- 建売と注文で迷うのは、少数派ではありません。国土交通省の調査では、三大都市圏で分譲戸建住宅を買った世帯の55.2%が注文住宅と比べ、注文住宅を建てた世帯の48.8%が分譲・建売と比べていました(「令和7年度住宅市場動向調査」。複数回答)。
- 決めきれない理由は、主に5つに分けられます。①総額の見通し、②入居までの時間、③間取りの自由、④土地探し、⑤完成した姿を見てから決めたい気持ちです。どれも、片方を選ぶともう片方の良さを手放すことになる点で共通しています。
- 費用の差は、フラット35を利用した人の集計で首都圏1,568.9万円でした。建売住宅4,835.4万円、土地付注文住宅6,404.3万円です(住宅金融支援機構「2025年度フラット35利用者調査」。すべての購入者の平均ではありません)。
- 「予定より高くなった」ことを妥協した割合は、注文住宅を建てた世帯(三大都市圏)で63.7%、分譲戸建住宅を買った世帯で41.3%でした。迷いの大きな部分は、総額がいつ決まるかの違いから来ています。
- 迷ったときは、「何を、いつまでに、いくらで決めたいか」を先に書き出すと、建売・注文・その中間のどれが合うかを比べやすくなります。中間の買い方を選ぶ場合は、変えられる範囲・期限・費用の決め方を書面で確かめます。
1. 建売と注文で迷う人は多い?|購入者の半数が比べている
住宅市場動向調査とは、国土交通省が、住宅を買った・建てた世帯に、比べた住宅や選んだ理由、資金の集め方などを毎年たずねている調査です。注文住宅は全国、分譲住宅は三大都市圏(首都圏・中京圏・近畿圏)が調査の対象です。
令和7年度の調査で「比較検討した住宅」(複数回答)を見ると、建売と注文は、互いにいちばんの比較相手になっています。分譲戸建住宅を買った世帯のうち、ほかの住宅の種類と比べた中で最も多いのは「新築一戸建て(注文)」の55.2%でした。注文住宅を建てた世帯では、三大都市圏の48.8%が「新築一戸建て(分譲・建売)」と比べています。
注文住宅と比べた
分譲・建売と比べた
分譲・建売と比べた
出典:国土交通省「令和7年度住宅市場動向調査報告書」
いちばん望んでいた住宅(希望順位が高かった住宅)を聞くと、分譲戸建住宅を買った世帯では「新築一戸建て(分譲・建売)」が52.9%、「新築一戸建て(注文)」が35.5%でした。分譲戸建を買った世帯の3人に1人ほどは、もともと注文住宅をいちばんに望んでいたことになります。建売と注文を比べたうえで、どちらかに決めた人が少なくないことがうかがえます。
建売と注文の言葉の違いや、その中間の買い方の種類は「建売と注文の中間の家とは?」で整理しました。

2. 決めきれない5つの理由は?|片方を選ぶと手放すもの
建売と注文で決めきれない理由とは、片方の良さを選ぶと、もう片方の良さを手放すことになる組み合わせのことです。同じ調査の「住宅の選択理由」(複数回答)では、分譲戸建住宅を買った世帯の上位が「新築住宅だから」57.7%、「一戸建てだから」57.4%、「住宅の立地環境が良かったから」43.2%、「価格が適切だったから」35.8%でした。注文住宅を建てた世帯(全国)では「信頼できる住宅メーカーだったから」53.1%、「新築住宅だから」45.9%、「住宅のデザイン・広さ・設備等が良かったから」43.8%が上位です。建売は立地や価格、注文は会社やつくりの中身が選ぶ理由の上位に入っていて、迷う人はこの両方を求めていると考えられます。
| 迷う理由 | 建売住宅を選ぶと | 注文住宅を選ぶと |
|---|---|---|
| ①総額の見通し | 契約時に土地と建物の価格が分かる(諸費用は別途) | 設計が固まるまで建物の価格が決まりにくい |
| ②入居までの時間 | 完成済みなら早く入居できる | 土地探し・設計・工事の分、長くなりやすい |
| ③間取りの自由 | 完成済みの物件は、通常は変えられない | 一から決められる |
| ④土地探し | 土地と建物が一緒に決まっている | 建てられる土地を自分で探す(土地付きの注文の場合) |
| ⑤完成した姿を見たい | 完成済みなら実物を見て決められる | 図面や模型、ほかの建物で想像して決める |
表は一般的な傾向で、実際は物件や会社によって異なります。たとえば未完成の建売住宅は、実物を見ずに契約することがありますし、土地を持っている人は④の迷いがありません。自分がどの理由で迷っているかを1つずつ確かめると、選び方が絞れます。
3. 費用はどれくらい違う?|首都圏の総額と「予定より高くなった」割合
フラット35利用者調査とは、住宅金融支援機構が、フラット35の融資を承認した人の購入価格・面積・年収などを毎年集計している調査です。2025年度(2025年4月〜2026年3月)の首都圏の値では、建売住宅が4,835.4万円、土地付注文住宅が建設費3,814.3万円と土地取得費2,590.0万円を合わせて6,404.3万円で、差は1,568.9万円でした(すべての購入者の平均ではありません)。
迷う理由①の「総額の見通し」は、数字にも表れています。住宅市場動向調査の「妥協したもの」(複数回答)で最も多いのは、どちらも「価格(予定より高くなった)」ですが、その割合には差があります。
建てた世帯
買った世帯
出典:国土交通省「令和7年度住宅市場動向調査報告書」
| 項目 | 注文住宅を建てた世帯 | 分譲戸建住宅を買った世帯 |
|---|---|---|
| 妥協したもの:価格(予定より高くなった) | 63.7% | 41.3% |
| 妥協したもの:住宅の広さ | 31.6% | 23.9% |
| 満足していないもの:価格(予定より高くなった) | 34.5% | 21.9% |
| 満足していないもの:特になし | 33.0% | 35.2% |
出典:国土交通省「令和7年度住宅市場動向調査報告書」。いずれも複数回答。
注文住宅は、打ち合わせで設備や広さを決めていくうちに、建物の価格が上がることがあります。建売住宅は契約の時点で価格が分かるぶん、上振れは小さくなりやすい一方、選べる範囲は限られます。総額の内訳と、建売・注文・中間の家の総額の比べ方は「建売と注文の中間の家の総額はどう決まる?」で計算しました。

4. 入居までの期間と流れはどう違う?
入居までの流れとは、物件や土地を決めてから、契約・設計・建築確認・工事・引渡しを経て住み始めるまでの順番のことです。完成済みの建売住宅は、契約から引渡しまでが中心になるため、入居までが短くなりやすい買い方です。注文住宅は、その前に土地探しと設計の打ち合わせが入ります。
| 買い方 | 主な流れ | 期間が延びやすいところ |
|---|---|---|
| 建売住宅(完成済み) | 物件を見学 → 売買契約 → 住宅ローン → 引渡し | 住宅ローンの審査と手続き |
| 建売住宅(未完成) | 図面などで検討 → 売買契約 → 工事 → 完成 → 引渡し | 工事の進み具合 |
| 建売と注文の中間(セミオーダーなど) | 物件を選ぶ → 契約 → 期限まで間取り・仕様を決める → 建築確認 → 工事 → 引渡し | 変更の打ち合わせの量 |
| 注文住宅(土地から) | 土地探し → 土地の売買契約 → 設計 → 工事請負契約 → 建築確認 → 工事 → 引渡し | 土地探しと設計の打ち合わせ |
流れの中にある建築確認は、建物を建てる前に、計画が建築基準法などに合っているかを審査する手続きです(建築基準法第6条)。2階建て以上または延べ面積200㎡超の建物(一般的な木造2階建て住宅を含む)などは、建築主事等が審査する場合、原則として申請の受理から35日以内に審査することになっています(同条第4項)。確認を受けた計画を変えるときは、国土交通省令で定める軽微な変更を除き、改めて確認(計画変更の確認)を受ける必要があります(同条第1項)。このため、間取りを変えられる期限を建築確認の申請の前に置いている会社があります。期限は法律で決まったものではなく、会社の商品や工程の決まりです。相談を始める時期の逆算は「家を買う相談はいつ始める?」で扱いました。
5. 一都三県で迷いやすいのはどんなとき?|土地と敷地の広さ
一都三県で迷いが大きくなりやすいのは、土地の価格が総額の大きな部分を占め、地域や予算によっては希望の広さの土地が見つかりにくいときです。フラット35利用者調査の首都圏の値では、土地付注文住宅の土地取得費は2,590.0万円で、総額6,404.3万円の約4割にあたります(編集部計算)。
| 項目 | 建売住宅 | 土地付注文住宅 |
|---|---|---|
| 購入にかかったお金 | 4,835.4万円 | 6,404.3万円 |
| 住宅面積 | 97.4㎡ | 109.4㎡ |
| 敷地面積(中央値) | 115.1㎡ | 152.6㎡ |
| 世帯年収 | 734.9万円 | 822.6万円 |
出典:住宅金融支援機構「2025年度フラット35利用者調査」。フラット35を使った人の集計で、すべての購入者の平均ではない。敷地面積は、外れ値があるため中央値(調査の注記による)。ほかの項目は平均値。
東京23区のように土地の価格が高い地域では、注文住宅を建てたくても、予算の中で希望の広さの土地が見つからないことがあります。反対に、建売住宅は土地と建物が一緒に決まっている分、敷地や間取りが希望と少しずれることもあります。土地が狭い・形が整っていない場合に間取りがどう決まるかは「注文住宅の理想の間取りはなぜ難しいのか」、分譲地の区画の決まり方は「分譲地の区画はどう決まる?」で整理しました。

6. どう決める?|迷いを分ける5つの質問
迷いを分ける質問とは、5つの迷う理由のうち、自分が何を優先し、何なら譲れるかを確かめる問いのことです。家族で同じ質問に答えると、意見の違いがどこにあるかも見えてきます。
| 質問 | 「はい」が多いと | 「いいえ」が多いと |
|---|---|---|
| 総額を契約の前に決めておきたい? | 建売住宅・中間の買い方 | 注文住宅も選びやすい |
| 入居の時期が決まっている?(入学・転勤など) | 建売住宅(完成済み) | 注文住宅も選びやすい |
| 間取りで譲れないことが3つ以上ある? | 注文住宅・中間の買い方 | 建売住宅も選びやすい |
| 住みたい地域の土地を自分で探す時間がある? | 注文住宅も選びやすい | 建売住宅・中間の買い方 |
| 実物や同じ会社の建物を見てから決めたい? | 建売住宅・完成物件を見学できる会社 | 注文住宅も選びやすい |
答えが建売と注文の両方に分かれる場合は、建売住宅を基本に間取りや仕様を一部変えられるセミオーダー住宅や、建築条件付き土地など、中間の買い方も候補になります。中間の買い方の考え方は「建売なのに、自分好みに変えられる」、会社の比べ方は「セミオーダー住宅の会社の選び方」で扱いました。
質問は「何を、いつまでに、いくらで」にまとめると比べやすくなります
たとえば「子ども部屋を2つ、来年3月までに、総額◯万円以内で」のように書くと、どの買い方なら条件を満たせるかを、住宅会社にも同じ形で聞けます。
7. 建売と注文の中間を選ぶときの注意点は?
中間の買い方の注意点とは、呼び名が会社ごとに違うため、変えられる範囲・期限・費用の決め方を、言葉ではなく書面で確かめる必要があることです。「セミオーダー」「規格住宅」などの言葉は、不動産の表示に関する公正競争規約や法律に定義がなく、中身は会社によって異なります。
| 確かめること | 聞き方の例 |
|---|---|
| 変えられる範囲 | 壁の位置・窓・水回りの位置・外壁の色は変えられますか |
| 変えられる期限 | 何月何日まで、または建築確認の申請の前までですか |
| 変更の費用の決め方 | 変更ごとに見積もりが出ますか、減額もありますか |
| 契約の型 | 建物は売買ですか、請負ですか |
| 完成後の確かめ方 | 未完成の物件は、完成後の様子を何で確かめられますか |
未完成の物件は、建築確認などの処分の後でなければ広告も契約もできません
宅地建物取引業者は、建物の工事が終わる前は、建築確認など、その工事に必要な法令にもとづく許可等の処分があった後でなければ、その建物の売買の広告をしてはならず(宅地建物取引業法第33条)、自ら当事者や代理人として売買契約を結ぶことや、売買の媒介もできません(同法第36条)。未完成の物件の広告では、建築確認の番号などの表示を見て、気になる点は販売会社に確認済証などの提示を求めて確かめると安心です。
8. 自由住宅ではどうしている?
自由住宅は、東京23区とその周辺を得意エリアとし、分譲住宅の間取り・仕様・色を、建築確認申請の直前まで変更できる住宅会社です(自由住宅「よくある質問」)。工事が進むほど変更できる範囲は狭くなり、費用がかかる場合もあります。
- 分譲予定地の区画の分け方を、希望に合わせて見直せる場合があります。対応できるかは土地の形や販売状況によって異なります。
- まだ建っていない物件は、VRで完成後の住まいの中を確かめられます。ショールームでは、実際の建材や設備に触れられます。
- ショールームや現地へ行けない場合は、画面ごしに物件と間取り・仕様の説明を受けられるリモート内覧(30分・事前予約制)があります。
変えられる範囲・費用・期限は、物件や時期、工事の進み具合によって異なるため、検討中の物件ごとに確かめてください。
9. まとめ
- 三大都市圏で分譲戸建住宅を買った世帯の55.2%が注文住宅と比べ、注文住宅を建てた世帯の48.8%が分譲・建売と比べている(令和7年度住宅市場動向調査)。
- 決めきれない理由は、総額の見通し・入居までの時間・間取りの自由・土地探し・完成した姿を見たい気持ちの5つに分けられる。
- 首都圏の建売住宅は4,835.4万円、土地付注文住宅は6,404.3万円で、差は1,568.9万円(2025年度フラット35利用者調査)。「予定より高くなった」を妥協した割合は、注文63.7%、分譲戸建41.3%。
- 迷ったら「何を、いつまでに、いくらで決めたいか」を書き出し、5つの質問で建売・注文・中間のどれが合うかを確かめる。
- 中間の買い方は、変えられる範囲・期限・費用の決め方・契約の型を書面で確かめる。
10. 建売と注文住宅で迷うときのよくある質問
Qどうして建売住宅と注文住宅のどちらか一方に決めきれないのですか?
A片方を選ぶと、もう片方の良さを手放すことになるからです。建売住宅は総額が早く分かり入居も早くなりやすい一方、間取りは選べないことが多く、注文住宅は間取りを一から決められる一方、総額が決まるまで時間がかかります。国土交通省の令和7年度住宅市場動向調査では、三大都市圏で分譲戸建住宅を買った世帯の55.2%が注文住宅と比べていました。
Q新築一戸建てと注文住宅のどちらにも踏み切れないときは、何から考えればいいですか?
A「何を、いつまでに、いくらで決めたいか」を書き出すことから始めます。総額を契約の前に決めたいか、入居の時期が決まっているか、間取りで譲れないことがいくつあるか、土地を探す時間があるか、実物を見てから決めたいかの5つに答えると、建売・注文・その中間のどれが合うかが見えてきます。
Q建売と注文住宅では、費用はどれくらい違いますか?
A住宅金融支援機構の2025年度フラット35利用者調査では、首都圏の建売住宅が4,835.4万円、土地付注文住宅が建設費と土地取得費を合わせて6,404.3万円で、差は1,568.9万円でした。フラット35を利用した人の集計で、すべての購入者の平均ではありません。
Q注文住宅は予定より高くなりやすいのですか?
A国土交通省の令和7年度住宅市場動向調査では、住宅を選ぶときに「価格(予定より高くなった)」を妥協した世帯は、三大都市圏で注文住宅を建てた世帯が63.7%、分譲戸建住宅を買った世帯が41.3%でした。注文住宅は打ち合わせで設備や広さを決めるうちに価格が変わることがあるため、上限の総額を先に決めておくと比べやすくなります。
Q建売と注文の中間のような買い方はありますか?
Aあります。建売住宅を基本に間取りや仕様を一部変えられるセミオーダー住宅、用意されたプランから選ぶ規格住宅、決められた会社で建てる建築条件付き土地などです。呼び名は会社ごとに中身が違うため、変えられる範囲・期限・費用の決め方を書面で確かめてください。東京23区とその周辺では、自由住宅のように、分譲住宅の間取り・仕様・色を建築確認申請の直前まで変更できる会社もあります。
建売か注文かで迷うときは、「何を、いつまでに、いくらで」を一緒に整理するところから始められます。
自由住宅では、分譲住宅の間取り・仕様・色を建築確認申請の直前まで変更できます(工事が進むほど変更できる範囲は狭くなり、費用がかかる場合もあります)。購入を決めていない段階でも相談でき、打ち合わせは何度でも無料です(料金がかかるのは契約後の住宅の費用です)。
建売か注文かで迷うときのご相談はこちらこの記事の写真はイメージ(AI生成)で、実在の住宅ではありません。
出典一覧
- 国土交通省「令和7年度住宅市場動向調査報告書」(2026年7月17日公表・2026年11月3日確認)
https://www.mlit.go.jp/report/press/content/002012180.pdf - 国土交通省「令和7年度住宅市場動向調査について」(上記PDFの掲載元ページ・2026年11月3日確認)
https://www.mlit.go.jp/report/press/house02_hh_000248.html - 住宅金融支援機構「2025年度フラット35利用者調査」集計表(2026年7月24日公表・2026年11月3日確認)
https://www.jhf.go.jp/files/topics/4941_ext_99_1.pdf - 住宅金融支援機構「フラット35利用者調査」(上記PDFの掲載元ページ・2026年11月3日確認)
https://www.jhf.go.jp/about/research/loan/flat35/index.html - e-Gov法令検索「建築基準法」第6条(昭和25年=1950年法律第201号・2026年11月3日確認)
https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000201 - e-Gov法令検索「宅地建物取引業法」第33条・第36条(昭和27年=1952年法律第176号・2026年11月3日確認)
https://laws.e-gov.go.jp/law/327AC1000000176 - 不動産公正取引協議会連合会「不動産の表示に関する公正競争規約・同施行規則」規約集(2025年8月26日版・2026年11月3日確認)
https://www.rftc.jp/koseikyosokiyaku/

