為」をするときに、あらかじめ受けなければならない許可のことです(都市計画法第4条第12項・第29条)。土地を区画し直して道路を新しく通す、土を盛る・削るといった工事が開発行為にあたります。
市街化区域では、一定の広さ未満の開発行為には許可が要りません。その広さは原則1,000㎡ですが、東京23区と、首都圏整備法の既成市街地・近郊整備地帯にある市町村では500㎡です(都市計画法施行令第19条第1項・第2項)。さらに都道府県などは、条例で300㎡まで引き下げられます。
| 区域 | 許可が要る広さ | 条例で引き下げられる範囲 |
|---|---|---|
| 市街化区域(原則) | 1,000㎡以上 | 300㎡以上 |
| 市街化区域(東京23区・首都圏の既成市街地・近郊整備地帯など) | 500㎡以上 | ― |
| 区域区分が定められていない都市計画区域・準都市計画区域 | 3,000㎡以上 | 300㎡以上 |
開発許可が要る分譲地では、許可の前に区画の広告や売買契約をすることが禁じられています(宅地建物取引業法第33条・第36条)。許可の段階で、道路の幅、公園、排水、区画の広さが審査されるため、許可を受けた分譲地は、区画の分け方が許可の内容として決まっていることになります。許可のあとで区画を分け直すには、変更の許可が要ります(都市計画法第35条の2)。
区によっては、法令とは別に条例の手続きもあります。練馬区では、開発区域の面積が500㎡以上の宅地開発事業が「練馬区まちづくり条例」の対象になり、区との協議が必要です(練馬区「まちづくり条例の対象となる開発事業」)。東京23区の開発許可の申請・相談の窓口は、各区の担当課です(東京都都市整備局)。
500㎡未満の土地を2〜3区画に分ける場合
東京23区で500㎡未満の土地を分ける場合は開発許可が要りませんが、新しく道路を通すなら位置指定道路の基準、各区画には敷地面積の最低限度と接道2mの決まりがかかります。小さな分譲地ほど、次の第3章・第4章の決まりで区画の数が決まります。
位置指定道路とは、土地を分けて建物を建てるために私人がつくる道で、特定行政庁(区市など)から位置の指定を受けて、建築基準法上の道路として扱われるもののことです(建築基準法第42条第1項第5号)。奥の区画まで道路を引き込む分譲地では、多くがこの道路です。
建物の敷地は、建築基準法上の道路に2m以上接していなければなりません(建築基準法第43条)。奥の区画に道路が届かないと家が建てられないため、道路の通し方が区画の数を左右します。位置指定道路には、次の基準があります。
| 項目 | 基準 |
|---|---|
| 道路のつながり | 両端が他の道路につながっていること。行き止まり(袋路状)にできるのは、長さ35m以下、幅6m以上、終端に転回できる広場がある場合など |
| 曲がり角 | 角を挟む辺の長さ2mの二等辺三角形の部分を道路に含める隅切りを設ける(内角120度以上の場合を除く) |
| 路面 | 砂利敷きなど、ぬかるみにならない構造 |
| 坂 | 縦断勾配12%以下で、階段状でないこと |
| 排水 | 側溝などの排水の設備を設ける |
※道路の幅は4m以上(建築基準法第42条第1項)。地方公共団体は条例で基準を変えられるため、候補地の区市の基準も確かめる。
位置指定道路は私道なので、道路の部分の持ち分や通行・掘削の承諾を、区画ごとにどう持つかを契約の前に確かめます。旗竿地(道路から細い通路で奥に入る区画)にする場合は、東京都では通路の長さに応じた幅の決まりがあります。詳しくは「理想の間取りから逆算する土地の選び方」で整理しました。
敷地面積の最低限度とは、土地を新しく分けて建物を建てるときに、1つの敷地として確保しなければならない広さの下限のことで、用途地域の都市計画で定められます(建築基準法第53条の2)。小さな敷地が増えて建物が建て込むのを防ぐための決まりです。
練馬区では、建ぺい率ごとに次の下限が定められています。2008年(平成20年)3月7日の指定より前から下限を下回っていた敷地は、新たに分けなければ建て替えができます(練馬区「用途地域」)。
出典:練馬区「用途地域(建ぺい率、容積率、高さの制限、敷地面積の最低限度等)」
練馬区では、80㎡の指定が区の面積の50.4%を占めます(練馬区「令和5年度土地利用現況調査」)。たとえば建ぺい率50%の地域にある300㎡の土地を、道路を通さずに分けるなら、計算上は3区画(100㎡ずつ)までは下限を満たします。4区画(75㎡ずつ)にすると80㎡を下回るため分けられません。実際には接道2mと道路の部分が要るので、区画の数はさらに少なくなります。
| 区画の数 | 1区画の広さ(道路なしの単純計算) | 下限80㎡を満たすか |
|---|---|---|
| 2区画 | 150㎡ | 満たす |
| 3区画 | 100㎡ | 満たす |
| 4区画 | 75㎡ | 満たさない |
※区画の形や接道、地区計画による別の下限がある場合は、それも満たす必要がある。下限は区市ごと・用途地域ごとに違う。
この下限があるため、分譲地の1区画の広さは「下限以上、かつ道路に2m以上接する形」の範囲で決まります。区画を大きくすれば区画の数が減り、1区画の価格は上がります。逆に、希望の間取りに必要な広さが分かっていれば、下限の範囲で区画を分け直す余地があるかを相談できます。
成約価格とは、広告に出した価格ではなく、実際に売買の契約が成立した価格のことです。東日本不動産流通機構(東日本レインズ)は、面積100〜200㎡の土地の成約を毎月集計しています。
2026年9月に首都圏で成約した100〜200㎡の土地は764件で、前年同月より16.4%少なくなりました。平均の成約価格は4,701万円(前年同月比18.2%上昇)、1㎡あたり32.52万円(同17.5%上昇)、平均の面積は144.56㎡です(東日本不動産流通機構「月例速報 Market Watch 2026年9月度」、2026年10月公表)。
出典:東日本不動産流通機構「月例速報 Market Watch 2026年9月度」
| 地域 | 成約件数 | 1㎡あたり | 平均価格 | 平均面積 |
|---|---|---|---|---|
| 首都圏 | 764件 | 32.52万円 | 4,701万円 | 144.56㎡ |
| 東京都 | 249件 | 58.27万円 | 8,277万円 | 142.05㎡ |
| 神奈川県 | 222件 | 23.59万円 | 3,481万円 | 147.54㎡ |
出典:東日本不動産流通機構「月例速報 Market Watch 2026年9月度」Ⅳ 土地(面積100〜200㎡)レポート。面積は参考値。
1か月の数字は件数が少ないと上下しやすく、東京都の9月は前月より24.3%高い値でした。1㎡あたりの単価で見ると、同じ予算でも区画が10㎡違うだけで、東京都では約580万円の差になります。区画の広さを必要な分だけに絞れるかどうかが、総額に直接効きます。
土地分譲に強い会社とは、開発許可や位置指定道路の手続きを自社で進め、区画の分け方を法令の範囲で設計できる会社のことです。広告の「実績多数」といった言葉では比べられないため、公的な記録で確かめられる項目から見ていきます。
| 項目 | どこで確かめるか | 分かること |
|---|---|---|
| 宅地建物取引業の免許 | 国土交通省「建設業者・宅建業者等企業情報検索システム」 | 免許番号・免許の有効期間・行政処分の有無 |
| 開発許可の記録 | 区市の開発担当課の開発登録簿(都市計画法第47条) | 許可の日・区画の内容・完了検査の有無 |
| 区画図と道路の種類 | 会社の区画図と、区市の道路の指定の記録 | 位置指定道路か、私道の持ち分・承諾の扱い |
| 敷地面積の最低限度 | 区市の都市計画図 | 区画を分け直せる下限の広さ |
| 建物の決め方 | 重要事項説明と契約書 | 建築条件の有無、間取りを変えられる期限 |
開発許可を受けた土地は、許可の日や工事の完了検査の結果が登録簿に記録され、常に公衆の閲覧に供されます(都市計画法第47条第1項・第2項・第5項)。分譲地の広告を見たら、開発許可番号か建築確認番号が書かれているかを確かめます。工事の完了前の分譲地は、許可や確認を受けたあとでなければ広告できないためです(宅地建物取引業法第33条)。
広告で確かめたい表示
工事の完了前の分譲地の広告に、開発許可番号も建築確認番号も書かれていない場合は、許可の前の広告でないかを売主に確かめます。建築条件付き土地の広告には、建築条件付きである旨と、建築請負契約を結ぶ期限、条件が成り立たないときは土地の契約を解除して受け取った金銭を返す旨の表示が必要です(不動産の表示に関する公正競争規約)。
会社の規模で比べたい場合は、会社のタイプごとの一般的な傾向が手がかりになります。性能や保証で会社を比べる方法は「高品質な注文住宅を建てられる会社の比べ方」、セミオーダー住宅の会社の比べ方は「セミオーダー住宅の会社の選び方」で整理しました。
区画の分け方まで選べる分譲地とは、開発許可や区画の確定の前の段階で購入の相談ができ、希望の広さに合わせて区画の数や形を見直せる分譲地のことです。区画が確定したあとの分譲地では、選べるのは区画のどれを買うかだけになります。
| 選べるもの | 建売住宅 | 建築条件付き土地 | セミオーダー住宅(自由住宅型) | 売地+注文住宅 |
|---|---|---|---|---|
| 区画の広さ | 決まっている | 決まっている | 分け方を見直せる場合がある | 決まっている |
| 間取り | 決まっている | 設計の協議で決める | 建築確認申請の直前まで変更できる | 自由に決める |
| 建てる会社 | 売主 | 売主か指定の会社 | 売主 | 自分で選ぶ |
| 総額が決まる時期 | 契約のとき | 建物の請負契約のとき | 変更の内容が決まったとき | 建物の請負契約のとき |
| 住宅ローン | 1回の契約で借りる | 土地と建物で分かれることがある | 1回の契約で借りる | つなぎ融資などが要ることがある |
建売住宅と注文住宅の中間にあたるセミオーダー住宅の考え方は「建売なのに、自分好みに変えられる。」、総額の内訳は「建売と注文の中間の家の総額はどう決まる?」、土地から買う場合の資金の流れは「土地から買う注文住宅の資金の流れ」で扱いました。
Q不動産売買で土地分譲に強い会社はどう見分ければよいですか?
A会社の名前や広告の言葉ではなく、公的な記録で確かめます。宅地建物取引業の免許と行政処分の有無は国土交通省の企業情報検索システム、開発許可の内容と完了検査の有無は区市の開発登録簿(都市計画法第47条)で確かめられます。あわせて、区画図で道路の種類と私道の持ち分、建築条件の有無、間取りを変えられる期限を確かめます。
Q分譲地の区画の数や広さは、どのように決まるのですか?
A開発許可の基準、位置指定道路の基準、敷地面積の最低限度の3つの範囲で決まります。東京23区の市街化区域では、500㎡以上の土地の区画を変えるときに開発許可が要ります(都市計画法施行令第19条)。各区画は道路に2m以上接し(建築基準法第43条)、区市の定める最低限度以上の広さが必要です。
Q分譲地の中の道路は、誰が持っているのですか?
A分譲地の中に新しく通した道路の多くは、位置指定道路と呼ばれる私道です(建築基準法第42条第1項第5号)。区画を買った人が道路の部分を持ち分で共有する形や、売主が持ったままにする形があります。持ち分の割合と、水道管やガス管の工事で道路を掘るときの承諾の扱いを、契約の前に確かめてください。
Q1区画の広さは何㎡以上と決まっていますか?
A敷地面積の最低限度は区市ごと・用途地域ごとに違います。練馬区では、建ぺい率30%の地域で110㎡、40%で100㎡、50%で80㎡、60%で75㎡、80%の準防火地域で70㎡です。最低限度の指定がない地域や、地区計画で別の下限がある地域もあるため、候補地の都市計画図で確かめます。
Q自由住宅の分譲地では、区画の広さを選べますか?
A分譲予定地の区画の分け方を、希望に合わせて見直せる場合があります。たとえば2区画の予定地を3区画に分け直し、必要な広さだけを購入する形です。対応できるかは土地の形や販売状況、区市の敷地面積の最低限度によって異なります。間取り・仕様・色は建築確認申請の直前まで変更できます。
分譲地の区画の広さは、法令の範囲で決まっています。広告に出ている区画が希望に合わないときも、区画が確定する前の段階なら、分け方を相談できる場合があります。
自由住宅では、分譲予定地の段階から希望の広さと間取りを伺い、区画の分け方と建てられる大きさを一緒に確かめます。検討中の土地の資料からの相談も無料です。
分譲地と間取りのご相談はこちらこの記事の写真はイメージ(AI生成)で、実在の分譲地ではありません。